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僕の恋人は記憶喪失

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僕の恋人は記憶喪失

4 - 自分の知らない自分

♥

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2024年10月26日

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咲希

…よし!

咲希

それじゃあお兄ちゃん、行ってくるから!

あ…咲希、もう行くのか?

咲希

うんっ!いっちゃん達と約束してるから!

分かった

それなら気を付けて行ってくるんだぞ!

咲希

分かった!ありがとう、お兄ちゃん!

ああ、行ってらっしゃい

咲希

うんっ、行ってきまーす!

(…今日も咲希は家を出ていく)

(元気なった咲希は学校へ通い、友人も増え…)

(休日はバンド活動に…色々と楽しそうにしている)

(…嫌じゃない)

(嫌な…わけが無い)

(オレはこの未来を望んであの時、咲希にああをしていたのだから)

…なのに、なんで

(なんでこんなにも、心がキュッととするのだろう…)

っ…!

(…今のは、夢?)

心が、キュッと…

(…オレが今日、類に感じていたものと似ている気がする)

(また、どこかへ行ってしまうような…)

(…“また”??)

(…何なのだろうか、この感覚は)

(類は1度、オレの知らないどこかへ行ってしまった事が…?)

(…分からん)

(でもオレは、類がそんなことをするようなヤツには少しも見えない)

(…それに、思いたくもない)

オレが咲希に、していたこと…?

(“ああしていた”って、一体どういう…)

…あの夢は、分からない事だらけだ

オレの知らない、ことばかり…

(事故に合ってオレは、何を失ったのだろう)

(記憶?それよりも大切なもの?)

(…分からない)

(咲希の笑顔が大好きだ)

(そうなって欲しいとオレは小さい頃から思ってた)

(…夢のオレだって、そうだった)

(…けど、なんでオレ、喜べてなかったんだろう?)

…どこかへ、行って欲しくなかったから?

(やっぱり、類に思っていた感情と同じものだ)

(…どうしてこんなこと)

(オレはひとりじゃなかったって、類もそう言ってくれていたのに)

(…オレは)

(オレは一体何を求めていたんだ?)

(何が欲しくて、何に恐れていたのか)

(自分の事のはずなのに、まるで他人のように何もかも分からない)

(…思い出したい)

(…自分のこと)

(オレの…感じて、思っていたことを)

(全部…分かりたい)

翌日

――コンコン

寧々

司、入るよ

寧々

えむ

やっほー☆司くんっ!

おお、えむ!

ふたりとも、わざわざ来てくれてありがとうな

寧々

ううん…

寧々

わたし達も、久しぶりになっちゃってごめんね

気にするでない!

昨日も類が来てくれてな

DVDを持ってきてくれたんだ

寧々

…そうだったんだ

…今日は類、忙しいと?

えむ

ごめんね、司くん…

えむ

類くんも誘ってみたんだけど、今日は行けないって…

えむ

だからあたし達だけで来たんだ!

えむ

はい、おみやげっ!

む…なんだこれは?

4人…?いや、匹と言うべきなのか…?

えむ

これはね、フェニー君って言うの!

えむ

これがあたしで…こっちが寧々ちゃん!

えむ

そして、この子が類くんで…これが司くんっ!

オレ…

えむ

司くん、病院じゃひとりの時も少なくないと思うし

えむ

きっと寂しいおもいしてるなあって思って…

えむ

だからこれ、司くんにあげるっ!

えむ

4人揃ってれば怖いものなんてなーんにもないし、寂しくだってないはずだよ!

えむ

あたし達、司くんのこといつでも応援してるから!

えむ…

両手に収まるサイズのぬいぐるみ

よく分からないが心が落ち着いて、 安心するような…

ぬいぐるみもえむの言葉もあたたかくて、つい涙がこぼれそうになる

…ありがとう

本当に…本当に嬉しい

えむ

えへへっ、良かった!

寧々

えむ、喜んでもらえて良かったね

えむ

うんっ!司くんの辛さっていうのは、あたしには分からないけど…

えむ

ひとりじゃないよって、そう伝えることはあたしにもできるなって思ったんだ!

