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爪痕に咲く

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爪痕に咲く

4 - ネット越しの本音

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2025年06月17日

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体育館。

夕方の空気が、

微かに埃の匂いを含んで流れている。

バレー部の練習を見学すると言ったはいいが、

柊は部活というものに殆ど関わったことがなかった。

体育館の熱気。人の声。

ボールの声。

全てが眩しくて、どこか遠くに感じた。

おっ、新人?

え、まじ?この人が例の伝説の不良?

しっ、聞こえるって…!

ザワつく部員達の視線が刺さる。

けれど、柊は気にする様子もなく、

壁際で黙って腕を組んでいた。

その様子を見て黒尾は笑った。

黒尾 鉄朗

なぁ、柊。ちょっとスパイクやってみない?

黒尾 鉄朗

難しいこと考えずにさ。

柊 冬夜

やったことないんですけど…

黒尾 鉄朗

大丈夫。俺がパスするから。

黒尾のトスは驚くほど丁寧だった。

柊の構えに合わせて、

まるで気持ちを汲み取るようにふわりと浮かぶ。

受けるだけなら、出来るかもしれない_

構えた柊の手にボールが当たった。

けれど、勢いに耐えきれず

バランスを崩して尻餅をつく。

柊 冬夜

やっぱり無理なんですよ、笑

黒尾 鉄朗

いやいや、初めてにしては上出来。

黒尾 鉄朗

センス、あるかもね?

そう言って差し出された手は何故か

暖かくて、優しかった。

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