詩織
やばやば
詩織
ちょっと聞いて
葵
どしたん?
詩織
帰り道、変なオヤジにあとつけられた
葵
マジか笑
京香
ガチでヤバい話で笑う笑
詩織
笑わないでよ…笑
京香
どんなおっさん?
詩織
年はたぶんお父さんぐらいで
詩織
身長もお父さんぐらいかな?
京香
それ笑
葵
それ、お父さんじゃない?笑
詩織
ちがうから笑
詩織
マスクしてメガネかけてて
詩織
駅から家までつけてきたっぽい
京香
いや、だからそれ笑
葵
お父さんじゃない?笑
詩織
だからちがうって笑
詩織
お父さん今、出張中で
詩織
まだ帰ってきてないし
葵
襲われたり触られたりはしてないの?
詩織
うん。それはだいじょうぶ
京香
でもまぁ、エロいことは考えられたよね
詩織
げぇ…マジ?
京香
そらそうよ
京香
おっさんなんて変態ばっかじゃん
葵
おじさんへの風評被害が笑
京香
でも実際、おっさんなんてそんなもんじゃない?
京香
詩織の父親だって変態だよ
詩織
いやいや…
詩織
うちのお父さんはまじめだよ
京香
どうだかねー
葵
まじめそうなおじさんほど
葵
変態度エグかったりするよね
京香
それな
詩織
葵までやめてよ
京香
パソコンとかスマホとかさ
京香
ヤバいものたくさん入ってたりすんじゃない?
詩織
ヤバいものって?
京香
エロ動画とか?
葵
違法なやつも持ってたりして
詩織
エロ動画に違法とかあるの?
京香
くいつくな笑
詩織
えーなんか怖くなってきた
詩織
ちょっとお父さんのパソコン見てこようかな
葵
見れるの?
詩織
うん
詩織
今日も家に私ひとりだし
詩織
お父さんのパソコンのログインパスワード知ってるし
京香
おぉ~!やったれやったれ
詩織
よし
詩織
ちょっと行ってくる
京香
いってらー
葵
いってらー
詩織
はぁ…
詩織
京香と葵はああ言うけど…
詩織
そんな、お父さんにかぎって
ないよねぇ…
ないよねぇ…
詩織
そりゃ、多少エロいのはあるかもしれないけど…
詩織
変態みたいな趣味はさすがに…
詩織は父親の部屋に入ると
怖いもの見たさで父親のパソコンを起動し
適当に目についたフォルダを開いていく
詩織
なんだ…
詩織
普通に仕事?のフォルダばっかり…
詩織
やっぱりうちのお父さん、普通じゃん…
詩織が安心しかけた矢先、ひとつ、奇妙なフォルダにあたる
詩織
あれ…?このフォルダ…
詩織
『詩織』って名前のフォルダだ…
詩織
家族写真が入ってるのかな?
詩織
でも、パスワードかかってる
詩織
家族写真にパスワードかけなくてよくない?
詩織は不気味に思いながらも
中身を確認するためにパスワード解除をこころみる
詩織
『詩織』って名前のフォルダだし…
詩織
ひとまず自分の誕生日を入力してみよ
詩織
…………
詩織
えっ
詩織
開いたんだけど…
詩織
なんなのこのフォルダ
『詩織』フォルダを開くと、そこにはさらに
『詩織たち』というフォルダがあった
詩織
「たち」って何…?
詩織は不気味さを感じながら
そっと『詩織たち』フォルダを開く
するとそこには日付ごとに整理されたフォルダがあり
そのひとつを開くと…
詩織
えっ…!
詩織
ちょっと待って、これ…
詩織
やだやだやだやだ
詩織
うそでしょ、お父さん…
詩織は父親の隠された趣味を目の当たりにして
ショックで両手で口をおおった
『詩織たち』フォルダの中には
たくさんの少女の画像がしまわれていたが
その少女たちは皆
詩織と同じ制服
同じ髪型
同じピアス
詩織
ほくろまで同じ…
まるで詩織かのような格好をしていた
詩織
変装させてるの?
詩織
しかもこれ…
詩織
変装させたうえで…
詩織
うそでしょ…
詩織がショックで画面に釘付けになっていると
ふいにスマホの着信音が鳴り響き
詩織は肩をビクッと振るわせ
恐る恐るスマホに手を伸ばす