TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

抗体人間シリーズ−過去編−

一覧ページ

「抗体人間シリーズ−過去編−」のメインビジュアル

抗体人間シリーズ−過去編−

38 - 9月15日 計画実行日③

♥

10

2019年07月14日

シェアするシェアする
報告する

情報管理室

ガチャッ

柘榴

天望先輩っ‼︎

シーン

柘榴

天望...先輩...?

キョロキョロ

柘榴

まだ来てないのかなぁ...

柘榴

そういえば、何も警戒せずに入っちゃったけど...

柘榴

柘榴

何で人が誰もいないんだろう...

カランッ

柘榴

ん?何か当たった?

コトッ

柘榴

柘榴

空き缶?しかも結構へこんでる...

ザザッ...

柘榴

ん?

ザザザッ...

ザザザザーッ

柘榴

えっ⁉︎な、何⁉︎

《...い...こ...か....》

柘榴

えっ?

《お...聞こ...るか...》

柘榴

その声...

《おい、聞こえたら返事でもしたらどうだ?》

柘榴

柘榴

天望先輩っ‼︎

《無事みたいだな...》

柘榴

はいっ‼︎でも天望先輩...

《ん?どうした?》

柘榴

今、声だけしか聞こえないので姿を見せてもらえるとありがたいんですが...

《お、それはすまない。今接続するから、少し待て。》

《えーっと...この配線を繋いで...》

ヴンッ

柘榴

わあっ⁉︎空中に画面がっ⁉︎

天望

《今の時代では当たり前だ。逆に使っていないのはあっしらぐらいだぞ。》

柘榴

あはは...そうでしたっけー...

天望

《それより、“抗体人間”はどうなったんだ?》

柘榴

琥珀ちゃんに指揮をお願いして、もう出口に向かっていると思います‼︎

天望

《...あの男に妨害されなかったか?》

柘榴

されましたけど、凛ちゃんが記憶を消してくれたので難を逃れました。

天望

《殺したのか?》

柘榴

いや、人殺しはよくないなって...

天望

《はぁ...相変わらずお前らしいな。》

天望

《まあ、例え起き上がっても記憶が消えているから問題はないか...》

柘榴

そうだっ‼︎天望先輩は今どこにいるんですか?

天望

《ん、あっしか?あっしは...》

天望

《今は言えない。》

柘榴

えっ?ど、どういうことですか⁉︎

天望

《....》

柘榴

天望先輩...?

《あ、別にネタバレしてもいいよ〜。》

柘榴

その声は...っ‼︎

空泉

《呼ばれて飛び出て、そらいずみーん‼︎》

空泉

《やっほ〜‼︎空泉ちゃんだぞ☆》

柘榴

な、何で空泉先輩が...っ⁉︎

柘榴

まさか、空泉先輩に脅されて

空泉

《ちゃうで嬢ちゃん、勝手に私を悪者に仕立て上げんでなぁ...》

柘榴

なら、何で...

天望

《あっしはあっしの意志でここにいるんだ。》

柘榴

えっ...?何でそんなメリットのないこと...

空泉

《なんか柘榴、今しれっと酷いこと言わなかった?》

空泉

《まあ、詳しくはWebで‼︎...と言いたいところだけど真面目に話した方がいいよね。》

空泉

《じゃあ、今から空泉先輩が真実を語っちゃうぞ〜‼︎》

天望

《おい、後輩が訳分からなくなっているから少しは真面目にやれ。》

空泉

《へーい。》

空泉

《じゃあ、まず私と天望が何で一緒にいるのかについて話そうか。》

空泉

《天望が毒にやられて私が呼び出したの覚えてるよね?実はあのとき私は天望にある提案をしたんだよ。》

8月29日 実験場【C】

空泉

ん〜、実は少し協力してほしいことがあってね...

天望

協力?

空泉

まあ、簡単な話なんだけど天望がすんなりと受け入れてくれるかは分からないって感じかな〜。

天望

さっさと言え。

空泉

それは...

空泉

空泉

“抗体人間”の脱獄を手伝ってくれない?

天望

...は?

空泉

あ、脱獄って言い方だと刑務所みたいになっちゃうか。でも実際、ほぼそうだからいっか笑

天望

何で、お前がそんなことを...?

