カレシの浮気日記

玄関を開けたのは俺の恋人だった

嘘つき

ほんとはずっと浮気相手と遊んでたくせに

そう言って恋人は俺の事を抱き締める

コートからは女物の香水の匂いがする

あぁ、やっぱ俺以外の人も抱き締めたんだな

昔は俺とお揃いの香水をつけてくれたのに

今じゃ女物の香水の匂いがする

もう俺のものじゃないのかなって複雑になってしまう

会話が終わった途端自傷行為を隠す為の包帯に血が滲んだような気がした

浮気されるようになってからはちょっとしたストレス解消として毎回このバーに来ていた

この人はじんひょん。 ここのバーのマスターで大学時代の先輩だった

そう言って俺はバーを後にした

不眠が続いているのか前よりずっとクマが濃くなっている

それに比べてひょんに言われた通り昔よりも大分痩せていた

窶れた顔を見て俺はそう呟いた

それからも大量の睡眠薬を飲む日が続いた

日に日にストレスが溜まって勝手に泣く日が多くなる

まともに食物を受け付けられなくなった身体

日に日に酷くなるクマ

増える錠剤シート

そして記録である日記帳

俺が自傷行為をする度に錆びるカッター

七日目 今日は恋人が出張に帰ってきたけどまたどっか行っちゃった 抱き締めた時に匂ったのは女物の香水だった 俺の恋人なのに 他の人に取られた気がして凄く悲しくなった