美しい女性だと思った。
桃色が良く似合う可愛らしい女性だ。
アダリナ
アダリナ
彼女は微笑む
嘘ばっかり、
彼女は僕の事を愛してなどいない。
サンス
開いた口を噤み、言葉飲み込む。
サンス
アダリナ、君が僕を愛していなくとも
サンス
僕は君を愛しているよ。
数年前
僕はある大学に通い、勉学に励んでいた。
余りにも勉学に熱心になっていたせいで、恋沙汰には全くと言っていいほど無縁だった。
そんな僕に初めて声を掛けてくれた女性がアダリナだった。
アダリナ
サンス
アダリナ
アダリナ
サンス
アダリナ
桃色
僕が彼女に抱いた第一印象はそれだった。
アダリナ
アダリナ
それから彼女は僕に頻繁に話しかけてくるようになった。
それに不思議と優越感のようなものを感じていた。
サンス
僕も次第に彼女に話し掛けていく様になった。
言葉を繋いでいく度、彼女の笑顔が輝いていく。
僕は簡単に彼女に落ちていった。
友人
この大学に入る前から付き合いのある友人。
とても気さくであり、どんな奴でも仲良く出来るような、良い奴だ。
だが、最近様子がおかしいのだ。
友人
友人
友人
友人
彼女に異様に執着しているのだ。
周りを見れば他の男達の顔にも憤怒の色が伺われ、
肌を刺すような殺気の様なモノが感じられる。
友人にも注がれている筈の視線は、友人は気にしていない、否、
気付いていないようだ。
俺は違和感を感じた、
どうしてコイツらは当然だと言わんばかりに、彼女が自分のものだも信じて疑わないんだ。
僕は怒りを覚えた。
アダリナ
サンス
彼女は僕に泣きついてきた。
こんな事は初めてだった。
彼女は、弱音こそ吐いていたが、涙など見せたことはなかった。
アダリナ
は?
サンス
アダリナ
……アイツか。
サンス
アダリナ
彼女は嗚咽を漏らしながら、僕の胸に涙に濡れた美しい顔を押し付ける。
やはり彼女は泣いていても美しかった。
人気のない夜道
サンス
僕の見つ詰める先には、友人が歩いている。
それを付けて回るように、着いて行く。
彼女の感情を
一時的だとはいえ、支配したんだ。
妬ましい。
鈍い音が静かに響く。
僕は友人を持ち帰った。
友人は朝になると変わり果てており、
見上げられた虚ろな瞳に僕が写っていなかったのが印象的だったのを覚えている。
その後、彼女が僕に泣きついて来る事がある度に、同じ事を繰り返す。
彼らは僕の家の地下室に積み上げられていった。
アダリナ
脳髄が痺れる程の甘い甘言。
僕はこの為に今日迄頑張ってきた。
そう思わせてならない、程の甘言。
だがその甘言は冷たい嘘で塗りつぶされていた。
彼女が僕を利用して男共を片付けさせているのは直ぐに分かった。
サンス
だがそれでも構わなかった。
彼女が僕だけに頼ってくれているのだから。
どんな事だろうと構わなかった。
嗚呼、愛しているよ、アダリナ。
僕は捕まった。
家に警察が押し掛けて来たんだ。
地下室の蟻塚の如く積み上げられた彼らが見つかったのだ。
夥しい彼らの数に、警察は圧倒されていた。
僕は連行された。
通報したのは彼女だった。
アダリナ
美しく微笑む彼女の頬は、
残酷なロサード(桃色)だった。
end
コメント
2件
(๑⃙⃘ˊ꒳ˋ๑⃙⃘)ᵗᑋᵃᐢᵏ ᵞᵒᵘ ¨̮
めっちゃよかった!!!!!