三村優真
三村優真
19時頃
少し落ち着いたあすみさんに優真さんが問いかけた
優真さんがあすみさんを初めて見つけたあの日のこと
三村優真
三村優真
優真さんの問いに
あすみさんはポツリポツリと当時のことを話し始めた
2010年5月11日(火)
あすみさんは見知らぬ道を歩いていた
五年前に祖母のトキ子さんが亡くなり
かすみさんと静(じん)さんからの虐待が開始され
日に日にエスカレートする猛攻の数々に
あすみさんの心は限界を迎えていた
更に精神的なストレスから失声状態になり
助けを求めることもできぬまま日々を過ごしていた
井川あすみ
井川あすみ
井川あすみ
そんなことを考えながら家とは違う方向に向かっていた
目的地などない
このまま道に迷って帰れなくなって
そのまま誰にも見つからなければ……
そう思った直後
見知らぬ男性に背後から口元を押さえつけられた
三村優真
時間にしたら10分程度
あっという間にマンションに連れ込まれ
後ろ手に手錠をはめられた
なぜこんなことになったのか
なぜ見ず知らずの男性にこんなことをされなければならないのか
せめてこの手錠だけでも外してほしい
あすみさんが涙ながらに表情で訴える
三村優真
三村優真
必死に首を横に振って
逃げる意思がないことを伝えた
恐怖で全身が震える
でもこの男性に捕まったことよりも
この後、もし家に戻ったら何をされるか?
そっちの方が怖かった
三村優真
三村優真
男性の問いかけに頷くと
男性は手錠を外してくれた
思わず男性に抱きついてしまったが
男性にそのまま抱き締められた
溢れる涙が止まらなくなり
男性の腕の中でしばらく泣き続けた
助けてほしい
逃げないから保護してほしい
男性はあすみさんをベッドまで運ぶと
三村優真
そう言ってあすみさんの袖を捲った
続けて服を捲った男性は
あすみさんの全身の痣や切り傷に言葉を失う
ここで何もしなければまたあの家に帰らされるかもしれない
暫しの沈黙の後
あすみさんは勇気を振り絞って必死に口を動かした
三村優真
三村優真
無我夢中で伝えると
男性はあすみさんに色々と質問をしてくる
あすみさんが母親や兄にされたことを伝えると
男性はあすみさんを抱き締めて囁いた
三村優真
三村優真
三村優真
三村優真
井川あすみ
井川あすみ
井川あすみ
井川あすみ
傷ついたあすみさんの心に
優真さんの歪んだピースがピッタリとはまった瞬間
二人の心は目には見えない愛の鎖で繋がれ
離れていてもその鎖が切れることはなかった
やっと触れ合えるようになった今
離れたくないと言う彼女の想いが溢れて止まらなくなっていた
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