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第39話 - 怪異レポート8《パソコン室の怪異》

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2025年09月15日

#司類

#冬彰

#ホラー

#ほのぼの

#感動

あかまる🍓🐾໊

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#39 怪異レポート8《パソコン室の怪異》 / あかまる🍓🐾໊

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※創作した名前ありモブキャラがいます

※捏造等もあります

※多分、人を選ぶ系の話です。

※毎度の事ながら、何でも許せる人だけどうぞ

ザザ……

ザッ…ザザッ

先生

おい天馬！！

司

はいっ！！！！

先生

また居眠りとはいい度胸じゃないか。

司

すみませんでした！！

先生

相変わらず返事だけはいいな…

先生

ちゃんと聞いておけよ〜

司

はい！！

司

(いかんいかん…また嫌な夢を、)

司

(とにかく、授業に集中せねば。)

司

(今日の放課後は怪異調査だから…)

生徒

ねーねー、昨日私さ、こんな"おまじない"見つけちゃったんだよね！

生徒

"好きな人と一緒にいられる"おまじない？

司

？！

突如頭痛と共に、猛烈な吐き気に襲われた。

司

う"……っ、お"ぇっ

司

ｹﾞﾎｯ、ｹﾞﾎｯ……

"おまじない"

司

う"っ……

司

(オレの……オレのせいで、)

苦しそうだね。

司

！！

思い出しちゃった？

司

うるさいっ！！話しかけないでくれ！！

酷いなぁ

司

お前は……っ、なんで、どうして……

司

…類の姿で、現れるんだ……

だって、君が閉じ込めたのはこれだもん。

見れば嫌でも、思い出すだろう？

司

やめろっ！！

司

もう…やめてくれ…！！オレの前に現れるな！！

…

そんなに見たくない？

司

…………

そう。

まぁいいよ。どうせ、そろそろだし。

司

…？

ｽｩ…

司

(……消えた、か。)

司

(……早く教室に戻らねば。)

