母
母
チサト
母
母が持っていたのは…
小さな黒い額縁。
そこに、1枚の写真が収まっている。
チサト
チサト
母
母
母
チサト
チサト
母
母
チサト
母
チサト
母
チサト
母
母
母
チサト
チサト
チサト
チサト
チサト
9年前。
母
母
その時の私は…
少しヤンチャだった。
チサト
母
母
チサト
チサト
母
母
チサト
母
母
反抗期といけば納得するだろうか。
だけど、まだこれは可愛らしいもの。
父さんに対しての態度は酷かったものだ
親父
親父
親父
チサト
チサト
チサト
それが口癖だった。
父は小さい頃から、
よく出張で家を留守にしていた。
そのせいか、父に対してはいつも素っ気なかった。
母
チサト
母
母
親父
チサト
チサト
チサト
チサト
チサト
チサト
いつも背を向けてきた父に…
態度が悪くて……
素っ気なくて……
感謝なんかしたことなかった。
そんなある日。
私は事故にあった。
交通事故。
学校の帰りに車にはねられた。
だけど無事だったんだ。
それは……
その日の朝。
チサト
母
私はいつものように玄関を飛び出した。
親父
チサト
『朝っぱらから鬱陶しい。』
それが第一声だった。
親父
自転車で通学しようとした私は、
ヘルメットを被っていなかった。
チサト
親父
チサト
チサト
チサト
チサト
チサト
親父
親父
チサト
チサト
チサト
私は身を翻し、自転車に乗ろうとした。
すると
親父
親父
親父
親父
父の顔は真剣だった。
チサト
私は仕方なくヘルメットをぶんどった。
父のおかげだった。
あいにく1ヶ月は入院したが、
それだけで済んだ。
ヘルメットを被っていなかったら死んでいた。
その事実に少し悔しかった。
退院した時、父に感謝の気持ちを抱いていた。
すでに2日前に過ぎていた父の日を…
初めてしてみようと考えていた。
私は、父にハンカチを買った。
青と黒のチェックのハンカチ。
私はその日の夜に渡した。
初めての父の日。
チサト
チサト
親父
そう言いながら、父は笑っていた…
父が死んだのはその3日後だった。
父は家の庭で死んだ。
帰ってきた母さんが見つけた。
私はやっぱり、
帰りが遅かった。
私のあげたハンカチが、風でとんだ。
そして家の庭の木に引っかかった。
父は死にものぐるいで木に登った。
それで木から落ちた。
病院に運ばれたけど駄目だった。
息を引き取ったのは私が来る…
5分前だった。
チサト
チサト
チサト
チサト
チサト
私は泣いていた。
初めて父を愛していたことに気づいた。
今でも忘れられない。
素っ気なくしてごめんなさい。
態度悪くてごめんなさい。
不器用でごめんなさい。
ありがとうと言えなくて
ごめんなさい。
もし、
まだ父が生きていたなら
私はたくさん… 『ありがとう』を言ったでしょう。
あなたはまだ間に合います。
感謝は、今しか言えません。
遅かったじゃ済まされません。
手の届くうちに。
恥ずかしくても…
伝えるべき言葉。
チサト
チサト
コメント
3件
マジで涙が止まらなくなったじゃないですかぁ… RION様、天才すぎます…!
RION様は、天才ヾ(´∀`*)ノ!!!!!!!!!
うおーさいこー!