◯◯を誘拐したのは誰だ

ー大吾sideー

そう言うと、流星はニコッと口角を上げた。それに可愛いなと 思いながら、続けて「誰かと一緒？」と聞いた。

流星は、俺が怒るとか思ってるのか自信がなさそうにそう言った。

流星が浮気をすることはないって分かってたから、 信じていたから、偽りのない笑顔を流星に見せた。

次の日、流星は午後１２時半過ぎに家を出た。 １３時集合なのか、、とか思いながら、流星を玄関で見送った。

コツコツとつま先を床に叩きながら靴を履いて、 流星は元気に外へ出た。

流星が居なくなって、寂しくなった部屋に戻り、 見逃したドラマや、見てないYouTubeをひたすら見て、 寂しさを紛らわした。

丈くんとか、、、 どこ行くんやろ。映画とか？いや、さすがに西畑という恋人が ありながらそれはないやろ。あー、やっぱモヤモヤする。 疑ってはないけど嫉妬はする。

動画を見ていても、途中からそうやって考えてしまって、 考えるのを辞めようと大好きなYouTuberさんを爆笑しながら 見ていた。

それも見終えて、時間が出来たから日に当たろうと外に出た。

しばらくして家に帰り、時計を見ると既に１９時を回っていた。

流星、１９時までには帰るって言ってたよな？

流星が約束を破るのは珍しく、少々焦りながら 流星に電話をかけた。しかし、不通音とアナウンスが 聞こえるだけで、流星は電話に出てくれなかった。

少々の焦りは、大きな焦りに変わり、 慌てて丈くんに電話をかけた。

その声を聞いて、驚いた。なんで丈くんは電話に出るんやと。

なんて？だいぶ前に？

１７時には別れたはずなのに、まだ帰ってこない？ そんなのおかしい。 だったらとっくに帰ってきてもいい時間やった。

丈くんが嘘をついているとも思えず、流星が心配で交番を訪れた。

焦っていて、混乱していて、なかなか思うように 伝えられなかった。

それから警察の方といくつか問答を繰り返したが、警察はただの 家出だとかもう少し待てば 帰ってくると思うと取り合ってはくれず、腹を立てながら 家に帰った。

家出なんて流星がするはずがなかった。昨日も、これからもずっと 一緒に居ようね、なんて、そんな傍から見ればバカップルのような ことも話していた。

あと少しで帰ってくる？何を根拠に。流星を１番理解してるのは この俺や。約束を破ることも、連絡をしてこないのも、 流星らしくなかった。

もう、警察なんか当てにならない。