空泉

ん?だって、ただ見てるだけなんて可哀想じゃん。だったら逃してあげようって思った訳さ。

天望

それもそうだが...

空泉

あ、何で安曇サイドの私がそんなこと言ってるのかってこと?

空泉

空泉

安曇と私が仲間だなんて嘘に決まってるじゃん笑

天望

嘘だと...?

空泉

そだよ〜。

天望

だがお前は金目的で...

空泉

まあ、金に困っていないと言えば嘘になるけどね〜。

空泉

それと私は金で釣られるような安い女じゃないし‼︎

空泉

私を釣るには100年早いわっ‼︎

天望

じゃあ何でお前はあの男側についたんだ?

空泉

ああ、あれは情報収集のためだよ。

空泉

敵の陣地に入り込めば色々な情報を盗み取れるかなぁって。

空泉

で、その結果“抗体人間”の本当の役割も分かったし。

天望

本当の役割...?

空泉

空泉

戦争で使う“生物型兵器”。

空泉

これが“彼ら”の本当の役割だよ。

天望

何だそれは...

空泉

恐らく、現在各地で起こってる戦争に対抗すべき武器を作りたかったんだろうね。

空泉

それで、中性子の抗体を持ち人間離れした能力を持つ“最強の兵士”を生み出すことに成功した。

空泉

それが、“抗体人間”の正体だよ。

天望

だが、後輩が所長に提出した書類と全く違うぞ。

空泉

そうなんだよね〜。だから考えられるとしては所長とグルなんじゃないかってことぐらいだよ。

天望

もしそうだとすれば、この研究所は一切の信用がなくなるな。

空泉

でしょ?だからこんなクソみたいな場所から“彼ら”を逃してあげようって考えた訳さ。

天望

だがそれを実行するにはリスクもあることを忘れていないだろうな?

空泉

あたり前田のクラッカーだよ‼︎

天望

もう無視するぞ。

空泉

ひどっ‼︎

空泉

だから例え見つかっても“彼ら”を無事に出口まで導く唯一の方法があるんだよ‼︎

天望

教えろ。

空泉

いや〜、でも天望がショックを受けるかもしれないし〜。

天望

聞こえなかったのか?

空泉

分かった分かった‼︎その目で睨むのやめて‼︎

空泉

それはね

空泉

空泉

私と天望が囮になるんだよ。

天望

...は?

空泉

あれ?聞こえなかった?じゃあもう一回...

天望

ちょ、ちょっと待て‼︎なぜあっしらが囮になるんだ⁉︎

空泉

だって戦闘用ロボットとかを囮にすればみんな無事に逃げられるけど、私達にはそんなスキルないじゃん?

空泉

だから仕方な〜く私と天望でその役割を担おうって訳。

天望

お前はいいかもしれないが、何であっしまで囮にならなければいけないんだ⁉︎

空泉

何か勘違いしてるつもりだけど、この囮は柘榴への感謝のつもりなんだよ?

天望

後輩への感謝?

空泉

まだ特遺研が私と天望の2人で特に伸びがなかった頃、研究の分野の違いでやって来た柘榴に救われたよね。

空泉

笑顔や協力する楽しさ、未知の研究に取り組む諦めない姿勢...

空泉

当時2人だった頃にはなかったものを柘榴は与えてくれた。

空泉

そんな柘榴が今助けを求めてる、だから私は力になりたい。だから私は囮になる。

空泉

あ、聞いててわかると思うけど柘榴は囮じゃなくて、脱獄側だからね。

天望

なるほどな...

空泉

まあ、でも強制はしな

天望

分かった、あっしも引き受けよう。

空泉

へっ?そんなあっさり?

天望

あっしは散々お前の嘘を聞いてきたが、今の言葉には嘘が含まれていなかった。

空泉

分かんないよ〜?

天望

何年一緒にいたと思っているんだ。

空泉

うわぁ、年齢がバレる〜‼︎

天望

あっしも後輩にはたくさんのものを貰ったからな。恩を仇で返すようなことはしないぞ。

空泉

ヒュ〜ッ♪男前〜‼︎

空泉

じゃあ、天望自身がこの計画を考えたって扉付近にいる柘榴に言っておいてね。くれぐれも囮作戦のことは言わないように‼︎

天望

分かった。

空泉

あ、詳しいことはまた連絡するね〜。

空泉

《という訳だす。》

柘榴

じゃあ囮って...つまり死ぬってことですか...

