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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで

俺の中で、遠い記憶が蘇った。

夏の日の悪夢…

その日に起こった事故のこと…

俺達3人の

切れた絆を………

悠真

いっくんが好きぃ!!

椎名

僕も悠真ちゃんのこと

椎名

好き。

瑠色

………

あの後だった。

悠真が椎名に告白したその後…。

悠真

いっくんと結婚したら、私

悠真

毎日お弁当作ってあげるから!

そんな他愛のないことを話していた 2人を…

俺は見ていることしかできなかった。

惨めだった。

根性なしだから…

大切なものを…

自分のものにしようだなんて…

あいつから取ってやろうなんて…

思ってなかった。

いや…

体が動かなかった。

俺には無理だった。

椎名

お弁当か、

椎名

楽しみだな〜…

悠真

あ、私そろそろ帰らないといけない…

椎名

ほんと?

椎名

一緒に帰るよ。

悠真

ううん…いいの

悠真

私1人で頑張るもん!

悠真

いっくんにお弁当作るのも全部1人で!

椎名

椎名

悠真…………

悠真

え………っ

瑠色

今…悠真って……、…

今まで『悠真ちゃん』だった呼び名が

俺と同じように

ヤツは彼女のことを 『悠真』と呼んだ。

俺だけが呼び捨てにしていたのに…

俺だけじゃなくなった。

きっと彼女には…それが特別に聞こえただろう。

キュンとしただろう。

悔しい……………

俺だって呼び捨てだっただろ…

瑠色

っ………

その瞬間…俺は敗北した。

俺とは真逆の性格をした…

幼馴染に。

悠真

じゃ…じゃあもう行くね!

悠真

私がんばるから!

椎名

えっ悠真…

椎名

でも危ないから帰りは……

椎名

椎名

って…

椎名

悠真!!!!!!!!!

瑠色

え…………?

ほんの数秒だった。

ずっとその瞳は 彼女を追っていたはずなのに

ふとした数秒…

その数秒の間、目を離すと

彼女は道路を飛び出していた。

よほど夢中だったんだろう。

彼女にとっての大切な人に…

認められたいがために。

俺が目を見開いた隙に…、

残酷は訪れた。

瑠色

悠真!!!!!!!!

悠真

えっ……………

勢いよく彼女に突っ込んでいく トラックを目前に…。

手を伸ばせば届く距離で…

大切な人が危ないその刹那に…。

俺は…俺は………

ただ立ち尽くすばかりだった。

大切な彼女が 轢かれようとしているのに。

瑠色

っ…!

目をつぶってしまっていた。

怖かったから。

やっぱり俺は惨めだった。

それなのに…

それなのに………

椎名

悠真っっ!!!!

俺の隣を駆けたのは…

助けに行ったのは………

手を伸ばしたのは…………

キキキキーーーッ

ドンッ

幼馴染のアイツだった。

瑠色

悠真!!いっくん!!!!

気づけばそこには…

血まみれの幼馴染2人が 転がっていた。

椎名

お前は身勝手だ。

椎名

だから大嫌いだよ。

椎名

僕がかばってなかったら…

椎名

悠真は死んでたんだぞ!!!!!?

瑠色

っ…

椎名

なのにお前はっ…

そう言って椎名は俺に近づき 胸ぐらを掴んだ。

椎名

なに弱い子ぶってたんだよ!!

椎名

大切なものとか綺麗事みてぇに言いやがって!!!

椎名

お前が助けてたら…っ

椎名

悠真が僕のことを忘れることも……っ

椎名

僕が一時でも悠真のことを忘れることも…

椎名

なかったんだよ!!!!!!

瑠色

……………。

そうだった。

悠真を奪えると思ったから………

俺はその後、 取り返しのつかない嘘をついたんだった。

幸い、2人は大した怪我をしなかった。

ただ、頭をうってしまった。

そう…

頭を……。

悠真は目を覚ましていなかったが…

椎名がその日、目を覚ましたのだ。

椎名

………。

椎名

どうして怪我してるの…?僕。

瑠色

………

瑠色

覚えてねぇの……?

椎名

うん……

椎名

なんか頭がぼやっとしてて……

椎名は事故にあったこと…

というより

事故にあった日の1日まるごと 忘れているようだった。

椎名

ねぇ…何があったか教えて欲しいんだ。

椎名

瑠色はその日、そこにいたんでしょ……?

瑠色

………

瑠色

いたよ。

椎名

なら………

瑠色

瑠色

お前は急に道路に飛び出したんだ。

椎名

え…………

俺自身も『え…?』だった

驚いていた。

そんなろくでもない 嘘をついたことに。

瑠色

悠真はお前をかばって怪我したんだ。

椎名

僕をっ………………かばって…?

瑠色

そうだ…最低だ。

瑠色

なんで飛び出したかも覚えてねぇんだろ。

椎名

でも、僕がそんなことするわけ……

瑠色

くっ……

ゴッ。

椎名

うぐっ………

なんでだろう。

目の前にいる幼馴染を殴ったのは。

なんでだろう。

彼は悪くなかったのに。

なんで…なんで……

瑠色

俺はみたんだ!!!!

瑠色

お前が悠真を怪我させたんだ!!!

はやくこんな嘘………

暴いてくれよ……………。

瑠色

お前みたいな奴がな……

瑠色

俺達と…………

瑠色

瑠色

俺達といる資格なんてないんだ!!!

