ゆっくりと目を開けたあすみさんは
涙で潤んだ瞳を優真さんに向ける
井川あすみ
三村優真
井川あすみ
井川あすみ
井川あすみ
井川あすみ
井川あすみ
あすみさんの言葉に
優真さんは何も言えなくなってしまった
それでもあすみさんは優真さんを求め
涙ながらに優真さんの手を強く握る
私もかける言葉が見つからず
しばらく黙った状態が続いた
それまで愛を知らずに生きてきた二人にとって
生まれて初めて心の底から愛情を感じることができた
不器用ながらも必死に伝えようとした優真さんの愛は
あすみさんの心の奥深くにしっかりと残っていて
それが言葉を交わせるようになった彼女の口から
優真さんを求める言葉として紡がれていく
でもどんなに愛の言葉を並べても
離れなければならない
井川あすみ
井川あすみ
井川あすみ
井川あすみ
三村優真
私がどんなに説明しても
あすみさんの涙が止まることはなかった
気がつけばもう
面会終了時刻が迫っていて
優真さんの手を離そうとしない彼女の姿に
看護師さんに何度も頭を下げて
一晩だけ付き添いを許可を出してもらえた
今夜だけ特別に許可された夜間の付き添い
たった一晩だけでも
二人にとっては貴重な時間だ
直ぐに梶原さんに連絡を入れて現状を報告
明日の朝イチで梶原さんが来てくれることになり
それまでは私が引き続き付き添うことになった
あすみさんは言葉を交わすことができるようにはなったが
まだ経口での栄養摂取はできていないため
点滴で栄養を補っていた
優真さんは少しでも長く彼女のそばにいるために
ゼリー飲料で空腹を凌ぎ
トイレに行く以外にそばを離れることはせず
不安そうな彼女の手を握りながら優しく頭を撫でる
看護師B
沢田マリカ
しばらくして看護師さんに呼ばれた私は
さっきの部屋に通され担当医からの説明を受ける
沢田マリカ
沢田マリカ
担当医
担当医
担当医
順調に回復していたあすみさんが
ついに一般病棟に移ることになった
でもそれは
優真さんとの別れを意味している
二人の元に戻るとあすみさんは再び涙を流していた
最初は退院まで付き添うつもりだった
でも優真さんは悩んだ末に
彼女が一般病棟に移るタイミングでの山梨行きを決意していた
三村龍三
三村龍三
山梨にいる祖父、龍三も優真さんの意向を理解してくれて
優真さんは少しずつ山梨に行く準備を進めていた
龍一さんが優真さんを追いやるために用意したマンションは
龍一さんに連絡をして解約してもらうことになった
龍一さんが優真さんに毎月送っていた生活費は
高校生になってから全く手をつけられぬまま
父親のお金を使いたくないと言う思いから
返金しようとした優真さんを叔父の龍二さんが説得
三村龍二
三村龍二
三村龍二
そのお金を返さない代わりに
今後、一切の連絡をしないと言うことで話がついたようだ
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