天望

《ストレートに言えばそうなるな。》

柘榴

そんなのダメです‼︎一緒に脱出しようって約束したじゃないですかっ‼︎

天望

《...悪い。》

柘榴

場所を教えて下さいっ‼︎今助けに行きますからっ‼︎

空泉

《ん〜、気持ちはありがたいんだけどね...》

空泉

《この音、聞こえる?》

柘榴

音...?

《シュウゥゥゥゥ...》

柘榴

これは...?

空泉

《ガス漏れ中でござんす笑》

柘榴

ガス漏れって...

空泉

《つまり、ここで火をつけたら爆発するでやんす笑》

柘榴

でもそんなの別に火がないから関係な...

柘榴

っ‼︎

天望

《すまない、死ぬ前に煙草を吸ってもいいか?》

空泉

《わぁ、人の話を聞かない人がいるぞ〜。》

柘榴

待って下さい、天望先輩っ‼︎

天望

《さらばだ、後輩。》

《シュボッ...》

柘榴

柘榴

あ、あれ?

空泉

《っていうドッキリでした〜‼︎》

空泉

《もう、ビビっちゃって可愛いな柘榴は〜笑》

柘榴

...ざけ...いで...

空泉

《あ、やべ。》

柘榴

ふざけないでっ‼︎人の気持ちを弄んで何が楽しいのっ‼︎

空泉

《ごめんごめん、ついやりたかったんだよ。許してよ笑》

柘榴

何でそんなにヘラヘラしてるのっ⁉︎死ぬかもしれないんだよっ‼︎

空泉

《元から死ぬつもりで〜す。》

天望

《確かに、今のは悪い冗談だった。申し訳ない。》

空泉

《でもね...》

空泉

空泉

《爆発するのは本当だよ。》

柘榴

また嘘を...っ‼︎

天望

《これは本当だ。》

柘榴

えっ...?

空泉

《火をつけると爆発するのは嘘だけど、ガスが蔓延しているのは本当なんだよ。》

空泉

《でもそのガスは特殊でね、爆発条件は火じゃないんだよ。》

柘榴

じゃあ何が...

天望

天望

《風圧だ。》

柘榴

風圧...?

天望

《人間が行動をするぐらいでは爆発はしないが、扉を開けるような勢いがあれば爆発するんだ。》

柘榴

じゃあ、まさか...

空泉

空泉

《柘榴が扉を開けた瞬間に爆発するってことだよ。》

空泉

《だから助けに来てくれるのはありがたいけど、それは同時に私と天望を殺すことにもなる。》

空泉

《それは結構なトラウマになるよ〜。》

柘榴

じゃあ、どうやって2人を助ければ...

空泉

《だから助けなくていいって〜。》

空泉

《あ、それよりさ。その辺りに空き缶落ちてなかった?》

柘榴

落ちてましたけど...

空泉

《それね、琥珀が創ってくれたんだよ〜。》

柘榴

えっ⁉︎琥珀ちゃんが⁉︎

空泉

《それは、転送したい場所を言いながら缶を蹴るとその場所に転送されるってヤツなんだけど1回しか使えないのがね〜...》

柘榴

じゃあ、ここに入ったときに誰もいなかったのは...

空泉

《私がやりました笑》

空泉

《情報管理室って特殊警備隊の待機部屋みたいになってるんだけど、彼らは今頃金庫室にいるよ。》

空泉

《まあ、天望が電源落としたから金庫室から本当の金庫になっちゃったけどね笑》

柘榴

だから安曇君が呼んでも来なかったんだ...

空泉

《でもね、残念なことがあるんだよ。》

天望

《所内の電気は現在非常灯だが、もうすぐ回復するだろう。》

天望

《そうすれば閉じ込められている特殊警備隊が“抗体人間”やそれを手助けした人間を捕まえに来る。》

天望

《そうすれば、後輩の逃げ道はなくなるだろう。だからもうあっしらのことは置いて逃げろ。》

柘榴

嫌ですっ‼︎

天望

《おい、頑固なのも...》

ポタッ

柘榴

嫌...です...