放課後

類

今日は怪異調査なんだったよね。

司

あぁ！8番目だ！

彰人

なんか、もう残り2つと思うと早いですね。

冬弥

1年もあっという間でしたね。

類

そうだねぇ

類

8番目は何の不思議なんだい？

司

8番目は、パソコン室だ。

司

今から約2、30年ほど前、パソコン室が出来たことに伴って、技術部が出来たらしい。

彰人

あぁ、今もありますよね。

冬弥

たしか、ゲームを作ったりしているとか…

司

あぁ！その技術部が出来たばかりの頃の話だ。

司

創設者だった男子生徒と、部に入ってきた2人の友人の3人で、ゲームを作ったらしい。

司

そのゲームはいわゆるギャルゲー？という、恋愛シュミレーターのようなものだったそうだ。

司

完成したゲームは作者たちの周囲に広まり、学校全体に広まって、プチブームを引き起こした。

司

パソコンの台替えなどで、そのゲームのデータはもう消えてしまったらしいが…

司

17時台に、パソコン室に入って手前から8番目のパソコンを起動すると、そのゲームで遊べるそうなんだ。

類

へぇ、面白そうだねぇ

彰人

遊べるだけなんですか？

司

あぁ、話にはもう少し続きがあってな。

司

そのゲームは最初に、3人のキャラクターから1人選んでプレイするそうなんだが、

司

どのキャラクターを選んでも、必ずとあるキャラクターでプレイされるらしい。

類

おぉ、怪異っぽいね。

司

あぁ。それと、もう少し怖いのが…

司

選択肢を誤れば、そのままパソコンの中に引きずり込まれてしまうそうだ。

冬弥

ぱ、パソコンの中に…

彰人

丁度17時ですし、パソコン室行きますか。

司

待て待て待て！！！

司

い、一応危険度の高い怪異ではあるんだぞ！

彰人

危険度とかあるんですか？

司

あぁ。この不思議の順番は危険度になっているんだ。

司

1番目が、1番安全。そして、そこから数を重ねる毎に危険度が上がっていく。

類

へぇ、それ知らなかったな。

冬弥

となると……たしかに、8番目はかなり高そうですね。

彰人

でも、調査は行くんですよね？

司

あぁ！だが、下準備をしっかりして行くぞ！

司

まず、正解の選択肢のルートが記された紙を探すところからだ。

類

紙……って、もしかして、床下から？

司

その通り！

司

先輩方が残してきたメモがあるはずだ。

彰人

じゃ、サクッと探しましょうか。

冬弥

あっ、もしかしてこれですか？

司

おぉ、それだ！！よく見つけたな！

類

案外早く見つかったねぇ

彰人

うわっ、選択肢多いっすね。

司

なんでも、好感度をMAXにしてはいけないらしい。

司

好感度が半分くらいでクリア出来れば、引きずり込まれることは無いそうだ。

冬弥

メモが無いと難しそうですね。

司

あぁ。あと、今日はパソコン室の使用許可ももらっているから、今回は反省文無しだぞ。

類

おや、大鏡以来じゃない？

彰人

先生も嬉しかったんじゃないすか？

司

うむ。少し泣きそうになってた。

類

先生…

司

よし、17時台の内にパソコン室へ行くぞ！

パソコン室

司

手前から8番目……この台だな。

類

君パソコンの使い方分かる？

司

お前はオレを何だと思ってるんだ？？

彰人

あっ、もしかしてこのファイルですか？

司

おぉ、これだ！

冬弥

真っ黒で如何にも…って感じですね。

司

慎重に開くぞ…

カチカチッ

『🎼.•*¨*•.¸¸♬🎶•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪(音楽)』

彰人

うわっ、音声古…

冬弥

え？

司

む、どうした？

冬弥

いえ……これ、フリー音源ですか？

司

さぁ……そこまでは分からんが…

類

聞いた事ある曲だったのかい？

冬弥

いえ、これ自体は無いのですが…

冬弥

……いえ、気のせいです。なんでもありません。

司

そうか？

『キャラクターを選んでね！』

類

3人いるねぇ。誰にする？

司

どれを選んでも、必ずとあるキャラになるらしいが…

類

司くん選んでよ。この中だったらどの子が好きなの？

司

この中だったら……そうだな、

司

1番右端の、この子だろうか。

彰人

あぁ、ぽい。

司

「ぽい」って何だ？！

『この子でプレイする？』

司

えっと、「はい」でいいんだよな。

『じゃあ、ゲームスタ＿ガガガッ

類

おや、

ガガガッ＿ピーーー＿

『選んでくれてありがとうっ！』

冬弥

強制的に真ん中のキャラになりましたね…

司

あぁ…噂の通りだ。

『ゲームスタート！』

類

このキャラは…どうやら、ギャル系のキャラみたいだね。

彰人

好感度って最初から50なんですね。

司

あぁ。この状態を維持しないといけない。

『🎼.•*¨*•.¸¸♬🎶•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪(音楽)』

キャラクター

『久しぶりに会えて嬉しい!!』

キャラクター

『しばらく会いに来てくれなかったけど、何してたの?』

▷『風邪で寝込んでて。』『うるさい。話かけるな。』無視する。

冬弥

下2つがかなり辛辣ですね。

司

えっと、この選択肢は…

司

…2つ目を選べばいいみたいだな。

『風邪で寝込んでて。』 ▶ 『うるさい。話かけるな。』無視する。

キャラクター

『えぇ〜?もう、照れなくていいのに!』

キャラクター

『風邪で寝込んでたんでしょ?お見舞い行けなくてごめんね｡』

類

辛辣な返しだったのに、ポジティブだねぇ

彰人

好感度も変動なしですね。

キャラクター

『そうだ!!今度の夏祭り､どうせ予定無いでしょ?』

キャラクター

『私と一緒に行こうよ♡』

▷『いいね!行こう!』『お前と行くなら死んだ方がマシ』無視する。

司

2つ目酷すぎないか…？

彰人

まぁ、思っても言わない方がいいですよね。

冬弥

これは…3つ目を選択するみたいですね。

司

ゲームとはいえ、無視するのは少し心が痛むが…仕方ないな。

『いいね!行こう!』『お前と行くなら死んだ方がマシ』 ▶無視する。

キャラクター

『あれっ?ちょっと~!照れないでよ~!』

キャラクター

『じゃあ､8月12日にいつもの公園集合ね!』

類

健気だねぇ…

冬弥

好感度はいい感じに維持出来てますね。

彰人

このゲームって、クリアまでどのくらいかかるんですか？

司

大体2〜30分程度らしい。

類

あっ、次はお祭りイベントみたいだね。

キャラクター

『どぉ?浴衣似合う?』

▷『似合ってる!可愛い!』『そんなのどうでもいいから、早く行こう。』無視する。

司

おぉ、ちゃんと浴衣差分もあるのか。

類

可愛いねぇ

彰人

これも2つ目っぽいですね。

『似合ってる!可愛い!』 ▶『そんなのどうでもいいから、早く行こう。』無視する。

キャラクター

も~!そんなに楽しみにしてたの?

キャラクター

いいよ!早く行こ♡

ガガッ＿ガガガッ＿

司

ぱ、パソコンから変な音が…

ガガガガッ＿

冬弥

大丈夫でしょうか…？

ピーーーーー＿

キャラクター

『今どこにいるの?』

司

？！

彰人

選択肢は…出ないですね。

キャラクター

『私のこと、好き?』

▷『好き』『嫌い』

類

おや…これは、

冬弥

メモには……無い、選択肢ですね。

司

何っ？！

彰人

なんか、どっち選んでも好感度は変動しそうですね。

類

そうだねぇ……どうしようか、

『残り、10秒。』

司

制限時間付きだと？！

司

えっと、えぇっと……こ、困ったな…

『残り、5秒。』

彰人

選択しなかったらどうなるんですかね。

司

わ、分からんがどっちかは押さないと…

ピーーーー＿

冬弥

…時間切れでしょうか、

キャラクター

『…』

キャラクター

『すぐに答えられないくらい、私のことが好きなの?』

▷はいはいはいはい

司

せ、選択肢が「はい」しかない？！

類

わぁ……

彰人

ゲームって終了出来ないんですか？

彰人

パソコンの電源切ったりとか。

司

そこ、普通電源ついてたら光るだろう？

彰人

…何もついてませんけど、

司

あぁ。多分変な音がした時から、電源は切れていた。

冬弥

ゲーム終了のボタンも見当たらないですね…

類

このゲームを途中で辞めるのは不可能と、

彰人

マジか、

彰人

じゃあ…もう、とりあえず押します？

司

まぁ…選択肢がこれしか無いんじゃあな、

司

……よし。

▶はいはいはいはい

キャラクター

『そうだよねっ!!嬉しい!!』

キャラクター

『今すぐ会いたいな~!』

キャラクター

『これ、邪魔だね。』

司

？！

司

(せ、セリフのフレームを投げ捨てた？！)

『ドンッドンッ!!(叩く音)』

キャラクター

ん~､これも邪魔だな~

司

な……っ？！

彰人

これ……こっちに来ようとしてます…？

類

完全に意思を持って動いてる気がするね、

キャラクター

あ~!出られそうにないよ~!!

キャラクター

そうだっ!

司

(嫌な予感、)

キャラクター

こっちに来てもらえばいいよね!

司

？！

冬弥

っ……

冬弥

……？

冬弥

(あ、あれ……？)

冬弥

(み、みんないないのに……なんで、俺だけ…？)

冬弥

(流れ的に恐らく、パソコンの中へ引き込まれたのだろうが……)

ふと、ポケットに手を入れた。

冬弥

……あ、

ポケットの中には、粉々に砕けた白い石が入っている。

冬弥

(この石、曾祖父母の家で教えてもらった、御守り…)

冬弥

(砕けている…ということは、これに守られたから、俺は引き込まれなかったのか？)

冬弥

(…………しまった、)

冬弥

(彰人に……渡しておくんだった、)

冬弥

(どうして俺はいつもこう…)

冬弥

(……いいや、そんな事考えても仕方ない。)

冬弥

(俺は残れた…ということは、むしろきっと好都合だ。)

冬弥

(みんなを連れ戻す方法を探そう。)

司

(う、うぅん……)

おはよう♡

司

？！？！

司

(こ、この如何にも可愛らしい部屋は…)

ミク

私、ミク！貴方は？

司

て、天馬司だ。

ミク

司くん！会えて嬉しいよ♡

司

(類も…みんな見当たらない、)

司

(それに、このミクの好感度…)

『♡好感度♡ 100』

司

(じ、上限まで達している…)

