___カーテンの隙間から差し込む太陽の光が、部屋全体を明るく照らす。
ほかほかと心地の良い暖かさに、 瞼が重くなった。
……ああ……、此の儘、眠ってしまおうか。 きっと、物凄く気持ちが良いだろうな。
そっと、目を瞑る。
黒くなった視界に、 どんどんと意識は闇に堕ちて行き___
天童夏希
天童夏希
山田ランネ
ギュンッ!と、現実に引き戻された。
手元を見ると、グチャグチャの物体………、…タマネギ?と、包丁を握る自分の手。
山田ランネ
慌てて手元に集中すれば、 色々と大きい謎の女性は、満足気に微笑んだ。
____さて。 時は、三十分前に遡る……………。
◆ ◆ ◆
その日は、 雲一つない、暖かい快晴の日であった。
特にやる事もなく、やりたい事もない。
ただ、ずっとぼぉっとしていたい。
公園のベンチで時折そんな事を考えながら、じっと空を見ていた。
たまに、寄ってきた小鳥に餌をやったり、隣で寝転ぶ猫を撫でたりして…………
今日は、もう何もしない。 優しくて暇な一日のまま終わるのだと。 そう思っていた。
_あのチラシが、目に入るまでは。
山田ランネ
突然、顔に張り付く謎の紙。
“それ”は、デカデカと可愛いフォントで文字が綴られた、真っ黄色のチラシだった。
山田ランネ
山田ランネ
ブツブツと愚痴を零しつつ、少女……、 ランネは、チラシを一瞥する。
山田ランネ
すると、 少し気になる言葉が視界に入った。
山田ランネ
山田ランネ
いつもならば気にも止めない、 ありきたりな宣伝広告。
だが、今日は丁度予定が無く、暇だった所だ。
山田ランネ
山田ランネ
そんなこんやで……、 ランネは、軽い気持ちでカレー(毒物)を作る事にしたのだった。
(※時間とか場所とか参加条件とか詳しい説明とか考えんの面倒くさいんで、そこは貴方のお得意の妄想で何とか補ってください)
_____________
そうして辿り着いた場所は、普通の一軒家だった。
既に、ランネの他に 四人程、エプロンを着けて待機している姿が見える。
………見覚えのある顔が、何人か居るが。
元々用意されていたエプロンは、残り一着。 丁度、ランネで最後だったようだ。
白色のエプロンに手を伸ばし、紐を結ぶ。
ほどけないように固く結べば、あっという間に ランネも待機組の仲間入りである。
春採瑠花
そんな4人の姿を見て、ある少女が口を開いた。
確か、この顔は何処かで見たことがある。 何かの新聞に載っていたのを、見たのだっけ。
春採瑠花
春採瑠花
“春採瑠花”
背筋をシャンと伸ばし、綺麗な黒髪を持つ彼女は、春採財閥の一人娘であった。
彼女は要領も良く、運動神経も抜群。 親からの虐待に悩む子供達を保護した……とか何かで、新聞にも載っていたような気がする。
世間知らずのランネでも知っている程、 有名な春採家。……の、一人娘。
そんな彼女が何故、 こんな催しに参加しているのだろうか。
山田ランネ
山田ランネ
そんな周りの疑問を吹き飛ばすように、ランネが声をあげた。
山田ランネ
にこり、と微笑めば、瑠花も笑顔を返す。
皆も、その二人の様に、 それぞれ自分の名前を言い出した。
成瀬秋
“成瀬秋”
永沢守
永沢守
“永沢守”
天童夏希
天童夏希
“天童夏希”
全員の自己紹介が終わった事を確認し、瑠花が懐(ふところ)から何かを取り出した。
目が痛くなる程の黄色のチラシに、四人全員が目を奪われる。
春採瑠花
瑠花は、指で掴んだチラシをヒラヒラと揺らした。
そうして、チラシの文字を、 一つ一つ丁寧に読み上げていく。
春採瑠花
春採瑠花
春採瑠花
聞き捨てならない言葉が、 ランネの耳に入り込んだ。
料理が下手だと言われ続けた人にしか見えない? 自分は特別?料理が下手?