柘榴

だって...だってそんなの...酷過ぎる...

柘榴

私は例え見つかったとしても...絶対に...絶対にここから逃げませんっ‼︎

柘榴

最期まで2人と一緒にいます...っ‼︎

空泉

《....》

バンッ

チカッ

天望

《...マズいぞ。所内の電気が復旧し始めた。》

空泉

《ここに来るのも時間の問題だね...》

空泉

《...柘榴の気持ちはよく伝わったよ。じゃあそのときが来るまでまたいつもみたいに話してよっか笑》

空泉

《柘榴、前私が言った言葉覚えてる?》

柘榴

言った...言葉...?

空泉

空泉

《君は“物語”の“主人公”だよって言葉。その意味を説明しようか。》

空泉

《人生って1つの“物語”なんじゃないかなぁって私は思うんだよ。》

空泉

《嬉しいこと、悲しいこと、楽しいこと、辛いこと、どんな出来事もやがて“物語”の1ページになっていく。》

空泉

《でも“物語”はそれだけで形成されてるんじゃないんだよ。》

空泉

《登場人物がいて初めて“物語”になっていくんだよ。そしてそれにはいいヤツもいれば悪いヤツもいる。》

空泉

《中でも悪いヤツは一番大事なポジョンだと思うんだ。だって悪役がいてこそ“主人公”が輝けると思うんだよ。》

《タッタッタッ》

空泉

《だから私は柘榴の“物語”において悪役になろうと思ったんだよ。だってさ...》

空泉

空泉

《悪役は“主人公”を生かすためにいるんだよ。》

空泉

《めっちゃカッコイイと思わない?だからそのポジョンは取らせてもらった‼︎ざまあみろ‼︎》

天望

《いい雰囲気だったのに最後でぶち壊すな。》

空泉

《さ、次は天望だよ‼︎なんか足音が近づいているから手短にね‼︎》

天望

《お前の尺の使い過ぎだろ。》

天望

《えーっと、狼のせいで喋る時間がなくなったが手短に遺言を残したいと思う。》

天望

《後輩。お前の真面目で変に心配性の姿、正直に言ってウザかった。》

天望

《だが、そのおかげであっしはよく笑うようになり、たくさん話せるようになった。》

天望

《元々、あっしは人間嫌いで狼も苦戦するほどだったが、後輩はあっしの人間嫌いをほぼ克服させてくれた。》

天望

《本当に感謝している。》

《おい、何だこの部屋は。》

《ガチャッ》

《鍵が掛かっている‼︎》

《そこにいるのは分かっている‼︎大人しく開けろっ‼︎》

天望

《なんだか賑やかになってきたな。》

天望

《もう言うこともないが、あえて言うとすれば...》

天望

天望

《次はお前の番だぞ、後輩。“彼ら”...いや、“主人公達”によろしくな。》

空泉

《あっ‼︎それ私の言葉〜‼︎このパクリ魔め‼︎》

天望

《ふふ、これであっしも悪役だな。》

空泉

《てか、“主人公”は1人だし〜‼︎》

天望

《誰がそんなこと決めたんだ?》

空泉

《もう、ああ言えばこう言って〜‼︎》

《ガンッ‼︎ガンッ‼︎》

天望

《後輩...いや、柘榴。今までありがとう。》

空泉

《天望‼︎私も圭って呼んでほしいなぁ...》

天望

《はい、圭圭圭。》

空泉

《うわっ、凄い適当〜...》

空泉

《じゃあ、柘榴っ‼︎先に逝って待ってるぞ〜‼︎》

天望

《何で死ぬ前提なんだ...》

《ガチャッ‼︎》

《開いたぞっ‼︎》

天望

《さらばだ、柘榴。》

空泉

《ばいばい、柘榴。頑張るんだぞ☆》

《バンッ‼︎》

《ドガァァァァァァァンッッ‼︎》

柘榴

柘榴

いや...そんな...

柘榴

柘榴

いやああああああああああああああああああたあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼︎‼︎

抗体人間シリーズ−過去編−

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

10

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