ミク

えへへっ、嬉しいな~！

ミク

そうだっ！お部屋の紹介してあげるね！

ミク

じゃじゃ~ん！クマのぬいぐるみ！

ミク

可愛いでしょ？

司

そ、そうだな。

司

(すごい……このクマも、部屋の壁や棚も全部、ホログラムっぽくなってる、)

司

(ゲームの世界…か、)

司

(帰るにはどうすればいい？そもそも、帰る方法はあるのか？)

ミク

どうしたの？

司

えっ、あぁ…えっと、

ミク

私ね、司くんのこと大好き！

ミク

司くんは、私のこと好き？

司

えっ

司

そ、それは……何とも言えん、が、

ミク

私のこと、好きじゃないの…？

司

いや、好きじゃないというか…

司

すまないが、この世界から出してくれないだろうか？

司

帰らせて欲しいんだ。

ミク

…

ミク

…なんでそんな事言うの？

ミク

あっ、そっか！今の"私"は、司くんの好きな"私"じゃないんだね！

ミク

どこがダメなのかなぁ？全部？

司

いや、君がダメとかな訳じゃなくてだな、

司

オレには帰る場所が…

ミク

司くんは、どんな目の色が好き？

司

えっ？め、目の色？

ミク

そう！どんな目の色が好きなの？

司

どんな目……

司

…金、とか？

ミク

金色ね！分かった！

グシュッ

司

？！

ミク

じゃあ、もうこの目はいらないね！

司

え、は？！何してるんだ？！

司

(自分の目に手を突っ込んで、引っこ抜いた…のか？！)

ミク

司くん、金色の目が好きなんでしょ？

ミク

金色はどこだったかな〜

司

ま、待て待て！！！君はそのままでいいと思うぞ！！

ミク

でも、それじゃあ司くんは私のこと好きになってくれないんでしょ？

ミク

だったら、司くんが好きになってくれる"私"に変わらないと！

司

は、はぁ……？！

司

(いやいやいや…！！だからって、そんな…)

司

(どうすればいい？！少なくとも、簡単に帰ることは出来なさそうだ)

ミク

あった~！金色の目！

司

み、ミク！！

ミク

なにっ？

司

その……部屋！他の部屋も見てみたいんだが、案内してくれないだろうか？

ミク

部屋？もちろんいいよっ！

ミク

案内するね♪

司

(ひとまず、この空間を一通り把握しておかないと、)

司

(出口があるとは思えんが、せめて糸口さえ見えれば…)

ミク

じゃじゃーん！ここがリビング！

ミク

えへへっ、とっても可愛いでしょ？

司

あ、あぁ！可愛らしい部屋だな！

司

ミク、この棚とか開けてもいいのか？

ミク

棚~？見ても面白くないよ？

ミク

何も入ってないから。

司

(棚の中に何かあれば…と、思ったんだが、本当に何も無いな。)

ミク

そうだっ！司くん、お腹空いてない？

ミク

私がご飯作ってあげる！

司

ミク、料理出来るのか。

ミク

うんっ！いっぱい練習したの！

ミク

司くんはそこに座って待っててね！

司

わ、分かった。

司

(…今のうちに、もう少し部屋を探してみるか。)

司

(ミクには悪いが…帰る方法を探さないと。)

類

(ここは…)

類

(司くんもいないねぇ……)

おはよう♡

類

おや…

類

君は…えっと、ミクさん、だったかな？

ミク

うんっ！ミクだよ！

ミク

私の名前、覚えててくれたんだ！嬉しいな~！

類

(ゲームのキャラクターである彼女と、このホログラムの部屋を見る限り…ここはさっきのゲームの世界なのかな？)

ミク

貴方のお名前は？

類

神代類です。

ミク

類くん！会えて嬉しいよ♡

類

(ふむ……この上部に表示されているのは、恐らく好感度、なのだろうけど、)

『♡好感度♡ 100』

類

(これは…上限まで達してるねぇ、)

類

(簡単に帰ることは出来なさそうだ。)

ミク

えへへっ、嬉しいな~！

ミク

類くんとなら、ず~っと一緒にいられるよね！

類

…

類

すまないが、僕も帰らないといけないんだ。

ミク

どこに？

ミク

帰る場所なんて、あるの？

類

あぁ。

類

まだ終わっていなくてね。

ミク

でも…でも、

ミク

類くんは、ミクと同じでしょ？

類

うぅん…同じ、なのかな？

類

少し違う気がするけれど、

ミク

でもでも！似てるよね？

類

まぁ……似てる、のかな……？

ミク

だったら！ずっと私と一緒にいてくれてもいいんじゃないの？

ミク

ず~っとここで、一緒にいられないの…？

類

…

類

ごめんね。

類

僕、何よりも大切な人がいるんだ。

類

その人の所に帰らないと。

ミク

……

ミク

じゃあじゃあ、私がその人みたいになればいいんだね！

類

えっ？

ミク

その人の目の色は？髪の色は？体格、性別は？趣味に口癖、得意なことと苦手なこと、好きなものと嫌いなものは？類くんとの関係は？その人のどんなところが好き？ぜ~んぶ教えて！

類

え…

類

いや、あのね、

ミク

私、類くんに好きになってもらうためなら何でもするよ！

ミク

だから教えて！私、どうすれば類くんに好きになってもらえる？

ミク

どうしたら、ずっと一緒にいてくれるの？

類

(これは……困ったな…)

彰人

(何となく、こうなることは予想してたが…)

彰人

(それはそうと、これは…想定外というか、)

ミク

会えて嬉しいな~！

ミク

ず~っと、一緒にいようね！♡

『♡好感度♡ 10000000000000測定不可』

彰人

(好感度メーターぶっ壊れてやがる……)

ミク

えへへっ、いっぱいお話しようね♪

彰人

……分かったから、まずはこの縄外してくれねぇか？

ミク

嫌だよ。絶対逃がさない。

彰人

逃げねぇよ。

ミク

ホント？

彰人

あぁ。

ミク

分かった！急に縛っちゃってごめんね！

彰人

(さて…これで逃げたら、多分一生出してもらえなくなるな。)

彰人

(ひとまずは大人しくしてるか。)

ミク

まだお名前聞いてなかったね！東雲…何くん？

彰人

東雲彰人、だけど。

彰人

(なんで苗字は知ってんだ？)

ミク

彰人くん！いいお名前だね！

ミク

えへへっ、本当に嬉しいな~！こんな風に話せるなんて、夢みたい！

彰人

…？

彰人

(オレのこと知ってる？いや、そうじゃないな…)

