太宰治
中島敦
太宰治
中島敦
太宰治
腹が立った。
簡単なことだというのに、なぜわかってくれないのか。
だけど、そんなやつのことを忘れられない己にも腹が立った。
中島敦
太宰治
中島敦
太宰治
こんなしょうもない男を好きになってしまった。
こんなろくでもない男を好きになってしまった。
嫁さんもお子さんもいるくせに、俺のことを好きだとか愛してるとか言って、俺を惑わす。
中島敦
つい、口からこぼれ落ちてしまった。
太宰治
太宰が困惑している。
少しだけ、いい気味、と思った。
中島敦
中島敦
中島敦
太宰は傷ついたような顔をした。
その顔が、なぜだか俺の心を苦しくさせる。
中島敦
中島敦
中島敦
中島敦
太宰の顔はみるみる悲しそうな、今にも涙が溢れてしまいそうな色へ変わる。
太宰治
太宰は今にも泣きそうだった。
太宰治
太宰治
太宰治
太宰治
中島敦
つい、肯定ができなかった。
彼があまりにも寂しそうで、辛そうで、耐えられなかった。
だから、つい、また、同じ沼にはまってしまった。
太宰治
太宰治
ああ、ほらまた。
あなたは優しく俺の頬を触って、無許可で俺の心へ侵入してくる。
そうやって俺をまた苦しめて、苦しくさせて、あなたのことを好きにさせる。
最低だ。最低だ。あなたなんかと出会わなければよかったのに。
それなのに、なぜ心はこんなにも太宰治、いや、津島修治を求めてしまうんだ。
太宰治
太宰治
太宰は俺の腰に手を回す。
そして俺の背広の釦を外そうとする。
ああ、ダメだ。ダメだと言わねばならぬのに、声がうまく出ない。
こいつはいつも、体を交わらせることで事を丸めようとする。
そんなところが大嫌いだ。大嫌い、なのに、
中島敦
どうして俺は拒絶することができないんだ。
太宰治
太宰治
中島敦
太宰治
断りきれず、俺はまた彼のいいように体を委ねてしまった。
コメント
4件
文豪名出るの最高ですー!!!!! もう、凄いです…………それくらいしか私の語彙力では言えません……