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文豪陰陽師

第6話 - 鳳家・与謝野晶子

2025年07月14日

#文豪陰陽師

#完全一次創作

#完全オリジナルストーリー

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#陰陽師

#文豪

꒰ঌソラ໒꒱

圭吾

…成程、君が…

太宰

新しく俺らの仲間になる奴か…？

そこには

太宰君と同じくらいの歳の、華奢な女性が、無表情で座っていた。

他のみんなは、もう挨拶したのか、この部屋には彼女と、私と、太宰君しかいなかった。

晶子

…晶子…私は、「与謝野晶子」…いいや…違います…いいえ…

圭吾

？彼女は…何を…

晶子

………私の本名は…「鳳晶子」………鳳家の長女………

鳳家…新・大五家の一柱…

圭吾

…何故、最初に与謝野晶子と…

晶子

………私は、与謝野鉄幹様の婚約者でございます。

圭吾

許婚………か…

晶子

………私が、婚約を決めたのも………

晶子

はやく………はやく、鳳家の苗字を捨てたくて………

晶子

………こんなこと、考えたくもないけれど………

晶子

………第二次日本紛争が………起こる前に………

太宰

………

彼女は、ふと、太宰君のほうを見た。

晶子

………鉄幹様は、貴方のように、赤い目をした御人でした…

鉄幹

…ねぇ、晶子。

晶子

…なんでございますか？

鉄幹

結婚…ホントに、俺とでいいのか？

晶子

…私は、あの家から逃れられるのなら、誰だって構いません………

晶子

………貴方の方こそ、良いのですか…？

鉄幹

？何が？

晶子

私との結婚………貴方にも、断る権利はあるのですよ………？

晶子

私は…貴方を愛すために結婚するのではありません………ただ、貴方との結婚を利用して、家から逃げようとしている………なのに………

晶子

どうして、貴方は…

鉄幹

…？なんで…って…

鉄幹

俺が君を愛してるからだけど…

晶子

え…？

鉄幹

たとえ君が俺を愛してなくても

鉄幹

俺が君を愛してるから

鉄幹

一方的に愛を押し付けるだけになるかもしれないけど…

鉄幹

それでも、俺は君と一緒に生きたいから。

晶子

…そう、ですか…

鉄幹

…ところで、親御さんには………

晶子

………まだ、話してないです…

晶子

父様から、反対されるのが怖くて…

鉄幹

………そっか

鉄幹

まぁ、いつ言うにせよ、絶対に打ち明けなきゃいけないんだしさ…

晶子

………そうですね………

晶子

………鉄幹様は、父上も母上も病気で亡くされておりました………

晶子

それ故、私との婚約も、「自分が安泰に過ごすため」だけだと、私は思っていたのです………

晶子

………私は………彼との婚約を利用しようとした………だけ…だったのに………

圭吾

………そっか………

太宰

………

晶子

でも…でも………

晶子

やはり、父様は、許してくれなくて………

晶子

「良い家の出が、何故、こんな下級な民と結婚しなくばならないのか」………と、

晶子

鉄幹様を、追い出してしまいまして………

晶子

今は…何処にいるのやら………

太宰

………アンタ、反対はしなかったのか？

晶子

………勿論、反対はしたかったです………でも………

晶子

父様も、母様も………親戚や私の周りの人達も………皆、私と鉄幹様の結婚を反対していました………「釣り合わない」………と………

晶子

皆様が言うことならば………きっと、正しいと………私は考えて………彼を………鉄幹様を捨ててしまったのです………

太宰

………もしかしてアンタ、そういう人生の分岐点に立たされるたびに、周りの奴らについていったのか…？

圭吾

…？太宰君…？

今の彼は、私にとっては、少し怒っているように見えた

晶子