ミク

そうだっ！折角だから、お部屋の紹介するね！

ミク

えへへ、可愛いお部屋にしてくれて、本当に嬉しかったんだ~！

彰人

(オレのことを知ってるわけでは無さそうだが…なんだ…？)

冬弥

(……床下の資料には、有益そうな情報はないな。)

冬弥

(あのゲームについてもっと知るには……)

冬弥

(…そういえば、あれはここの卒業生が作ったゲームなんだったな。)

冬弥

(2、30年前の生徒だと言ってたが…)

冬弥

(……図書室の卒業アルバム、)

冬弥

(そうだ。図書室に何か無いだろうか？)

冬弥

(完全下校時刻まであと1時間半……それまでに何とかしないと、)

ミク

司くん、どう？美味しい？

司

あ、あぁ！ミクは料理上手だな！

ミク

ホント？良かった~！！

ミク

い~っぱい食べてね！

司

(部屋には特に何も無かった…)

司

(窓も確認してみたが、開く気配もない。)

司

(それに、外の景色も作り物な気がする。)

司

(どうやって帰れば…)

司

(ん？)

司

(この絨毯の下……何かある？)

ミク

司くん？どうかしたの？

司

あ、あぁ！えっと…

司

お、おかわりしてもいいだろうか？

ミク

もちろんっ！すぐ作るね！

司

(絨毯の真ん中の下に何か…)

ペラッ

司

！！

司

(は、ハッチか？！)

司

(絨毯の下にあった……隠されていた？)

司

(隠されていたのだとしたら…もしかすると、帰る手がかりがあるのかもしれん。)

司

(入れるか？いや、ミクにもっと隙が無いと不可能か…)

司

(…いや！今行くか！料理中だし、すぐ手は離せんだろう。)

司

(鍵は……ついてない。入れそうだ。)

司

な……

司

(こ、ここは一体……地下牢？)

コツンッ

司

(む、足元に何か…)

下を見ると、そこに落ちていたいたのは左腕だった。

司

ひっ？！？！

司

(う、ううう、腕？！)

司

(これは、多分……ミクの、)

司

(よくよく見ると……この空間、体のパーツが山ほど散らばってる…)

ｸﾞｽｯ…

司

ん？

司

(今……気のせいか？鼻を啜るような音が…)

ミク

こんな所で何してるの？

司

？！？！？！

ミク

ここ、暗いでしょ？上に戻ろうよ。

ミク

ここには何も無いよ。

司

…

ミク

私といるの、そんなにつまらない？

ミク

どこがダメ？どうすれば司くんは楽しい？私のどこを直したらいい？

ミク

言ってくれれば、すぐに直すから、

ミク

だから、ずっと居てよ。

ミク

…帰らないで、忘れないでよ、

司

(「忘れないで」…か、)

司

(やはり……この怪異も、忘れて欲しくないから、こんな事を…)

司

…忘れないと、約束するから、

司

帰らせてくれないだろうか。

ミク

…なんで？

ミク

なんで、そんなに帰りたいの？

司

帰らなきゃいけないんだ。

司

向こうには、大切な人もたくさんいるから、

ミク

なんで……

ミク

なんでみんな……ミクのこと、1番にしてくれないの……？

ミク

私がゲームだから？バーチャルだから？

ミク

なんでみんなミクのこと忘れて、幸せになっちゃうの……？

司

…

司

(なんと言えばいいのか…分からない、)

ミク

嫌だよ、帰らないでよ、忘れないで、

ミク

一人ぼっちは嫌だよ…

司

！

「お兄ちゃん、もう帰っちゃうの…？」

「…ううん、何でもない！また来てね！」

「……帰らないで、」

「もう、一人ぼっちは嫌だよ…」

司

…

ミク

ｸﾞｽｯ…

司

上に戻ろう、ミク。

ミク

！

司

もう少し、一緒にいよう。

司

ずっとは……いてやれないが、

ミク

ずっと…居られないの？

司

あぁ。すまないが…ずっとは無理だ。

ミク

そっか…

ミク

じゃあ…ミクが寂しくなくなるまで、もう少し一緒にいてくれる…？

司

あぁ。もう少し居よう。

ミク

あれれっ、類くんお野菜嫌いなの？

類

あぁ、こればかりは本当に無理でね。

ミク

わわ~！ごめんね！すぐ全部退けるから！

類

あぁ、いや。自分でやるよ。

ミク

ううん、私がする！

類

すまないねぇ

類

(見たところ、玄関も無かったし、窓も開かなかった。)

類

(脱出の方法が分からないけれど…他に何か無いかな、)

類

(…おや？)

類

(絨毯の下に違和感…何かあるのかな？)

類

ねぇ、ミクくん。少し絨毯を捲ってみてもいいかな？

ミク

えっ？

ミク

き、汚いからあんまり見ないで欲しいな~！

ミク

急にどうしたの？

類

絨毯の下に少し違和感があってね。

ミク

ゴミが落ちてたのかも！ちゃんとお掃除出来てなくてごめんね！

ミク

後でちゃんと掃除しておくから、気にしないで！

類

…あぁ、分かった。

類

(見られたくないものがある…と、)

類

(この異物感…なんだろう？何かの枠？四角っぽいような…)

類

ご馳走様でした。美味しかったよ。

ミク

ホント？良かった~！

ミク

片付けてくるね！

類

うん、ありがとう。

類

(……さて、)

類

(おや、これは…ハッチか。)

類

(なるほど、地下室……彼女が隠したがるということは、何かしら脱出の糸口があるのかもしれない。)

類

(片付けてくれている間に、少し調べよう。)

類

(暗いねぇ……それに、これは、)

類

(地下牢……かな？)

類

(おや、体のパーツがあちこちに転がってる……全て彼女のものみたいだ。)

ｸﾞｽｯ

類

？

類

(誰か…気のせいか？)

ミク

気にしないでって、言ったのに。

類

！

ミク

戻ろう？類くん。

ミク

ここ、楽しくないよ。

類

…ここはなんの部屋なんだい？

ミク

要らないものを処分する、ゴミ箱みたいな場所だよ。

ミク

汚いから、早く戻ろう？

類

(ゴミ箱ねぇ…)

