──数日後
紅紫
…………
紅紫
そこにいるんだろ?
紅紫
出てきたら、どうだ?
?
?
さすがだね〜
?
俺がここにいるって、よくわかったな
人を食ったような笑顔を浮かべる
紅紫
……いったい、どういうつもりだ?
?
なんのこと?
紅紫
とぼけるな……!
紅紫
彼女にヒガンバナのキーホルダーを渡しただろ!
?
たしかに、あのおねーさんに渡したよ
?
それがどうかした?
紅紫
あれはすべて廃棄処分に、なったはずだ
?
ん〜? 奇跡的に、1個だけ残ってたから
?
誰かに使ってもらおうと思って♪
紅紫
あれが生者にとって、どれほど危険なものか
紅紫
お前が一番、よく知ってるだろ
?
?
俺はおねーさんの願いを、叶えただけ
?
あれを使えば、うつし世と隠り世が簡単に繋がるし♪
?
ただ、制限時間付きなのが難点だったけれど
?
7年前だっけ?
?
生者が“川岸“にやってきたときが、あったよね〜?
紅紫
…………
?
死んだ人間に会いに来たけど
?
結局会えなくて、その挙句──
?
二度と、うつし世へ戻れなくなった
紅紫
(ヒガンバナのキーホルダーを、使用したせいで……)
?
あのときの生者の絶望感、ずいぶんと滑稽だったな〜
紅紫
紅紫
お前はいまだに、人間を憎んでいるのか……?
?
当たり前じゃん
目付きが鋭くなる
?
俺、人間なんて大っ嫌い
?
俺だけじゃないよ
?
弟たちも人間のこと、すげー嫌っているし
?
あ〜ぁ、話が脱線しちゃった
紅紫
お前が勝手に、脱線させただけだ
?
あのさ〜?
?
あんたと、あのおにーさん
?
どこまで、進んでんの?
紅紫
……は?
?
もしかして、キス以上とか?
紅紫
…………
?
図星?
紅紫
……はっ倒すぞ
?
?
あのおねーさん、かわいそうだよね〜
?
まさか、自分のダンナとあんたができてるなんて
?
夢にも思ってないだろうし
紅紫
…………
?
あんたと一緒になるために
?
家族も親友も、自分の命でさえも
?
捨てちゃったんだよね、おにーさんは
紅紫
…………
?
そういえば、あんたとおねーさん
?
顔、似てるよね?
?
あのおにーさんが、おねーさんのことを選んだのは
?
あんたに似てたからじゃないの?
紅紫
……何が言いたい?
?
?
おにーさんが愛してたのは
?
おねーさんじゃなくて、あんただってこと
?
おねーさんはあんたの代わりに、過ぎなかったんだよ──
どっ
殴りつける直前、片手で拳を受け止められた
?
コワッ
紅紫
……あのふたりを、愚弄するな……!
?
鬼のような形相になってるよ?
悪意を含んだ笑みに、嫌悪感を抱く
?
っていうか、もともと“鬼“だもんね〜
?
あ、俺もか……☆
紅紫
…………
?
──そもそもの原因は、あんたでしょ?
?
あんたが関わらなきゃ、こんなことにはならなかったんだし
紅紫
……知ってるよ
紅紫
(ふたりの運命を狂わせたのは──)
紅紫
(他ならない、ボクだから…………)
?
?
勘違いしないで、ほしいんだけどさ
?
べつにあんたを、責めてるわけじゃねーから
紅紫
……?
?
俺はただ、もう一度
?
あんたと殺し愛がしたくって、おねーさんを使っただけ♪
紅紫
…………
少し距離をとる
?
ちょっ……!? 引かないでよ!
?
まるで俺が、ヤバいやつみたいじゃん!
紅紫
……最初から、ヤバいやつだろ
?
酷っ!
紅紫
紅紫
ともかく、金輪際彼女には近づくな──
?
はいはい。わかったよ
?
っていうか、もう用なしだから
?
べつにいいんだけど
紅紫
…………
?
そろそろ、戻らねーと
?
──またね♪
紅紫
……本当
紅紫
ろくなことしか、考えないな…………
ため息をついた