…周りの人達に合わせる…というよりも

晶子

………多い人達についていっておりました………少ない方々についていったり、自分で考えて進んで、間違えるのが………怖くて………

太宰

………ふざけんなよ

晶子

え…？

太宰

ふざけんな！！

晶子

((ﾋﾞｸｯ

圭吾

？！太宰君…

太宰

お前…何してんだよ！！

圭吾

太宰君！彼女は今、ただでさえ傷心していて………

太宰

あぁそうか！ならば傷ついているところ悪いな！！

太宰

晶子！

晶子

！は、っはい…っ？

太宰

甘えんな！！他人に命を委ねんな！！！

太宰

”正しき道を行く”ということは…

太宰

必ずしも”多数派の奴らの後ろをついて歩く”ことじゃねぇんだぞ！！！

晶子

…！

太宰

正義も正しい道も、誰にも解んねぇんだよ！

太宰

その理由が分かるか？！

晶子

…分からない…です…

太宰

よく”正義は勝つ”とか言われてるがなぁ…

太宰

あんなモンは嘘だ！！

太宰

”正義が勝つ”んじゃねぇ！

太宰

”勝ったモンが正義”になるんだ！！

太宰

だから、自分で考えて！正義だと思った道を行って！

太宰

「あぁ、今、自分は幸せだな」と思える瞬間が、その道の先にあるのならば！

太宰

それが正義だ！己にとっての正しい道だ！

晶子

っ…！

太宰

正義…正しい道が誰にも解らないのは…

太宰

成功だとか、大切なものだとか…

太宰

それが、”幸せの定義”が人それぞれ違うからなんだよ！！

晶子

…幸せの定義が…？

圭吾

…そう、だね…

圭吾

ほら、誰かにとってはゴミに過ぎなかったとしても、自分にとっては大切なものだったりするでしょう？

晶子

…！

晶子

…そう、ですね…

晶子

…これからは「与謝野晶子」として………よろしくお願いします…！

「与謝野晶子」￣￣￣￣￣￣￣￣金「月二夜」土「君死ニタマフ事ナカレ」￣￣￣￣￣￣￣￣

圭吾

よろしくね。

太宰

………よろしく

太宰君は、少し気まずそうだな…

そして、扉を開けると、出ていこうとする前に晶子さんのほうを振り向いて、こう告げた。

太宰

…頑張れよ。晶子…

太宰

俺も、元は良い家の出でな…

太宰

何度も自殺しようとしたし、そのたびに親や周りに迷惑もかけてきた………

圭吾

（…え？自殺…？でも…彼はまだ…）

15年しか…

太宰

…でもな、

太宰

それでもな…

太宰

自分がどう生きるかの道を、他人に尋ねたことはねぇ。

晶子

…そう、

晶子

貴方は…偉いですね………

晶子さんが微笑んでそう言うと、太宰君は出ていってしまった。

そして、今は晶子さんの歓迎会をやっています。

太宰君はさっきのこともあってか、晶子さんと会話を交わそうとはしなかった

でも、晶子さんは太宰君を見つけるや否や

晶子

隣、いいですか？((ﾆｺｯ

太宰

………どうぞ。俺は気にしねぇ

とまぁ、積極的（？）に話しかけていた。

圭吾

ふふっ…仲良くできそうだね。

春樹

圭吾〜。ちょっとこっち来てくれないか？

圭吾

ん。分かったよ

春樹

綺麗だろ？こっから見る星は、

圭吾

…うん。そうだね

春樹

だろ？

彼はそう言うとにっこりと屈託なく笑った

…まるで、あの時のような………

春樹

………なぁ、圭吾

春樹

お前、将来の夢とかあんの？

圭吾

？将来の夢…？そうだなぁ………

圭吾

………小説家になりたい、かな？

春樹

………そうか…

圭吾

春樹君は？

春樹

…

私が言うと、彼は哀しそうに笑って

春樹

………俺さ、

春樹

教師に”なりたかった”んだよね………

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第6話 - 鳳家・与謝野晶子

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