ミク

類くん、戻るよ。ね？

類

…分かった。勝手に入ってごめんね。

ミク

ううん！気にしてないよ！

ミク

私こそ、こんな汚い場所に類くんを入れちゃって、ごめんね！

ミク

さ、戻ろ♪

ミク

はいっ、あ~ん♡

彰人

いや、自分で食えるって、

ミク

そんなこと言わないでよ~！

ミク

彰人くん、美味しい？

彰人

まぁ、美味いけど…

ミク

良かった！

ミク

彰人くん、私も私も！

彰人

？

ミク

「あ~ん」って、してくれないの？

彰人

げ、

ミク

して欲しいな~

彰人

…仕方ねぇな、

ミク

えへへっ、ありがとう！♡

彰人

(玄関らしきものは見当たらなかった。それで、窓も開かない。)

彰人

(棚も見たが、何も無かった。他に見てないところは…)

ミク

どこ見てるの？

ミク

今、何見てたの？あのぬいぐるみ？壁にかかった絵？それとも可愛いカーテン？

彰人

えっ、いや……棚、だけど、

ミク

あっ、この棚かぁ~

ミク

そんなに気に入ったの？この棚の、どこが好きだった？

彰人

いや、見てた理由とかは特に無い…

ミク

じゃあ見ないでよ。

彰人

わ、悪い。

彰人

(束縛系過ぎるな……)

ミク

…このお部屋可愛いけど、彰人くんの視線を私から奪うのは嫌だなぁ

ミク

彰人くん、ちょっと絨毯から離れてくれる？

彰人

え？おう、

ペラッ

彰人

！

彰人

(絨毯の下に…ハッチ？)

ミク

彰人くん、こっちこっち♪

ミク

まだ案内してない場所だから、着いてきて！

彰人

わ…分かった。

彰人

！！

彰人

(ここは……なんだ？地下牢？)

ミク

彰人くん、こっちだよ~！

彰人

なぁ、ここって…

カチャンッ

彰人

……は？

ミク

ごめんね。こんな事したくないけど…仕方ないんだ。

ミク

上にあった家具、ぜ~んぶ壊してくるから、ここで待っててね。

彰人

は？！

彰人

ちょ、やめとけって！大事なんじゃねぇの？！

ミク

もちろん、す~っごく大事だよ！

ミク

でも、彰人くんが私より気になってるみたいだから…

彰人

いや、だからって流石に…

ミク

すぐ終わらせるから、待っててね。

彰人

あっ、おい！ミク！

彰人

(狂ってる…)

ｸﾞｽｯ

彰人

ん？

彰人

(泣き声…？気のせいか？)

ｸﾞｽｯ

彰人

(いや…違う。誰か泣いてる、)

彰人

(奥の方からか…)

ｸﾞｽｯ

彰人

(近付いてきてる…いるとしたら、誰だ？)

彰人

(もしかしたら、センパイ達……いや、でも女っぽいな…)

ｸﾞｽｯ…

彰人

？！

彰人

え……っ、み、ミク……？

彰人

(いや……でも、だいぶ違う…？)

誰…？

彰人

えっと…東雲、彰人…

東雲？

ちょっと、もう少し顔見せて。

彰人

あ、あぁ。

……わぁ！

あんまり似てないけど…あの子にはそっくりだね。

彰人

？

あ、でも目元は似てるかな？

ふふ、会えて嬉しいな。

彰人

(ミク…だけど、ちょっと違うか？)

彰人

(鎖に繋がれてるし…)

彰人

えっと…お前はミク、なのか？

ミク

うん、ミクだよ。

ミク

あの子に捕まっちゃったの？

彰人

あ、あぁ。

ミク

そっか…ごめんね。

ミク

帰りたいよね。

彰人

帰りたいけど…帰れるのか？

ミク

うん。

ミク

ちょっと大変だけど…帰る方法はあるよ。

ミク

手伝ってあげたいけど…ごめんね。動けそうにないんだ。

彰人

(手錠と足枷…鍵付きか、)

彰人

(オレも手錠はかけられてるけど、前だから使おうと思えば手は使える。)

彰人

鍵の場所って分かるか？

ミク

多分、あの箱のどこかに入ってると思う。

ミク

君の手錠の鍵は…あの子が持ってるだろうけど。

彰人

分かった、あの箱だな。

彰人

(手、動かしづらいな……鍵、鍵……)

彰人

…あった。これか？

ミク

うん。

カチャッ

ミク

わぁ……何年ぶりだろう、

ミク

ふふ、ありがとう。久しぶりに体が動かせるよ。

彰人

どういたしまして。

彰人

しかし…お前もミクなんだろ？

彰人

じゃあ、あのツインテールの方は…何者なんだ？

ミク

あの子もミクだよ。

ミク

急がないと、あの子が戻ってきちゃう。

ミク

着いて来て、彰人くん。

彰人

お、おう。

図書準備室

冬弥

……あった、

冬弥

(やっと見つけた……！！まさか、あるとは思わなかったが…)

冬弥

(……あのゲームの、設計ノートだ、)

冬弥

(制作者…吉田ソウジ、佐倉イチト、林セイジ。)

冬弥

(この3人が主に作ったのか…すごい、プログラミングまで詳細に…)

冬弥

(あっ、これは……キャラクターデザインか。)

冬弥

！？

冬弥

(キャラクターデザイン……東雲、慎英？)

冬弥

(東雲慎英って……え？)

冬弥

(……彰人の、お父さん…だよな？)

冬弥

(たしか現在の年齢は48歳くらいだったか、)

冬弥

(これは2、30年前に作られたゲーム…たしかに、ちょうど慎英さんが学生でもおかしくない…？)

冬弥

(ここの卒業生だった…？そこまでは知らなかったが…)

冬弥

(まさか、こんな偶然が…)

冬弥

ん…？

冬弥

(これ…あの、ミクというキャラだよな？恐らく、怪異の…)

冬弥

(さっきゲームで見た時はツインテールに、リボンをたくさん付けた容姿だったが…)

冬弥

(ここのデザインでは…違う。髪色などは同じだが…こちらは、ハーフアップだ。)

冬弥

(あ、キャラクター設定も…)

冬弥

(「元気で明るく、運動神経のいい人気者」…)

冬弥

(…設定も、少し異なっている気がするな…)

冬弥

(他になにか、もっと分かりそうな情報は…)

冬弥

は？

冬弥

(俺の見間違いか？とうとう字まで読めなくなったのか？)

冬弥

(BGM…吉田ナオヤ、青柳春道？)

冬弥

(いや、普通に考えて有り得ないだろう。父さんの方が年上だし、そもそもこの学校出身じゃない。)