ふざけるのも大概にして欲しい。 失礼にも程があるのではないか。
今すぐにでも、ご都合委員会とやらをぶっ潰しに行きたくなる衝動を抑えて、 ランネは瑠花に問いかけた。
山田ランネ
山田ランネ
毎回、料理にデスソースをぶっかける女の言葉が、これである。
そう。今回此処に呼ばれた ランネ、瑠花、夏希、守、秋は………
皆、驚く程料理が下手なのであった。
これは、そんな五人の楽しい(絶望の)料理風景を、見守るだけのお話だ_____。
◆ ◆ ◆
天童夏希
怒りの収まらないランネを宥めつつ、 ふわふわボブカットの爆乳お姉さん……夏希が、 楽しそうに辺りを見渡す。
そして、ご機嫌で口を開いた。
天童夏希
天童夏希
天童夏希
……と、思ったら、何て事を言い出すのだ。 放送禁止用語をバンバンと晒しまくっている。
そう。何を隠そう、この女。
“普通の料理”だけはうまいのだが___、
何故か、作り終わった料理に 媚薬や自分の作った薬品を投入するという、奇行を繰り返しているのだ。
シンプルに化け物である。
聞き慣れない言葉に 皆は頭上に「?」を浮かべるが、夏希はそんな事お構い無しに言葉を続けた。
天童夏希
天童夏希
やりやがったなこの女!
これにはご都合委員会の人間らも吃驚である。 開いた口が塞がらないとは、まさにこの事だ。
夏希の被害者のランネも、 口を抑えてブルブル震えていた。
そういえば、ランネも、 夏希の薬品入りの毒物(食用)をご馳走してもらい、無事吐いた過去があった気がする。
そのトラウマが、今になって彼女を襲ってきた……とでも言うのだろうか。
だが、 夏希の奇行に気を取られ、忘れては行けない。 彼女のデスソース入り料理もまた、多くの被害者を生んでいるのである。
春採瑠花
春採瑠花
瑠花が、首を傾げながら言葉を紡ぐ。 勿論、×××薬の意味なんて理解していない。
成瀬秋
成瀬秋
そんな瑠花に、秋がすかさず言葉を挟んだ。
秋も、 夏希の奇行を知っている、苦労人の超被害者だ。 料理の知識は乏しくも、夏希の事は完全に分かりきっている。
春採瑠花
分からなくていいのだ。
春採瑠花
春採瑠花
気を取り直して、瑠花が勢い良く立ち上がる。
そして、拳をグーにして、天に突き上げた。
春採瑠花
一同
皆の掛け声が、 _____部屋に響いた。
____________
永沢守
茶色の一つ結びを揺らす“男性”……守が、 ウキウキで皆に問いかける。
山田ランネ
山田ランネ
春採瑠花
天童夏希
ランネ、瑠花、夏希はすぐに食い付き、 それぞれのカレーの作り方を口に出した。
成瀬秋
ただ一人、秋だけが皆の発言を否定し、 止めようとしている。
カレールーならぬ納豆ルー(???)などと、意味の分からない事をほざくランネにチョップをかまし、秋は冷ややかな目で辺りを見渡した。
成瀬秋
成瀬秋
秋は呆れて溜息を吐き、 レシピ本の山から、適当な一冊を取り出す。
成瀬秋
そして、 一番近くにいた瑠花に差し出し、微笑んだ。
___まずは、 レシピ本を見る所からだ。 これでようやく、彼女らの料理が始まるのである。
________________
山田ランネ
_「タマネギを切って」と秋に頼まれたランネは、早速包丁を持って作業に取り掛かっていた。
トン トン トン とリズミカルに鳴る包丁とまな板の音に、耳を傾け、音を楽しむ。
山田ランネ
今まで感じたことのない高揚感が、彼女の体を包みこむ。こんなにも料理が楽しいと感じたのは、始めてかもしれない。
何故かは分からない。でも、楽しいのだ。 誰かと一緒に作っているからだろうか。
まあきっと、楽しさに理由は必要無いんだと思う。今を楽しめれば、それで良いのだ。
トンッ トンッ トンッ トンッ
ランネは、 心のままに、タマネギを切り刻んでいた。
…カーテンの隙間から差し込む太陽の光が、部屋全体を明るく照らす。
ほかほかと心地の良い暖かさに、 瞼が重くなった。
……ああ……、此の儘、眠ってしまおうか。 きっと、物凄く気持ちが良いだろうな。
山田ランネ
天童夏希
天童夏希
突然、耳元で夏希の甘ったるい声が響く。
そのまま、後ろから胸を押しつけるようにして、包丁を握った右手に、夏希が手を覆い被せた。
天童夏希
ランネの頭に、夏希の頭が乗せられる。
何だコイツ、急に来やがって。邪魔だ。 言葉では表せないほど邪魔である。 自分の頭と胸がどれほど重いか、理解して欲しい。
山田ランネ
山田ランネ
天童夏希
天童夏希
天童夏希
ニヤニヤとそう言いながら、夏希とランネがタマネギを切り刻む。
天童夏希
天童夏希
「余計なお世話」………とランネは言うが、全然そんな事はない。今のタマネギの様子を見れば、誰もが顔を青ざめるだろう。
逆にどう刻めばこうなるのか。 そう問いたいレベルで、タマネギは潰れ…、 …えっ?これ、本当にタマネギ?
