戦後のお話。
にゃぽんちゃん視点です。 ⚠️この話は実際の国や情勢とは一切関係ありません。
戦時中の描写あり。
昔から、我慢が得意なお兄ちゃんだった。
日本家:
にゃぽん(4歳くらい)
幼少期の私達は、 戦争の影響で毎日食べ物に困っていた。
頼みの配給は定期的に少ない頻度で行われる。
量も少ないので、私は毎日お腹を空かせていたのだ。
にゃぽん(4歳くらい)
そんなことを呟いたその時だった。
日本(6歳くらい)
にゃぽん(4歳くらい)
兄が何やら息を切らして部屋に入ってきた。 何だろう、珍しいなぁ。
日本(6歳くらい)
お兄ちゃんが持ってきたのは、炊きたて白米のおにぎりだった。 このご時世、白米で作られたおにぎりはかなりの貴重品だ。
何で、どこでそれを......!?
にゃぽん(4歳くらい)
日本(6歳くらい)
にゃぽん(4歳くらい)
私の言葉に、お兄ちゃんは一瞬表情を曇らせた。 しかし無理やり笑顔を作って、おにぎりを渡してきた。
日本(6歳くらい)
にゃぽん(4歳くらい)
日本(6歳くらい)
にゃぽん(4歳くらい)
私におにぎりを渡すと、 お兄ちゃんは足早に部屋を出ていった。
手の平のおにぎりを見つめて、1口頬張る。
にゃぽん(4歳くらい)
お兄ちゃんとはんぶんこできたら、 もっとおいしかったのかな。
そんな思いを胸に、私は黙々とおにぎりを食べた。
それからというものの、 お兄ちゃんは食べ物を貰ってきては私に食べさせてくれた。
それは白米だったり、さつまいもだったり...... ごく稀にお菓子を貰ってくることもあった。
全部美味しかった。 お兄ちゃんが私のことを大切に思ってくれているのがわかる分、嬉しくもあった。
....でもお兄ちゃんと一緒に食べていたらもっと美味しかったのかな、 なんて思ってしまうのは贅沢なワガママだろうか。
そして、悲劇は前触れもなく訪れた。
にゃぽん(4歳くらい)
あの夏の日、お父さんは突然帰らぬ人となった。
アメリカとの戦争で爆弾をぶつけられたらしいが、詳しいことは聞きたくなかった。
私達のことを一番に思ってくれる唯一の人であったお父さん。 そんな人が居なくなったなんて信じたくない。
それに...お父さんが居なくなったら、 お兄ちゃんだってまた "我慢" しなくちゃいけない。
そんなの、そんなの......!!
日本(6歳くらい)
にゃぽん(4歳くらい)
日本(6歳くらい)
にゃぽん(4歳くらい)
....だめ。
だめ、だめ、だめ。
守らなくていいの、 私の事なんていいの、もうやめて。
日本(6歳くらい)
違う、そんなの望んでない!!
私はこれ以上お兄ちゃんに無理して欲しくない!! これ以上 "我慢" しないでよ!
日本(6歳くらい)
にゃぽん(4歳くらい)
でも当時の私には、 そんな兄の背中を見送ることしか出来なかったのだった。
そこからは時が風のように流れていった。
お兄ちゃんや国民さん達の尽力で、国は猛スピードで復興を遂げ.... 街は綺麗に整備され、食料も豊富に、貧富の差もどんどん無くなっていった。
そこにはお兄ちゃんの苦悩の甲斐あって築かれたものも多い... 少しだけ、やるせない気持ちもあった。
因みに、お父さんの仇であるアメリカは私達のことをすごく気にかけてくれた。
何故ここまで気に掛けてサポートしてくれたのかは分からないけど.... 結果的に助かったので、深く考えないことにする。
アメリカは私だけじゃなく、 お兄ちゃんのことも本当に可愛がってくれている。
お兄ちゃんも頼れる人ができて、最近は結構笑うことも増えた。
しかし、そんな光景を微笑ましく思っていた矢先──────。
にゃぽんの部屋:
にゃぽん
鼻歌を歌いながら漫画を読んでいた私は、ここからの展開のシチュを妄想していた。
今日は家には誰も居ないので、 好きなことし放題だ。 やったね!
お兄ちゃんは仕事に行ってしまった。 今日は大事な会議とのことで、 朝は少し緊張した面持ちで居たのを覚えている。
遅くなりそうだし、ご飯作って待っていようかな......
にゃぽん
独り言をボヤきながら体を起こしたその時だった。
ガチャン!!ばたばたっ...!
にゃぽん
突然の騒音に体を強ばらせると、部屋のドアが勢い良く開け放たれた。
日本
にゃぽん
部屋に入ってきたのはお兄ちゃんだった。 慌ててやってきた為か、いつもキッチリしているスーツが乱れている。
こんなお兄ちゃん珍しい...と思った刹那、彼が私に抱き着いてきた。
にゃぽん
日本
にゃぽん
日本
二人の名前を出された瞬間ピシッと体が強ばる。
だってその2人と言えば、お父さんの...
にゃぽん
日本
にゃぽん
お兄ちゃんが、よりにもよってあの二人に向けて酷いことを言うとは思えないが.... まずは事情を聞くことにした。
にゃぽん
日本
にゃぽん
優しい声音で問いかけると、お兄ちゃんはコクリと頷いた。 そして会議での出来事をぽつりぽつりと語りだし......
日本
日本
にゃぽん
お兄ちゃんが語ってくれたのは、あまりにも悲しい過去の逸話だった。
我慢が得意だとは分かっていたが、 ここまで我慢していたなんて知らなかった。
驚きと同時に、お父さんへの悲しみと自分への怒りがふつふつと湧き上がってきた。
お父さんは本当にパラオのことが好きだったんだ。 そしてお父さんが駄目なら、 何で私がもっとお兄ちゃんに寄り添ってあげられなかったんだろう。
そんなの分かってる。甘えてたんだ。
お兄ちゃんの我慢と優しさに甘えて、甘えた結果がこれなんだ。
もっと早く気付いてあげられなかった私のせいだ。
私の、せいなんだ......!!
にゃぽん
『わたしのせいで、ごめんなさい...』
コメント
6件
こう、なんと言いますか…一つ一つの言葉がとても綺麗ですね、本当に神作品をいつもありがとうございます
んんんんんんん … †┏┛墓┗┓† 神ですね それ以外の言葉がないです
すごい...もう神だ...(^p^)