時雨
………
少女
………
時雨
?
少女
?
時雨
様子がおかしいな…
少女
どうして?
時雨
人の気配がまるで無い
少女
元々ここはそんなに人の出入りが多くないけど…
時雨
だとしてもおかしいな
時雨
誘われてるような気がしてならない
少女
罠にはめられてるってこと?
時雨
かもしれん…
時雨
だが上に戻る道はここ1本だけだ…
少女
行くしかないの……
時雨
そういう事だ
時雨
僕の後ろを離れるなよ
少女
分かってるよ…
ハシゴをのぼり当たりを警戒する
が、やはり誰もいない
時雨
ここにもいない…
少女
やっぱり私達…
時雨
可能性はある
時雨
とりあえず僕が潜入してきた道を使い戻ろう
少女
そこ私でも行ける?
時雨
僕がいるから行けるさ
少女
ならいいけど
元来た道を戻っていく
赤い屋根の建物を出て見張り台まで歩く
その際人に会うことは無かった
また、人影すらも見えなかった
時雨
………
少女
なんか怖い…
時雨
これは確実になってきたな…
同僚
帰りが早いですね時雨さん
時雨
お前か…
同僚
まぁそれを見越して行動してよかった
時雨
脱出経路を作ってくれたんだよな?
同僚
もちろん作りました
同僚
ただそれは俺のですけどね
時雨
なに!?
同僚
正確には俺とその後ろのガキのですね
時雨
……なるほど
時雨
やっぱりはめられてたな
同僚
おやおや気づいてたんすか
時雨
さすがに人がこうも少ないとな
同僚
それなら話が早い
同僚
そのガキをこちらに
時雨
僕がすんなりどうぞなんて渡すと?
同僚
まぁそんな事ないですよね〜
同僚
なのでこちらもそれ相応の対応させてもらいました
その言葉と共に至る所から
兵士達が現れ時雨達を囲む
同僚
この状況どうします?
時雨
抜けるに決まってるだろ
同僚
あなた一人ならね
同僚
でもそこにいるガキを守りながら出来ますかね?
時雨
ぐっ……
少女
お兄ちゃん
時雨
……
少女
私に気にしないで…
時雨
断る
時雨
それをすれば僕はまた死んだ眼をしてしまう
時雨
僕がこの部隊に入ったのはあの過去のような過ちを侵さないためにだ
少女
………
時雨
君を絶対助ける
時雨
大人を信じてみるということを教えたいからな
同僚
よく言えますねこの状況下で
同僚
そろそろあなたには寝てもらいます
謎の男
寝るのはお前な?
同僚
がっ……!?
謎の男
おやすみ
同僚
ぎ……ぎさま…は………
兵士
か、構うな!打てぇぇぇ!
その男目掛けて弾が飛んでいくが
全て弾かれその弾いた弾は
打ってきた奴らに返っていく
兵士
ぐぁぁぁぁ!?
謎の男
いいもの使ってる割にシロウトじゃねぇか
時雨
だ、誰だ!
謎の男
そうだなぁ……
謎の男
じゃあ誰だと思う?
謎の男
ヒントは君と苦楽を共にしてきた男
時雨
ま、まさか…
時雨
れ、蓮斗なのか?
謎の男
あったり〜
時雨
なぜ君がこんな所に
蓮斗
仕事でこの辺に来たんだよ
蓮斗
で、上の命令でこの辺の基地の捕虜を救い出せって来てね
蓮斗
そんで来てみればお前が敵に囲まれてたってこと
時雨
そういう事か……
少女
過去を変えたから今も変わったんだよ?
時雨
そうだな…
時雨
感謝してるよ
蓮斗
捕虜はその子だけか?
時雨
他にもいるみたいだ
時雨
場所はあの中心の建物だ
蓮斗
了解した
時雨
どうだ?大人を信用してみて
少女
でも上の命令って…
時雨
逆に考えれば命令だとしても君のような子供を救おうとしてくれる人がいるってことだ
少女
そっか……
時雨
あいつのおかげで助かったな
時雨
それじゃあ帰るか
少女
帰る?
時雨
今から行くところが君の家になる
時雨
僕もそこに住んでる何かあれば僕の名をいえば通るはずだ
少女
お兄ちゃん偉い人なんだね
時雨
その辺は帰りながら話してやるよ
世界は未だに争いで充ちてる
その中で苦しむ人は数え切れないほどいる
その中でたくましく生きる子供達
そしてそれを救う男達がいた
後にその団体は大きな組織となり
数十年と渡った戦争にケリをつけ
平和な世を築き上げる