みじん切りにチャレンジしようと思ったのだろうか。兎に角、言葉では言い表せない程に、タマネギは崩れていた。
天童夏希
天童夏希
力を入れすぎてもこうはならん。 タマネギでこのザマ……、………この出来とは、これから先が思いやられる。
山田ランネ
山田ランネ
天童夏希
せめて、 腹に入れても平気な物を作ってもらいたい。
まあ、 そんな心配は後々、杞憂に変わるのだが。
_________________
一方その頃、 秋は、瑠花と守に丁寧に指導していた。
成瀬秋
春採瑠花
震える手でピーラーを操作し、人参の皮を次々と剥いていく。
春採瑠花
成瀬秋
春採瑠花
あっという間に仲良くなった秋と瑠花は、もう既に、二人の世界に入り込んでいた。
一人で人参を切っていた守は、 完全に蚊帳の外である。
永沢守
そんな二人を隅で眺めながら、 守は黙々と手を動かす。
彼の手元で刻まれている人参は、細かったり太かったりと、少し不揃いだ。
まあ、 ランネに比べたら、大分マシである。
永沢守
ふと、守は何か閃いた様子で、 戸棚を漁った。
満足した様子で、守が何かを引きずり出す。 その正体は、小さな瓶に入った塩だった。
永沢守
永沢守
………いい年した大人が、 一体何をしているのだろうか。
永沢守
呆れを通り越して、 最早引いてしまう。
◆ ◆ ◆
成瀬秋
成瀬秋
「得意な人いる?」と言いかけて、やめた。 と言うか、やめざるを得なかった。
なにせ、 停止した秋の視界には、ライターで野菜を炙ろうとしているランネや、木で火を起こそうとしている、原始人のような守が映っているのだから。
これを見て、どう言葉を続けろというのか。 声も出ないぐらいに、呆れてしまう。
春採瑠花
春採瑠花
世間知らずの馬鹿お嬢様は、どこからともなく、お高そうなシャープペンシルとメモ用紙を取り出して、熱心に書き綴っている。
頼みの綱の夏希ですら、謎の薬品に人参を浸しているという始末。
世紀末………、ジャングル。 いや、未来?未来か?此処は。
もしかしたら、未来では、料理をこんな風にやるのかもしれない。 秋はそう思う事にした。
成瀬秋
永沢守
山田ランネ
永沢守
成瀬秋
そもそも、その棒切れはどこから持ってきたのか。
料理をする為に此処に来たのに、食材の他に棒切れもあるだなんて、意味が分からない。
絶対に用意する筈無かっただろう。 やるだけ無駄である。
成瀬秋
まあ、常識的に考えて、無理だろう。 この悲惨な状況から、どう挽回しろと言うのか。
鈍器で殴られたかのように痛む後頭部を押さえつつ、秋は声を張り上げる。
成瀬秋
成瀬秋
山田ランネ
永沢守
成瀬秋
春採瑠花
成瀬秋
天童夏希
成瀬秋
成瀬秋
お疲れ様としか言いようがない。
成瀬秋
成瀬秋
五人が顔を見合わせ、 そして、頷いた。
「きっと、この五人なら何とかなる………」 一同の心が一つになった瞬間だった。
だが、彼女らは重要な事を忘れている。
「__“此処”に呼ばれた人の特徴は、 周りから、 「料理が下手くそ」 「コイツの料理を食べると死人が出る」 ……と言われ続けた人だけにしか見えないのです!」
それは、一見頼りに見える秋も例外ではなく、 火加減に関しては超ダメダメになるのだ。
………さて。 次の工程は、一番大事な作業である。
一体、どうなってしまうのか………。
◆ ◆ ◆
天童夏希
天童夏希
夏希がフライパンに油を引き、 野菜や肉を乗せてゆく。
フライパンの下で火が踊り、ジュワジュワと心地の良い音が、一同の耳を通り抜けていった。
山田ランネ
ふと、ランネが、夏希に問いかける。
夏希は少し考えた素振りを見せてから、 ニヤニヤと不敵な笑みを貼り付けて口を開いた。
天童夏希
天童夏希
天童夏希
どうやら、何かを企んでいるらしい。
「この子達に任せたら、取り返しのつかない無い事になるだろう……。 だが、それが物凄く面白いのだ。」
表情から、そんなことを考えているのが丸わかりだ。もうここにまともな人間はいない。