椎名

っ…!!!

瑠色

もう悠真の前に…現れないでくれ。

瑠色

俺の前にも…………。

あぁ…お前は馬鹿だなぁ。

昔から頭のよかったお前が

こんなに簡単な嘘を暴けないなんて…

こんなにも俺の声は…

瑠色

っ……

震えてたのに。

悠真

ねぇ、瑠色。

瑠色

なんだ………?

悠真

怪我が治ったら…

悠真

また"2人"で遊ぼうね。

2人………。

この嘘が貫き通せたのは……

悠真も記憶を失くしたからだった。

『3人で遊んだ記憶』…が

『2人で遊んだ記憶』…に

塗り替えられた。

悠真は椎名の存在を…

事故で忘れてしまったのだ。

悠真

どうしたの…?瑠色。

瑠色

瑠色

何でもないよ。

瑠色

怪我が治ったら一緒に学校に行こう。

瑠色

いつも通り朝、家に迎えに行くよ。

悠真

悠真

ありがとう!

瑠色

っ…!

嬉しかった。

今まで椎名に向けられていた その笑顔が…

その日ようやく 俺に向けられたのだから…

でも…本当は違うんだ。

お前を朝迎えに行くのは…

いっくんの役目だったんだ。

瑠色

それももういない。

あいつは信じ込んだ。

だから本当に…

俺達の前から姿を消したんだ。

椎名

僕はお前に偽りの嘘を流し込まれた。

椎名

でも思い出した!!

椎名

お前が惨めに立ち尽くしてたことも…

椎名

あの悪夢もだ!!!

瑠色

瑠色

最近だろ。

瑠色

全部。

椎名

は?

瑠色

お前が記憶を戻したのは最近なんだろ。

瑠色

偽りの嘘を流したからなんだ

瑠色

お前が寝たボケてる間、俺は悠真を自分のものにしたんだ!!

瑠色

お前には関係ない!

椎名

またそうやってお前は綺麗事をっ…

椎名

椎名

でもなぁ…いいか…よく聞け。

椎名

俺が悠真に本当のことを話せば……

椎名

どうなると思う………?

瑠色

え……………

椎名

ほら、またその顔だ。

椎名

惨めな顔だな。

瑠色

くっ…、

そうだ…俺はまだ怖がってる。

悠真が記憶を戻したとき、

俺の所から姿を消してしまいそうで…

怖いんだ。

椎名

お前は『悪』だよ。

椎名

だから悠真になんてすぐ捨てられる。

椎名

今に見てろ。

椎名

僕が全部破壊してやるからな!

瑠色

っ……

瑠色

うるせぇ!!!!

バキッ………

椎名

いっっ…て

椎名

いい加減にしろよボケが!!!

瑠色

っ……

ガッン……!

あぁそうだ…。

それで俺は今病院にいるんだ…。

そして悠真に本当のことを言えなくて…

瑠色

また………アイツを泣かせちまった…っ

瑠色

俺はっ…なんて馬鹿なんだよっ…

瑠色

こんなにも悠真が好きなのにっ…

瑠色

悠真を傷つけてまで…奪おうとするなんて……っ

瑠色

くそっ!!!!!!

俺はただ…

惨めに泣いていた。

なんで…………

なんで悠真に嘘をついた……?

椎名

気のせいだよ。

椎名

僕は悠真ちゃんの幼馴染なんかじゃないよ。

悠真

でも………椎名くんっ…

アイツから取り戻す為に…

悠真に本当のことを言うつもりだったのに……

なのにっ……

どうして僕は怖がってる…?

何も怖がることなんて…ないのに…

椎名

っっ…

それでも……やっぱり。

椎名

もう…帰ろう。

君に忘れられていたことが…

辛いから。

悲しいから。

それを意識したくないんだ。

今伝えても…

きっとあの頃の記憶は…

戻らないよね。

1週間後。

悠真

……瑠色。

瑠色が学校に来ない。

もう退院したというのに……。

あの日、私が泣いた日…。

瑠色は怯える目で私を見ていた。

何かに………

怯える目で………。

悠真

このままじゃ…駄目だよね。

私は…

このモヤモヤに決着をつけたい。

何か引っかかることがあるんだ。

それは一体。

悠真

もう振り返らないよ。

前だけを見よう。

決めた。

何が何でも。

悠真

よしっ

悠真

悠真

お昼食べに行こっ!

次回予告

瑠色

ごめん…悠真。

瑠色

俺…………

瑠色

瑠色

お前のことを好きになっちゃいけなかったんだ。

悠真

え……………?

瑠色の気持ちが………

わからなくなっていく……

椎名

なんで言えないんだよっ!!

椎名

たった2文字なんだよっ!!

椎名

何が怖いんだよっ!

椎名

何に怖がってんだ!!

気付いたときには…

もう…………

君に『好き』と言えない。

続きは♡600で✨

そして……。

重大発表!!!

好きになってはいけなかった2

全25話にて。

完結予定✨

詳しくは後日詳細を解禁!!

いいねを押して待機せよ。

お楽しみに✨✨✨✨

好きになってはいけなかった2

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コメント

5

ユーザー

でしょ?😏 続き楽しみにしとくー!

ユーザー

🌸さき🌸 おお!神だ✨✨✨✨

ユーザー

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