支え

あれから一度家に寄って 必要な荷物を持って涼太の家に来た

そう言って涼太はキッチンに向かって行った 俺は周りを見渡し、ソファにそっと座る

涼太とは普段なんだか気恥ずかしくて、こんな感じに2人きりになるなんてことない ブツブツと聞こえる独り言と料理をしている音が意外と心地よくて、ソファで目を閉じた

あれ？俺、寝てた？？

気付けば部屋には美味しそうな匂いがしていた

そこにはどこか懐かしい卵粥があった

そこには色とりどりの野菜と蒸した鶏むね肉が 上にかかってるソースは、梅干し？

そう言って2人でテーブルにつく

思わず笑うと、目の前の涼太は今までに見た事がないくらい優しい目で俺を見ていて驚いた

やっと普段通りに笑う翔太を見てホッとした 思わずジッと見てしまって戸惑わせてしまったようだ

目の前の翔太がスプーンにお粥をすくって口に運ぶのを見つめる

鶏肉も気に入ってもらえたようだ 手っ取り早く、且つ食べやすくタンパク質を摂れるように作った甲斐があったみたい

そのまま何度か口に運んでいた翔太だけど、徐々に表情が曇っていく

お粥は茶碗の1/3くらい 鶏肉は2切れ……… 全然、量としては食べれていないが無理はできないと翔太の手を止める

確かに顔色に変化はない

声のトーンと口調を変えると正直になる翔太に思わず笑いそうになりながら食べれたことに胸を撫で下ろした

それから俺もご飯を食べて、2人でソファに座りテレビを見ながら過ごした

翔太以外のグループLINE ピコン

食事の後しばらくテレビを見ながらゆっくりして翔太をシャワーに行かせた

その間に翔太を心配しているメンバーからLINEがきて、今の翔太の状態を伝える 阿部たちは今日参加していなかったから余計に心配だったようだ

阿部はいつも俺と翔太のコンビを推してくれてる まぁ、確かに幼なじみで同じグループなんて珍しいことではあるだろうけど でも翔太が恥ずかしがるからあまり近付きすぎないようにしていた 阿部と佐久間曰く、逆にその距離感がたまに見せるゆり組案件にファンが萌えるんだと熱弁されたことを思い出し、思わず笑ってしまう

と、佐久間が今日の出来事を阿部に面白おかしく報告しようとしているのが分かり、文字を打とうと手を動かした

ガシャーン！！

と、浴室の方から大きな音が聞こえ、慌てて走り出した

浴室のドアを叩くが返事がない

ドアを開けると床に倒れている翔太が

慌ててシャワーを止め、 翔太にバスタオルをかける 見たところ出血は見られないし、ぶつけているような箇所もない さっきの大きな音はシャワーが落ちた音か………

水分をバスタオルで取りながら何度か呼びかけると、うっすらと目が開いた

ある程度水気を取った身体を抱き上げる

やっぱり軽い…… チラッと見えた裸も以前に見た身体よりも細く痩せこけていた

ベッドに寝かせると恥ずかしそうにしながらも身体がキツいんだろう 大きく息を吐き目を閉じていた

そうだ、みんなに報告しとかないと……

スマホを開くと案の定心配しているメッセージで埋まっていた

とりあえず、また倒れてしまった事と大丈夫だと伝えておく

翔太はゆっくりと起き上がったが、すぐに身体が傾く 慌てて支えた

ゆっくりとした動きで服を着はじめた翔太を横目に見ながらキッチンへ向かった