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優真さんにとって

龍一さんはお世辞にも良い父親とは言えなかった

これは後からわかった話だが

離婚後の親権について話し合いをした際

父親である龍一さんと母親は

二人揃って優真さんを拒否するような発言をしたらしく

通常ならばどちらが親権を取るかの話し合いになる場面で

逆にどちらに親権を押し付けるかと言う話し合いが行われた

その結果、母親の元に引き取られたのだが

母親からの愛情を感じられぬまま

実母

あんたもう

実母

お父さんのところに行って

三村優真

え……

実母

バツイチってだけでも体裁が悪いのに

実母

子供までいたら新しい恋なんてできないでしょ?

実母

血の繋がらない子供なんて欲しがる男はいないのよ?

まだ幼かった優真さんには到底理解のできない母親の言葉

訳もわからず家を追い出され辿り着いた龍一さんの家には

知らない女の人と小さな男の子が暮らしていた

継母

どうして引き取ることにしたの!?

継母

私は嫌よ!

継母

前の奥さんとの子供なんて!!

三村龍一

中学卒業まで辛抱してくれ!

三村龍一

そしたらマンションでも借りて住まわせるから!

この家にも優真さんの居場所はなかった

唯一の救いは

継母からの極端な嫌がらせや虐待の類いがなかったこと

食事も三食きちんと用意してもらえて

着るものもちゃんと与えてもらえた

優真さんへの態度は冷たく

継母

食事は向こうの部屋で食べなさい

継母

お風呂は一人で入って

優真さんが女の子に対して問題を起こした際にも

学校まで迎えには来てくれたが

家に戻ると再び冷たい態度を取る

継母

手を焼かせないで

継母

私はあなたのお母さんじゃないの

継母

あなたのお父さんと再婚したから一緒に住んでいる

継母

それだけなの

優しくしてもらった記憶などなかった

それでも最低限の衣食住が保証されていたため

優真さんは孤独の中でも生きていくことができた

楽しい思い出なんて殆どなかった

人に対する接し方がわからないから友達もできない

それでも高校生になる頃には処世術を身に付け

優等生を演じてそれなりに高校生活を送っていた

でも優真さんには

愛情と言うピースが欠けてしまっていたため

度々、女性とトラブルになり

優秀だけどイカれている

そんな噂が立つこともあった

ありとあらゆる本を読み

愛情とはなんなのか?について学ぼうとした

そうして出来上がった"愛情"と言う名のピースは

とても歪んでいて誰の心にも当てはまらなかった

三村優真

誰もわかってくれない

三村優真

僕の愛を受け止めてくれない

それでも外面を良くして体裁を保って

愛情に飢えた心を抱えたまま時が過ぎ

とうとう迎えたあの日

優真さんは背後からあすみさんを襲った

三村優真

信じてもらえないかもしれないですけど……

三村優真

誰でもよかった訳じゃないんです

三村優真

たぶんあれは

三村優真

僕の一目惚れだったのかもしれません

優真さんが彼女を見つけたのはアルバイトの帰り

見慣れない制服姿の少女の姿に優真さんは疑問を抱いた

時刻はもうすぐ20時になろうとしている

こんな時間に何をしているのか?

それまで彼女がどこで何をしていたかもわからない

でもその後ろ姿に優真さんは何かを感じて

衝動的に背後から彼女の口元を手で押さえていた

抵抗されるか?と思ったが

彼女は全く抵抗しなかった

三村優真

僕の愛を受け止めて

自分でもおかしいことだと自覚はしていた

でも彼女の傷を見て助けたいと心から思った

そこで彼女が頷くなんて想定外の出来事だったが

優真さんは精一杯の歪んだ愛情を

傷ついた彼女心に注いでいった

渇愛と純情ー愛の鎖に繋がれてー

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