冬弥

(でも……やはり、あのBGMに聞き覚えがあったのは…)

冬弥

(いやいや……？父さんが…？やっぱり信じられない、見間違いか？？)

冬弥

(ま、まぁいい…それは後だ、)

冬弥

(他に何か無いか、もう少し探そう。)

バリンッ

類

！

ミク

わわっ！類くん大丈夫？！

類

あぁ、ごめんね。鉢植えひっくり返しちゃって、

ミク

ううん！大丈夫！怪我はない？

類

怪我は無いけれど…手が土まみれになってしまったね。

類

洗面台を借りてもいいかい？

ミク

うん！私、これ片付けておくね！

類

ごめんね、ありがとう。

類

…

類

(鏡……)

何となく、鏡に手を置いた。

ズプ…

類

えっ？

類

(鏡の中に……入れる？)

類

(……ちょっと、顔だけ入れてみようかな。)

類

(おや？)

類

(鏡の中も…同じ場所が広がってるね。)

類

(……ちょっと、入ってみようかな。)

類

(よいしょっと、)

類

(さて……分からないことだらけだ。軽く探索しよう。)

廊下

「＿＿＿＿＿」

類

(話し声…誰かいるのかな？)

類

(ミクくんの部屋の方から…)

ミク

＿＿＿＿＿

類

(あれ？ミクくん…？)

司

＿＿＿

類

！

類

(司くんもいる…？！)

類

(ミクくんが複数人いて、更にこの家も複数存在する…ということか？)

類

(司くんに話しかけようにも…多分、ミクくんにはバレない方がいいよね。)

類

(あっ、そうだ。地下室！)

類

(この空間にもあるかもしれない。)

類

(ミクくんは司くんとお話しているようだし、僕がいるだなんて気付かないだろう。)

類

(今のうちに、地下室を調べてみよう。)

類

(ここも、僕がいた空間の地下室と同じだね。)

類

(ミクくんのものであろうパーツが、あちこちに転がっている…)

ｸﾞｽｯ

類

！

類

(また……やっぱり、誰か泣いてる？)

類

(奥の方からだね、)

ｸﾞｽｯ…

類

！

類

君は……ミクくん…？

誰…？

類

あぁ、すまない。この世界に迷い込んでしまった者なのだけれど…

類

(手錠に足枷…閉じ込められているのかな？)

あぁ、そっか……またあの子が、

ごめんね。帰りたいよね。

類

そうですね。今、帰る方法を探しているんです。

帰る方法ならあるよ。

類

！

この地下室に、"時空の歪み"がある。そこから、39分の1の確率で、元の世界に繋がれるの。

類

39分の1…

時空の歪みの場所まで案内したいけど…動けそうにないんだ。ごめんね。

類

その手錠と足枷の鍵が、どこにあるのか分かりますか？

多分、そこの箱に入ってると思う。

類

(これらは…全部、ガラクタ…のように見えるけれど、)

類

(あ、あった。これかな。)

カチャッ

わぁ…ありがとう！

時空の歪みはあっちだよ。

類

あ…

？

類

……司くんも、連れてこないと。

司くん？

類

ここにいる、もう一人迷い込んでしまった子なんです。

類

今…上で、ミクくんと話していて、

ミクと…

ミクがいると…どうだろう。帰れるか分からないな…

類

…貴方も、ミクくんなんですか？

ミク

うん、そうだよ。

類

ミクくんは複数存在すると？

ミク

複数…そうだね。ゲームごとに1人ずつ、ミクはいるよ。

類

(あ、そういえば…)

「要らないものを処分する、ゴミ箱みたいな場所だよ。」

類

(ミクくんは地下室を、ゴミ箱だと言っていた。)

類

(そこに……彼女が閉じ込められていたということは、)

類

あの……貴方は、どうして地下室に？

ミク

……

ミク

あの子に、閉じ込められちゃったの。

ミク

「あの人が気に入ってくれないミクなんて要らない」「愛されないミクは必要ない」「1番になれないミクは不良品」

ミク

「ミクは、完璧に愛されるミクになる」

類

…

ミク

1番最初のミクは私。あの人が作ってくれたミクは、私。

ミク

今のミクは……もう、ミクじゃない。

類

(……やはり、)

類

(ミクくんは…プレイヤーに愛されることに強く執着しているのか。)

類

(恐らく…プレイヤーに気に入られなかった部分は捨てて、直して、それを繰り返して…)

ミク

絨毯が捲られてると思ったら、

類

！

ミク

どうしてここにいるの？

類

(ミクくん…1人か？司くんは？)

ミク

ミク、

ミク

！

ミク

もうやめよう、ミク。もういいよ。

ミク

嫌！！だって、そうしたら、ミクのことなんて…

ミク

もう……誰も、覚えてくれなくなる…！

ミク

もっと頑張らなきゃダメなの！可愛くて、いい子にならなきゃダメなの！

ミク

ずっとずっと一緒にいたい、忘れたくないって思われなきゃ、ミクはもう居られなくなっちゃうもん！

ミク

ミク、ずっと居たいもん！！

類

…

司

ミク？

類

！

司

って、類？！何故ここに？！

類

まぁ、色々とあってね。

ミク

2人とも、見える？あの隙間が、時空の歪み。

ミク

あそこから、帰れるよ。

ミク

嫌だ！！行かないで！！

ミク

ミクのこと、1人にしないで！！

類

…行こう、司くん。

司

えっ…し、しかし、

ミク

みんな、ミクのこと忘れちゃう…！！

ミク

私を、この世界を作ってくれたみんなも…もう、ミクのことなんて、誰も覚えてない、

ミク

他に大切な人ができて、家庭ができたら、ミクのことなんて、もう誰も…

ミク

誰も……思い出してくれない……

司

…

ミク

やっぱり、ずっと一緒には居てくれなくていい…

ミク

画面越しでいいから…忘れないで欲しかった…

類

(…気持ちは、全く分からないわけじゃない。)

類

(大切な人に忘れられるというのは…その理由がどうであれ、たしかに辛いことだ。)

類

(けれどこれは…僕らにはどうしようも無いねぇ…)

