尊
(すっかり、日が暮れたな……)
尊
背後から視線を感じ振り返ったが、誰もいない……
尊
(気のせいか……?)
首を傾けつつ、帰路につく
ツカサ
ツカサ
(危うく、見つかるところだった……)
ツカサ
(──それにしても)
ツカサ
カッコいいな
思わず見惚れる
ツカサ
(年下の男の子を、好きになるなんて)
ツカサ
(思いもしなかった……)
武良雨尊(むらさめみこと)
身長:181cm 体重:63kg
桃花鳥ノ森(ときのもり)高校1年生 新聞部所属
特技は料理
アパートで一人暮らし 大家さんから実の息子のように可愛がられている
ツカサ
(……わかったことといえば、これくらいだけ)
ツカサ
(彼のこと、もっと知りたい──)
ツカサ
(いっそのこと、話しかけてみようかな……?)
ツカサ
ツカサ
──そんなの、無理に決まってるじゃない
ため息をつく
──彼へのストーキングがやめられない
数日後
ほぼ毎日といっていいほど、ストーカー行為を繰り返した
それでも、気づかれないように配慮は忘れない
ツカサ
(もし彼に気づかれたら、おしまいだ)
ツカサ
(今以上に、近づけなくなる……)
尊が歩き出し、ツカサもこっそりと跡を追う
ツカサ
(どこへ、行くんだろう?)
何してんだ? お前
ツカサ
え?
ガシッ
次の瞬間、片手で首を掴まれた
ツカサ
……!
そのまま締め付けられ、指が首に食い込む
ツカサ
(……く、くるし……)
ツカサ
…………ぁ……
ツカサ
(……い、きが…………)
意識を失う直前──
……チッ
どさっ
放り投げるように手を離した
ツカサ
げほっごほっ……
ツカサ
息をととのえると、ゆっくりと瞼を開く
前髪で片目を隠し、フードをかぶった黒いパーカーの14歳くらいの少年が見下ろしていた
ツカサ
…………
氷のように冷たい視線を向けられ、恐怖感に襲われる
?
答えろ
?
何してたんだ?
少年とは思えない威圧さに口が開かない……
ツカサ
?
お前、先輩のなに?
ツカサ
(……先輩?)
ツカサ
(先輩って、彼のこと……?)
?
──なんだコレ?
手帳を拾い、中身を見る
ツカサ
……それは!
ここ数日、彼のことについて記録が事細かく書き込まれていた
目を通したあと、顔付きが変わる
?
持っていた手帳が腐食し、ぼろぼろと崩れ落ちた
?
……先輩に近づく害虫は、駆除しなきゃ
ツカサ
……イヤ、来ないで──
大鎌を上段にかまえる
?
──人間の分際で、“先輩“に手を出そうとすんじゃねぇよ
ツカサ
刃が振り下ろされた