そんな夏希の様子を見て、 四人の瞳がキラリと光る。
___これは、 まずいことになりそうだ。
_______________
山田ランネ
山田ランネ
そうして出来上がったのが、 このカレー………、…カ、カレー?カレーだ。
………あの後、食材が焦げるまで炒め続け………
カレールーを足し、イチゴヨーグルトやスイカジュースとよく混ぜた。
瑠花はトリュフを投入し、 夏希は謎の液体、ランネはデスソースをドバドバとカレーもどきにぶっかけ、
秋と守で、茸やシュークリームなど、自分の好きな食べ物をどんどんとカレーに詰め込んだ。
そうこうして、 闇鍋ならぬ闇カレーが完成したのである。
永沢守
成瀬秋
春採瑠花
天童夏希
守と夏希以外の三人が、激しく首を縦に振った。
だが、夏希の言うことにも一理ある。
もしかすれば、ひょっとしたら、奇跡が、本当に起きると言うならば
とても美味しかったり、するかもしれない。
昇天してしまうほどに、口の中で甘くとろけるかもしれない。
多分有り得ない。 そろそろ進め方が分からなくなってきたので、とりあえず、皆でカレーを器に分けた。
死体を長い間放置したような異臭が、カレーから漂ってくる。鼻を刺すような、鋭い匂いだ。
山田ランネ
ぱくり。 ランネが恐る恐る、スプーンを口に運んだ。
そして何回か咀嚼してから、 ゆっくりと口を開いた。
山田ランネ
案の定、このカレーの味は最悪なものであった。
食べ物だと思えない程の不味さ。 ドロドロの何かを噛むたびに、吐き気が体の底からせり上がってくる。
水で無理矢理流し込むも、その水でさえ不味く感じてしまう。
天童夏希
天童夏希
“あの”夏希でさえも、余りの不味さに戦慄して、盛大にむせ込んでいる。
…しかし。 いくら不味いからと言っても、食べ物を粗末にするのは、良くない気がする。
そこで、これを見ている“君たち”の出番だ。
このゲロマズキショキショマズカレーを、君達のうちの子の手によって、 誰でも安心して食べれる、まともなカレーに直してやってほしい。 参加条件は至って簡単。 「#どうにかして料理をマシにするうちの子」を付けて、投稿するだけ。
魔法が使えるのなら、魔法でこのカレーを まだまともだった状態に戻して、 最初から作り直す のも良し、
何でも力技で解決するタイプなら、 イチゴヨーグルトやトリュフ、キノコなど、カレーに合わなそうな物を取り除いて、食べれるようにするのも良し。
とにかく、 君の力と、君のうちの子が必要なのだ。
貴方の想像力と創作力、そして、 うちよそ愛で、 どうかランネ達を助けてやってほしい。
ではどうか、 宜しく頼みます。 ご都合委員会 〇△より
終わり 使用メーカー: あまみえびの着せ替えメーカー 様 追記 ・料理をマシにする物語は、 “貴方が”書いてください!私はそれを読んで、感謝の言葉を並べ続けます。
(ちょっと喋る 読まなくても大丈夫です) 後半、雑すぎてモチベ下がる 関係ないけど、字が下手すぎて勉強のやる気無くなる 今日マジで何もしてない せっかく勉強やらんデーだったのに、ただショートを寝っ転がって見てただけ マジ意味のない一日だったかも でも久々のランネちゃん可愛い まもるん、ようやく登場できたね 見た目と設定ちょっぴり出されただけだったもんね 終わったから、またシリーズモノのストック貯めできる あーーー楽しみ マジでネタが尽きてない 私にしては珍しい 偉いよね本当に
コメント
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完成したcurry見た時「うぇ゛ぇ゛い゛ぃ゛」ってゾンビに噛まれたパリピみてぇな声出ました 地の文の美しさと状況のカオスさが微妙に全部噛み合ってなくて。もう。シュールすぎて。瀕死。 あっ書きま~す
某ガキ大将の作ったシチューのようだね 書きたーい! 時間みつけてコツコツと書くと思う
先生と夏希さんが登場した時点で色々諦めたよね そのうち書きたい! 多分、きっと、おそらく書く