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桃園菫
いつも忙しい お母さんとお父さんが、
珍しく揃った夕食。
喜んでいた私を裏切るように
その言葉はあまりにも 呆気なく告げられた。
お父さんの転勤で 引越しをするかもしれない…と。
生まれ育ったこの街と、 友達と、
離れ離れに なるかもしれないと。
ごめんなと 眉を下げるお父さんに、
私は慌てて首を横に振った。
桃園菫
桃園菫
最初に思い浮かんだのは 蓮の顔。
口ではお父さんに そう言ったけど、
心はまだ 追いついていなかった。
ふう、と息を吐く。
昨夜聞かされた転勤の話は、
まだ確定じゃないけど 可能性は高いという。
蓮に悟られないようにしようと
私は鏡の前で 気を引き締めた。
桃園菫
いつものように 飛び出せば、
いつものように避ける蓮。
大丈夫、いつも通りだ。
梶蓮
桃園菫
そう気を取り直して歩けば、
蓮も隣をついて歩いた。
このいつも通りが、
もうそうじゃなくなる かもしれない。
漠然とした不安と 胸に穴が空いたような寂しさに、
私は無理やり 気付かないふりをした。
それから 時間が過ぎるのは早く、
もう3日が経っていた。
転勤の事は まだ誰にも言えていない。
お母さんやお父さんの 負担にもなりたくない。
けれど不安な気持ちは どんどん募るばかりで、
毎朝起きると 泣いている日が続いた。
そんな週末。
桃園菫
抱きつく私を避けた蓮は、 私の顔をじっと見てきた。
桃園菫
梶蓮
桃園菫
桃園菫
桃園菫
驚いて心臓が凍るような 感覚がした。
慌てて そう笑って誤魔化すけど、
蓮の瞳は静かに私を見ていた。
まるで本音を見つけ出そうと 観察しているような。
私は思わず 目を逸らしてしまった。
桃園菫
私は努めて明るい声で そう言って歩き出した。
コメント
4件
転勤⁉️それは大変だ、、 すぐ気づく梶くんさすがっすね✨️ 毎朝泣いちゃってるノ‼️😢 ゆのが慰めに行くわ(
続き待っています!!