主
主
主
主
主
主
うつらうつら静かな朝の教室で過ごしていると、ドアの開く音で目が覚めた。
りいぬ
莉犬が僕を見ておどろいた表情を見せた。
時間は8時10分で、まだあまり校舎には人の気配がない。
莉犬の声もいつもより響いて聞こえる。
りいぬ
ころん
りいぬ
莉犬は、学校から少し離れた地域に住んでいる。
最寄り駅と家の行き来にはバスに乗るらしいけど、かなり本数が少ないと言っていた。
そのせいで、学校に来るのはいつも一番になってしまうらしい。
莉犬は自分の席に荷物を置いて、僕の前の席に座る。
りいぬ
ころん
思いがけない名前にびくりと肩を震わせると、 莉犬がにやりと怪しげな笑みを見せた。
りいぬ
りいぬ
りいぬ
ころん
ころん
慌てて否定するけど、すればするほど逆効果になっているのが、 莉犬の緩んだ表情から感じることができる。
りいぬ
とまで言い出されてしまった。
本当に違うって。ともう一度口にしようとすると、
りとらくん
りねこくん
りけんくん
りいこちゃん
と、いつも仲のいい4人組が入ってきた。
男女友達の多い莉犬は、挨拶だけの僕と違って、やってきた4人組の男子に、
りいぬ
と、話しかけに行く。
完全に誤解を解くチャンスを逃してしまった。
っていうか。
。何でさとみ君がこんな早くに来てるんだろう
莉犬は今までさとみくんを登校時間に見たことがなかったと言っていた。
普段はもっと遅い時間に来ているのだろう。
それなのに、どうして“今日”“朝早く”に学校に来たのだろう。
もしかして返事を待っていたとか?
先週机に手紙を残した次の日に返事があったから、今日も、 と思ったのだろうか。
本人になら、見られてもかまわないかもしれないけど……。
,,,いや。やっぱり、恥ずかしすぎるから無理だ!
想像しただけでも血の気が引く。
危なかった!
余裕を持って、早すぎるくらいに学校に来てよかった!
ほっと胸をなでおろしつつも、もしもまた返事を書くことがあったら次はもう少し早い時間に学校に来た方がいいかもしれない。
手紙だからこそ、彼と話ができるのだ。
面と向かって話す勇気はない。
まっすぐに向かってくる発言に、どう答えていいのかわからずにパニックになるのは目に見えている。
ななもり先輩に告白されて、戸惑いながら頷いてしまった時のように。
隣にいる先輩と何を話せばいいのかわからず、 相槌を打つことすらできなかったように。
そして、別れを告げられた時のように…
言われるがまま、何も言えないまま。
僕の悪いところだ。
そう考えると、さとみ君が手紙という形で告白してきてくれたことは本当に良かった。
あとは、どうするか。
どうなるか、だ。
主
主
主
主
コメント
5件
フォロー失礼します!!
ブクマ失礼します! 続き楽しみにしています!
やっぱりりょうさんの語彙力が凄すぎる…✨続き楽しみにしてます!!