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第2話『リハーサルは、心臓に悪い』
「じゃあ、まず立ち位置から入りまーす!」
スタッフの声が響くスタジオ。 証明の下、静まり返った空間に、えとは立っていた。 隣にはなおきり、脚本通りの位置にぴったりと立ち、台本を片手に、 例の“シーン”をさらりと読み上げた。
no.🌷
その一言に、私は小さく息をのむ。
et.🍫
頭ではわかってる。だけど、胸の奥がざわざわして落ち着かない。 なぜならーー
no.🌷
目の前の彼が、軽く首を傾げて、あのからかうような微笑みを浮かべていたからだ。
et.🍫
no.🌷
et.🍫
no.🌷
彼はふわりと一歩、距離を詰める。 もう一歩。さらにもう一歩。 そのたびに、えとの鼓動はリズムを崩していく。
et.🍫
no.🌷
そう言って、なおきりさんは冗談めかして指を軽く差し出す。 彼の指先が、私の髪の横をすっと撫でて通り抜ける。
no.🌷
et.🍫
その仕草が自然すぎて、怒るタイミングを見失う。 というよりーー今の顔の距離、10cmもない。
et.🍫
no.🌷
et.🍫
えとの顔が、ほんの少し赤くなる。 なおきりはそれを見逃さず、ふっと目を細めた。
no.🌷
et.🍫
no.🌷
et.🍫
その瞬間、助監督の声が飛んだ。
「はい、位置オーケー!じゃあ軽く流しますー!」
えとは思わず数歩、後ろに下がって深呼吸。
et.🍫
et.🍫
なおきりが、真剣な目を向けてくる。 さっきまでのふざけた顔とは違って、“役”としての彼のまなざしだった。
no.🌷
彼が低く言って、そっと手を伸ばす。 えとの肩に触れる、演技のための距離。 そのまま、顔が近づいてくるーー
あと5cm。あと3cm。あとーー
「カット!!ごめーん、カメラ位置もうちょい調整するわー!」
……キス、はしなかった。 だけど、えとの心臓はバクバクと騒いでいた。
et.🍫
no.🌷
そう言ってなおきりが小声で笑った。 えとは、その余裕顔に耐えきれず、思わずつぶやく。
et.🍫
no.🌷
et.🍫
no.🌷
et.🍫
なおきりは、演技じゃない笑みを浮かべていた。 ーーその笑みが、えとの心にまた火をつけた。