彰人

あー…くそ、またハズレか。

類

え？

彰人

え？

司

彰人？！？！

彰人

えっ、センパイ？？

類

び、ビックリした……どうしてここに…

彰人

いやぁ、時空の歪みから39分の1で帰れるっつーから……

類

あぁ……なるほど、

司

だが…まさか、合流できるとは思わなかった！

司

冬弥は一緒じゃないのか？

彰人

いや、会ってません

ミク

その子なら多分、いないよ。

ミク

この世界に来てすらないと思う。

ミク

だから、気にせず行って。

ミク

嫌っ！！待って！行かないで！

ミク

ミクは私が何とかするから、早く！

冬弥

(17時台じゃないから、もうあのゲームは現れない…)

冬弥

(やはり……俺に出来ることは、何も無かったのか…)

冬弥

！

冬弥

(ま、眩し……)

類

おや、

冬弥

？！

彰人

ちょ、類センパイ重いんすけど

類

ふふ、酷いねぇ

司

お前ら！！重い！！降りろ！！

冬弥

な…っ

彰人

お、冬弥。お前は引き込まれなかったんだってな。

冬弥

あ、あぁ…御守りがあって……、

類

ふふ、優秀な御守りだね。

司

おいこら類。降りろ

類

ふふ

司

おい

冬弥

よ、良かった…！！無事だったんですね…！

彰人

あぁ、まぁ…色々あったけどな。

冬弥

大丈夫か？怪我とか、体にどこか異常とかは？

彰人

それは特に無い。大丈夫。

類

冬弥くん、1人で寂しかったかい？

冬弥

それは…

冬弥

…寂しいというか、かなり、不安でした。

司

不安にさせてすまなかったな。まさか本当に引き込まれるとは…少し油断していた。

先生

あっ、まだいたのか。怪異研究部〜！そろそろ門閉めるぞー！帰れー！

類

おや、もうそんな時間か。

冬弥

あ…あの、まだ話したい事があるんですけど、

司

なら、ファミレスに寄っていこう！オレたちも話の共有がしたいからな！

ファミレス

冬弥

図書準備室で、こんな物を見つけたんです。

冬弥

つい勝手に持ち出してしまいまして…明日戻してきますが、

司

これは…あのゲームの設定ノートか！

類

おや、すごいねぇ！こんなの残ってたんだ。

彰人

制作者の名前とかも書いてるな。

司

吉田ソウジ、佐倉イチト、林セイジか…

類

プログラミングも詳しく書かれてて面白いねぇ

冬弥

はい。それで…次のページが、キャラクターデザインなんですが、

司

！

彰人

あ？

類

おや、

彰人

親父じゃん。なんで？

司

こ、この東雲って、彰人のお父さんなのか？！

彰人

多分…

類

まさか、君のお父さんが作ったキャラクターだったとはねぇ…

「私を、この世界を作ってくれたみんなも…もう、ミクのことなんて、誰も覚えてない、」

司

……

司

彰人、すまないが……お父さんに、ミクのこと…聞いてみてもらってもいいか？

司

ミクは多分…自分を作ってくれた人達が、自分を忘れてしまったことを深く悲しんでる。

司

恐らく、オレたちがミクのことを忘れなくても意味が無いと思う。

司

その、作ってくれた人達じゃないと、多分…

彰人

分かりました。聞いておきます。

彰人

それと、その他の制作に関わった人たちのことも聞いてみます。

司

あぁ、頼む！

類

意外と身近にいて良かったねぇ

類

…って、おや？このBGMのところって…

司

……青柳春道？

冬弥

あぁ……はい。俺の父です。

類

え？

司

何っ？！？！

彰人

あれ？オレの親父と歳近かったっけ？

冬弥

いいや、5歳歳上なはずだ。

冬弥

それにそもそも、父さんはこの学校の出身じゃない。

司

むむ…じゃあ、これは…？

冬弥

分からなくて…今日、聞いてみます。

類

そ、そうかい……なんか、すごいねぇ…

司

あぁ。偶然にも程があるな…

類

まぁ…これだけ関係があったから、強制的に引き込まれたのかもね。

司

たしかに、その説はある。

彰人

まぁ、先に飯食いましょ。腹減った。

類

ふふ、そうだね。食べてからにしようか。

司

って、こら。しれっと野菜を押し付けるな。

冬弥

ただいま。

冬弥の母

おかえりなさい。

冬弥の母

ふふ、お友達とのご飯、楽しかったですか？

冬弥

あぁ、とても。

冬弥

あと…父さんと少し話したいんだが、

冬弥の母

あら…！ふふ、そうですか。

冬弥

(正直気が乗らないが、仕方ない。)

冬弥の母

春道さん！冬弥さんからお話があるそうですよ。

冬弥の父

冬弥。

冬弥

あ、父さん…

冬弥の父

こんな時間までその友人たちと居たのか。

冬弥の父

こんな遅くまで連れ回すような友人たちと付き合うなど…

冬弥

(うわぁ……)

冬弥

(やっぱり……だから嫌だったんだ…)

冬弥の母

冬弥さん。春道さんは、冬弥さんのお友達がどんな人なのか気になるだけですよ。

冬弥の母

冬弥さんがそんなに大切にするお友達がどんな子なのか、会ってみたいんですって。

冬弥

そうですか……

冬弥

また…機会があれば、父さんにも紹介します。

冬弥の母

ですって、春道さん。

冬弥の父

機会があればとはなんだ、その言い方は＿＿

冬弥

(あぁ…もう聞かなくていいだろうか、)

冬弥の母

冬弥さん。何か、お話したいことがあるんですよね？

冬弥

あぁ…少し、父さんに聞きたいことが、

冬弥

これ、なんですが…

冬弥の父

……？

冬弥

俺の学校の図書準備室にあった、とあるゲームの設計ノートです。

冬弥の父

…それがどうかしたのか？

冬弥

ここに、父さんの名前がありました。

冬弥の父

？

冬弥の父

…

冬弥の父

……あぁ、そういえば…

冬弥の父

「弟がゲームを作るらしいから、音源を一緒に作って欲しい」と頼まれて、音源を作ったこともあったな。

冬弥

！

冬弥の父

結局、そのゲームが完成したのかどうかまでは知らないが。

冬弥

そう、ですか……

冬弥

(なるほど。つまり…制作者である吉田ソウジさんの兄、吉田ナオヤさんが、父さんと知り合いだったと。)

冬弥

(だから年齢も出身校も違う父さんの名前があったのか…)

