美香
ねぇ祐ちゃん。

祐介
何〜?

美香
今度の記念日、何か欲しいものある?

祐介
え、記念日って?

美香
ひっどーい!!!

美香
私達の初めての『お泊り記念日』!!

祐介
よく覚えてるね笑

祐介
俺『付き合った記念日』しか覚えてないよ笑

美香
え!?他にもあるよ!!

美香
『初キス記念日』とか『初ハグ記念日』とか、

美香
もっと沢山あるよ!?

祐介
分かった、分かったから。

祐介
もういいから。笑笑

美香
なんで笑うの!!!

翔太
それで〜?

祐介
??

翔太
美香ちゃんとは最近どうなの?

祐介

祐介
特に何も。

翔太
冷たっ

翔太
もうちょっと話してくれても良いじゃん!

祐介

祐介
あっ

翔太
どしたっ!?

祐介
この間。

翔太
うん!!

祐介
美香と喧嘩したんだよ。

翔太
うんうん!!なんで!?

祐介
女優のK子の事を美香が、

祐介
「可愛いー!」って言ってたんだよ。

翔太
…う、うん。それで?

祐介
それで俺が「美香の方が可愛い。」って言ったんだよ。

翔太
……。

祐介
そしたら、「K子ちゃんの方が可愛い!!」って。

祐介
それでずっと言い合いしてた。

翔太

翔太
ごめん。

翔太
聞かなかった事にする。

翔太
要するに、お前らはバカップルなんだな。

祐介
…そうじゃ無いと思うけど。

翔太
絶対そうだ。

翔太
俺はお前ら以上にラブラブなカップ見たことない。

祐介
…そうか///

翔太
照れんな。キモい。

祐介
( ̄^ ̄)

祐介

祐介
あのな。

祐介
俺、美香にプロポーズする事にした。

翔太

翔太
そっか。

翔太
良いと思う。

翔太
頑張れよ。

祐介
…おう。

祐介
美香〜?

祐介
今どこ?

祐介
俺もう着いてるよ?

祐介
も〜しも〜し?

祐介
どこですか〜?

病院(医師)
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通話
05:00

祐介
?もしもし?

病院(医師)
もしもし?鈴木祐介さんですか?

祐介
そうですけど…。

病院(医師)
美香さんが意識不明の重体です。

祐介

祐介
え?

病院(医師)
今は昏睡状態ですが、かなり危険な状態です。

病院(医師)
急いで病院にいらして下さい。

翔太
それで!?美香ちゃんの様子は!?

祐介

祐介
今は薬で生き延びられてる。でも、

翔太
でも…?

祐介

祐介
もしこのまま助かったとしても、一生の障害が残るかもって。

祐介
それだったら、すぐに楽にしてあげた方が美香の為だって。

翔太
……どうするんだよ。

祐介

祐介
美香を楽にしてやりたい。

翔太
でもお前は良いのかよ!?

翔太
確かに障害が残るかもしれない!でも、

翔太
美香ちゃんは生きられるんだぞ!!!

祐介
俺だって悩んだよ!!!

祐介
ただ障害を持ったら毎日病院に行かなくちゃいけない!

祐介
毎日検査、毎日薬。

祐介
そんなの美香が可哀想だ…。

翔太
……。

祐介
俺の自分勝手かも知れない、美香に恨まれるかも知れない、けど。

祐介
俺は美香を楽にしたい。

美香の薬が切られる事になり、その手続きが始まった。
美香には両親がいなかった為、俺が手続きのサインをした。
美香を最後まで見届けたかったが、急だったために変更が出来なかった。
翔太
久しぶりだな!!

祐介
ああ、そうだな。

翔太
仕事はどうだ?順調か?

祐介
まぁまぁかな。でも忙しいよ。

翔太
やっぱりな〜お前あれから全然連絡寄越さないから!

祐介
悪い。笑

翔太

翔太
それ、とな。

祐介
ん?

翔太
あの後すぐに連絡しようと思ったんだけど、出来なくてさ。

祐介
なんだよ。

翔太

翔太
あれから美香ちゃん、薬切る前の3日間ぐらい意識戻ったんだよ。

祐介
え…。

翔太
それでお前の郵便物の中に手紙があっただろ?

祐介
あ、ああ。

翔太
それ美香ちゃんが書いたんだ。

祐介
……。

翔太
一応読めよ。誰も読んで無いから。

祐介
…ありがとな。

翔太
………おう。

美香
祐ちゃんへ

美香
元気ですか?

美香
私は元気……とは言えません。

美香
多分、祐ちゃんがこれを読むとき。

美香
私はもういないと思います。

美香
伝えたい事が3つあります。

美香
他にもいっぱい書きたい事あるんだけど、3つだけね。

美香
まず1つ目。

美香
私は祐ちゃんを恨んでなんかいません。

美香
寧ろ嬉しかった。

美香
全部翔ちゃんに聞いたけど、

美香
この選択をしてくれて、ありがとう。

美香
1番辛かったのは、祐ちゃんじゃなかったのかな。

美香
そんな中でも私を想ってくれて、ありがとう。

美香
私多分、世界で1番幸せだと思う。

美香
次に2つ目。

美香
大好きでした。

美香
私は祐ちゃんの事、大好きでした。

美香
いつも変な事で喧嘩して、仲直りして、そんな毎日だったけど、

美香
すっごく楽しかった。

美香
一日一日が夢のようでした。

美香
最後に3つ目。

美香
忘れて下さい。

美香
私の事、忘れて下さい。

美香
祐ちゃんも分かってると思うけど、

美香
私はもういません。

美香
帰っても来ません。

美香
だから、私の分まで楽しんでください。

美香
生きて下さい。

美香
それが私の、最後のお願いです。

美香
突然の事で、自分でもよく分からないけど、

美香
死ぬのが不思議と怖くないんだ。

美香
人って死ぬ間際怖いって言うけど、

美香
全っ然怖くないんだ。

美香
私が思うに、それだけ毎日が楽しかったんだと思う。

美香
私にこんなに楽しい人生をくれて、ありがとう。

美香
祐ちゃんには、感謝しかないや。

美香
この間の『お泊り記念日』のプレゼント、

美香
これで許してくれますか?

美香
美香より
