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胡 蝶
胡 蝶
しのぶ柔らかな声が響く
その隣で芙梛は、微笑んで頭を下げた
芙 梛
表情は笑顔、心の中は混乱
薬の研究を手伝いに来たはずが、
なぜか今は、機能回復訓練の補助係
しかも
「 竈門炭治郎 」くん
例の嗅覚が鋭いとか言う隊士
どうやら、すごく真面目らしい
すでにいい匂いの中に、
少しだけ疑念を混ぜたような気配もしてるけど
芙 梛
にこっと笑って返す
この人には、あんまり隙を見せてはいけない気がする
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訓練後の廊下
「 嘴平伊之助 」の声が聞こえた
嘴 平
嘴 平
と「 我妻善逸 」の声も聞こえた
芙 梛
芙梛は薄く微笑んだまま、背中を向けた
背中に刺さる人間の警戒心は、慣れてる
でも、ほんの少しだけ...
芙 梛
その夜
縁側に腰をかけて、蓮の花を見つめていた
人間のフリなんて、上手になったもんだ
でも、どれだけ馴染んでも、私は鬼
それは、変わらない
不意に背後から声がした
振り返ると、炭治郎がいた
竈 門
竈 門
芙 梛
芙 梛
竈 門
竈 門
心臓がドクンと鳴った
芙 梛
芙 梛
そう言って、芙梛はまた花に視線を戻した
炭治郎の気配がそっと離れていく
でも彼の言葉は、胸に刺さったままだった
芙 梛
芙 梛
目の前の蓮の花が、ふわりと夜風で揺れた
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