冬弥の父

それだけか？

冬弥

はい。ありがとうございました。

冬弥の父

他にもっとあるだろう。友人のこともそうだが、その他の学校の話や勉強の話も＿

冬弥

課題がありますので、失礼します。ありがとうございました。

彰人

ただいまー

彰人の母

おかえりー

彰人の母

また冬弥くんと食べてきたんだっけ？仲良いわね〜

彰人

まぁ、今日は冬弥だけじゃないけどな。

彰人

それより、親父いる？アトリエ？

彰人の母

うん、アトリエにいるわよ。

彰人の母

どうしたの？

彰人

ちょっと用事。

彰人の母

あー、じゃあついでにこれ持って行ってあげて。

彰人

え、チーズケーキじゃん。

彰人の母

そう。絵名がみんなのも買ってきてくれてね。

彰人

は？！アイツが？！

彰人

なんか最近機嫌良くね？

彰人の母

そうね〜。いい事あったんじゃない？

彰人

逆に怖いんだけど、

彰人の母

素直にお礼言いなさいよ。

彰人の母

彰人のもあるから、お父さんと一緒に食べたら？

彰人

えー、やだ…

彰人の母

わざわざ彰人が用事って言うんだから、長くなるんでしょ？

彰人

いや、ちょっと聞くだけだし、

彰人の母

まぁまぁ。たまにはお父さんと交流してあげてよ。

彰人の母

はい、チーズケーキ2人分ね。

彰人

えぇー………ありがとう、

アトリエ

彰人

親父〜、入んぞ。

彰人の父

彰人？

彰人

これ、チーズケーキ。絵名が買ってきたんだって。

彰人の父

そうか。ありがとう。

彰人

…ちょっと、聞きたいことあるんだけど。

彰人の父

あぁ。

彰人

高校生の時、ゲーム作った？

彰人の父

……？

彰人の父

ゲーム……？

彰人

恋愛シュミレーター系のゲーム。

彰人の父

……

彰人

ミク…って、覚えてない？

彰人の父

…

彰人

(あの設計ノート、冬弥から借りておけば良かったか…)

彰人の父

あ、

彰人の父

あぁ、作った。友人に頼まれて。

彰人

！

彰人の父

吉田と、佐倉と…林が、ゲームを作ると、

彰人の父

そうだ。完成して、一時期校内で流行ったんだ。

彰人

その、今言った3人とは連絡取れるのか？

彰人の父

吉田となら、まだ年賀状のやり取りはしているが、

彰人の父

そもそも、どうしてお前があのゲームのことを？

彰人

あー、えっと……たまたま、ゲームの設計ノートを見て、

彰人の父

あぁ、まだ残ってるのか。

ガチャッ

彰人の母

お茶持ってきたわよ〜

彰人

あ、母さん。ありがとう。

彰人の父

ありがとう。

彰人の父

母さん。彰人が、今日あの時のゲームの資料を見たらしい。

彰人の母

ゲーム？

彰人の父

高校3年生の時、吉田たちが作ってた。

彰人の母

あぁ〜！！貴方がキャラクターデザインした時の！

彰人の母

懐かし〜！まだ資料とか残ってたんだ！

彰人

母さんも知ってんの？

彰人の母

お父さんとは出身校同じだったの〜

彰人の母

懐かしいな〜！私、あの子が1番好きだった！

彰人の母

えっと〜……そう！ミクちゃん！

彰人

！

彰人の母

たしか、あの子が1番人気だったわよね？

彰人の父

あぁ。1番「描いて欲しい」と言われた気がする。

彰人の母

たしかに貴方、その時期ミクちゃんしか描いてなかったわよね。

彰人の父

描いても描いても追いつかないほど、色んな人から頼まれたから…

彰人

(…そうか。そんだけ人気で、それだけ…たくさん描かれたなら、)

彰人

(忘れられた寂しさとかで、怪異になってもおかしくないか…)

彰人の母

彰人もミクちゃん見たの？可愛かったでしょ〜！

彰人

まぁ、

彰人

(親父はミクのこと思い出したみたいだし…一旦、俺のできることは終わりか。)

彰人

(冬弥の方もどうだったか気になるし、電話しよ。)

プルルルルプルルルル

プルルルル

ピッ

ソウジ

はーい、もしもしー？

彰人の父

「吉田か？」

ソウジ

おう！みんな大好き吉田チャンよ？

彰人の父

「東雲だ。」

ソウジ

あぁ、慎英か！お久！

ソウジ

急にどうした？

彰人の父

「息子から、懐かしい話をされて。」

彰人の父

「息子が、学校でお前の作ったゲームの設計ノートを見つけたと。」

ソウジ

……

ソウジ

………えっ、待って！思い出した！！

ソウジ

あれ？あのギャルゲー？！

彰人の父

「あぁ。」

ソウジ

懐かしー！！すげー忘れてた！！

ソウジ

俺の記念すべき伝説の1作目のゲームじゃんか！

ソウジ

懐かしいなー！あの設計ノート、残ってたんだ！

ソウジ

しかも慎英の息子が見つけるとか…偶然超えて運命って感じだな！

彰人の父

「そうだな。」

ソウジ

あー、色々思い出してきたなぁ……

ソウジ

そうだ、ミクちゃん！！俺の初恋！

彰人の父

「あぁ……そういえば、そうだったな。」

ソウジ

描いてくれたキャラ、みんな可愛かったけど、ミクちゃんはダントツだったな〜

ソウジ

校内でもすげー人気だったしな！

彰人の父

「あの時は忙しかった気がする…」

ソウジ

ははっ！たしかに！ずっと依頼されてたもんな！

ソウジ

そうだった……ミク…

ソウジ

……そうだ！！

ソウジ

なな、佐倉と林にも連絡取って、もう1回ミクのゲーム作ろうぜ！

彰人の父

「ミクの？」

ソウジ

おう！せっかく思い出したし…なんか、もう1回見たいんだよな。

ソウジ

あの時のゲーム、もう無いだろ？

彰人の父

「まぁ、30年も前だしな。」

ソウジ

あれ、俺らの青春みたいなもんだし！

ソウジ

ミクメインのゲーム作るわ！

彰人の父

「そうか。」

ソウジ

いや、慎英もだぞ？

ソウジ

もう1回ミク、描いてくれよ！

彰人の父

「…あぁ。」

ソウジ

よっしゃー！作るかー！！

ソウジ

じゃ、色々決まり次第また連絡するわ！

ソウジ

思い出させてくれてありがとな！

彰人の父

「あぁ。」

ピッ

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