テラーノベル
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朝の光が 教室の窓から静かに差し込む
カーテンの隙間から漏れる陽の筋は
埃の粒を一つ一つ撫でるように揺れ 机の上を優しくてらしていた
まだ眠たそうにしている 生徒もいれば
ノートを開いて、ペンを くるくる回している生徒もいた
そんな、“いつも”と変わらない
穏やかで のんびりとした朝の時間だった
前方で声が響き 視線が一斉に教壇へと向かう
そこに立っていたのは ───────“すまない先生”
透き通る青をその瞳に宿し 満面の笑みを浮かべていた
そう言って、いつものように
少しオーバー気味な仕草で 頭を下げる
あちこちから上がる声も どこか、慣れたやりとり
ふわっとした笑いと 小さなツッコミが飛び交う
そんな空気に 教室全体が緩やかにほぐれていく
そう言って すまない先生は背を向け
青い裾を翻しながら 軽やかに教室の扉を開けた
────ガララ……パタン
────その音が やけに静かに、深く響いた
温度が一気に 変わったかのように
ふっと、 静けさが落ちる
ついさっきまでのざわめきが 嘘のように消えて
誰もが一瞬
何かを思い出そうとするように 口を噤んだ
────カチ、カチ…
秒針の音が ひときわ、大きく聞こえる
カーテンが揺れる度に 差し込む光の角度が変わって
机の上の影を そっと滑らせていく
誰も、口を開こうとしない
まるで
“何か”が始まる前の 張り詰めた静けさの様に────
Mr.銀さんが ぽつり、と呟いた
教室内に、僅かに緊張が走る
その一言に 全員の手が止まった
引き寄せられるように 全員が声を上げる
ざわ……と 空気が重く揺れた気がした
互いに顔を見合せ 全員の顔に、困惑の色が滲む
──────だが
次の発言が、その場の空気を 決定的に変えてしまった
Mr.銀さんの口から零れた言葉に 教室内の空気が凍り付く
ビクッと 6人の体が、揃ったように跳ねた
────まるで 心臓を素手で掴まれたような 感覚に襲われた
記憶の底から、あの夢が 無理矢理引きずり出されてくる
目の前で崩れ落ちた体 床や壁、天井まで刻まれた弾痕 咽せる程の血の匂い 段々と小さくなっていく、呼吸音
あれは夢────── そう、信じていた
………いや、ただ 信じたかっただけかもしれない
────でも、全員が 似た夢を見ていたとしたら…
これは、ただの悪夢じゃなくて 何かの“予兆”なのではないか────
そんな、不気味な予感が 教室を静かに 確実に侵食していった
誰もが、言葉を失っていた
教室には 呼吸すら憚られるような
重たい沈黙が降りてきた
まるで
嵐の前の、静けさのように
コメント
1件
多分銀さん達の考えは合ってる…正夢なのかも…そしたらその対策を考えたほうがいいのかも… そしてやっぱりガンギまりあさんはすごいです!上手いですね!