ふたば
ねぇ、ももか。バイバイ。
ももか
えっ?どーゆー事!?ふたば?ふたば!?
次の日、ふたばは学校に来なかった。
先生
ふたばさんは、他校に転校しました。
次の日
ももか
おはよぉ
シーン…
ももか
あれっ?どうしたの、みんな!
ふたばの机は酷く落書きされていた。
ももか
えっ…?
あんな
ゆ、ゆづき…ごめん…私、ももかにやるの、無理かも。
ゆづき
そう。そしたら次は、あんたね。
あんな
っ…
次の日
ももか
おはよー
ももか
(あれ?ゆづきが1人だ。)
あんな
おはよー!
ももか
どうしたの?ゆづき、1人じゃん。
あんな
敵、(かたき)討ってやったよ。
ももか
えっ?
さえ
おはよう、あんな。
あんな
おはよ。さえ。
ここは
見たー?一斉メール。
ももか
えっ?見てない…
さえ
確認しなよ!
ももかは自分のスマホを取り出す
あんな
ほら。見て。
そこには、<ふたばをいじめていた張本人は、ゆづきです!!駅伝で優勝出来なかったからって、転校するまでいじめ抜いた最低な人間!!ふたばは転校までさせられたのに、ゆづきだけのうのうと今まで通り学校にいるなんて、許されていいのか!?>その文章には、ふたばの机を黒のマッキーで塗りつぶしているゆづきの写メがご丁寧に添付されている。
あんな
昨夜、LINEで一斉に送ったんだ!
あんなは得意げに、ニッコリ笑った。
あんな
やっぱみんな、ふたばが転校まですることになったのは、ヤバいって思ってたみたい。
何事もなかったかのように静かに、午前の授業が終わりかけた時だった。数人の人が言い合う声と、乱れた足音が廊下を渡ってくる。数人の声は争ってるようだ。授業中ではあるが、生徒達は好奇心から聞き耳を立て、当選勉強など身が入らず浮き足立つ。
先生
授業に集中!ちゃんとしない者は内申落とすわよ!!
担任の矢田が古文の教科書で教卓をたたく。こんなことで内申落としてたまるか!というように生徒は皆静まり返った
ゆづきの母
とにかく、きちんと話を聞かないことには、納得が行きません!!
ガラッといきなり開けられたドアから、争う声が飛び込んで来た。教科書に目を落としていた生徒が一斉に顔を上げる。そしてゆづきは思わず腰を上げた。
ゆづき
お母さん!!
ここは
えっ?
さえ
マジか…
ゆづきの母
こんなものがクラス全員に配信されたようですね。
あんな
っ…
ゆづきの母
これは、私のPTAのお友達がお嬢さんのお友達から送られたものを転送してくださったものです。文章もありましたね。うちのゆづきが、クラスメートにいじめを働いていたと。
ドンッ!!
ゆづきの母は、教卓を叩いた。
ゆづきの母
誰なのっ!?うちの娘を犯人扱いした人間はっっ!
先生
ま、まぁ木村さん。まだ授業中ですし、ここはちょっととりあえず校長室でお話を……
ゆづきの母
授業!?こんな卑劣な事する人間に、まともに授業を受けさせる必要がどこにあるんですか!?
先生
は、はい…
ゆづきの母
皆さん、携帯を出してください。出したら、触らないこと。触ったらその時点で重要参考人ですからね!
あんなだけが携帯を出せないでいる。
ゆづきの母
あら、あなた、携帯は?
あんな
あ、あの…
ももか
ちょっと待ってください。ちょっとこれは、酷すぎませんか?
ゆづきの母
な、何よ。子供のくせに。
ももか
子供です。子供だけど、口出ししては行けないんですか?だからこそ、大人が私たちの領域に踏み込んで欲しくないんです。だから、この問題も自分たちで解決します。