えむ

だから、それが司くんに伝わってくれたらあたしはそれがいっちばん嬉しい!

…ああ、伝わったよ

…オレ、ひとりなんかじゃないんだよな

だから…もう大丈夫

…あったかいよ、とっても

えむ

!!

えむ

うんっ、良かった!

寧々

…あんたはひとりじゃない

寧々

友達も、仲間も…家族だって

寧々

司の事を考えて、司を大切に想ってくれている人はちゃんと居る

寧々

だから…変に心配しないで

寧々

大丈夫、わたしが保証するから

…ああ

うん、ありがとう…

えむ

はいはーいっ!

えむ

あたしもあたしもっ!あたしもそれ保証するっ!

寧々

ちょっとえむ…あんまり大きい声出さないでよ?

あははっ(笑)ありがとう、ふたりとも

…少しだけ、悩んでた事があったけどおかげで元気が出た

ありがとう

寧々

悩んでることも、話せる時でいいから誰かに話してみたら?

寧々

それで、解決することもあるんじゃない

えむ

うんっ!あたし達も司くんのお話いつでも聞くよ!

…ああ、そうさせてもらう

色々…本当にありがとう

寧々

…別にいいってば

えむ

それじゃあ司くん、また来るからねっ!

寧々

それじゃあ

あ、待ってくれ…

寧々

えむ

どうしたの?

オレと寧々とえむ…オレらはただの友達だったんだよな?

寧々

えっ?

寧々

なに、いきなり…?

いや…すまん

…このぬいぐるみ、オレ含め4人ということでくれただろう?

…なんで、なんでこの4人なのかなって…

寧々

あっ…

えむ

あっ、もちろん!

寧々と類が幼なじみというのは知ってるぞ?前に、お前らから聞いただろう?

寧々

…うん、言った

えむも、寧々と仲が良くて…それで類ともってオレは思ってた

…けど、このぬいぐるみを貰ってそう言われた時、少しだけ不思議に思ったんだ

なんでオレも、って…

オレたちってもしかして、4人で仲が良かったのか?

寧々

…4人、で

寧々

…うん、そうだね

えむ

寧々ちゃん?

寧々

…わたし達、4人仲良しだったんだ

寧々

…すっごくね、4人でなきゃダメだってくらい

…そうだったのか?

えむ

寧々ちゃん…!

寧々

…うん、そうだったよ

寧々

……ごめん、司

寧々

わたし、あんなこと言ったくせに自分で司を不安にさせるようなこと言っちゃった

寧々

…ほんと、ダメだわたし

…寧々はなにも悪くない

悪いのは…何も覚えていないオレの方なんだ

…でも、それが聞けて良かった

…オレら、なかよしだったんだな

寧々

…うん

…類にも、また謝らないとな(笑)

寧々

…ごめん司

寧々

…このこと、類には言わないで

えむ

ん…

えっ?

どうして…

寧々

…っ、ごめん!

寧々

…ごめん、本当に

寧々

今のわたしには…謝ることしか出来ない

寧々

…ごめんね、司

どうして…

どうして寧々が謝るんだ?

寧々

…結局わたし、司のこと不安にさせちゃった

…不安になんかなってない

って、そんなことは言えないけど…

オレ、それよりも知れて嬉しかったよ

オレの知らない、オレのこと

寧々

…!!

寧々

…司、覚えなくっても、やっぱり変わってないんだね

えっ?

寧々

…ううん、なんでもないから

寧々

…今日はごめんね

寧々

そして…ありがとう、司

そんなの、オレの方がありがとうだ!

えむ

いいやっ、あたしの方がありがとうだよっ!!

えむ

…絶対良くなってね、司くん!

…ああ、約束する

寧々

…それじゃあ、今日はありがとう、司

寧々

お大事にね

寧々もえむも、気を付けて帰るんだぞ

えむ

はーいっ!

えむ

またねっ、司くん!

…ああ

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