テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

時 透 s i d e .

蝶屋敷の朝は静かだった

雨上がりの庭には水滴が光り、小さな花たちが露を抱えていた

無一郎は早朝から、庭の隅で木刀を振っていた

ただでさえ鋭い表情に、今は言葉に出来ない迷いが浮かんでいる

時 透

( ...芙梛が、鬼

確信は無い

だが、直感は何かを訴えてくる

以前、任務で遭遇した上弦の零と、芙梛の持つ何かが、どうしても重なってしまう

そしてもう一つ、心に影を落としているもの──

時 透

( どうして僕はあの人の事が、こんなに気になるんだろう

おはよう、無一郎くん

不意に背後から声を掛けられた

振り向くと、「 甘露寺蜜璃 」が小さく微笑んでいた

時 透

...おはようございます

甘 露 寺

ねぇ、最近ちょっと変じゃない?

甘 露 寺

すごく考え込んでるように見えるの

無一郎は少し口を閉ざし、暫くしてから答えた

時 透

芙梛さんの事を考えてました

甘 露 寺

ふふ
それって好きって事なんじゃない?

蜜璃の無邪気な言葉に、無一郎の手が一瞬止まる

時 透

え...

甘 露 寺

自分じゃ気づかない事もあるわよ?

甘 露 寺

気になる人の事考えて、
胸がモヤモヤして、
でもその人の事守りたいって思う...

甘 露 寺

それ恋だと思うな〜!

蜜璃はそう言って、無一郎の肩を軽く叩いた

甘 露 寺

私もね、誰かを好きになる事って、もっと難しいものだと思ってた

甘 露 寺

でも案外、心は素直だったの

彼女の言葉に無一郎は答えない

けれど、その心の奥で何かがゆっくりと形になっていくのを感じていた

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その日の昼

芙梛と出会った縁側で、一人腰掛けて空を見上げた

無一郎は静かに呟いた

時 透

...芙梛が鬼だとしても

そこまで言いかけて、言葉を止める

時 透

...いや、違う

時 透

きっと、違う

揺らいでいるのは心ではない

揺らいでるのは、 "信じたい想い" と "疑ってしまう直感" だった

鬼 と 人 間 は 結 ば れ な い 。

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

427

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