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私の変わらない日常

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私の変わらない日常

1 - 私の変わらない日常

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2019年09月07日

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「おはよう」

カナ

私の朝の日課

カナ

と言っても口から発した言葉ではなく、
マジックで書いた文字

カナ

この中学校には何を書いてもいいホワイトボードがあって、
私は毎朝そこに文字を書く

カナ

私の日常

カナ

下駄箱から教室へ向かう廊下の反対側にあるので、
このホワイトボードの前を通る人はほとんどいない。

カナ

広い場所に小さく書かれた文字は、
私の今を表わしているようだった

そして、ただひたすら孤独な時間が過ぎていく、、、

カナ

部活に入っていない私は、放課後はほとんど図書室にいる

カナ

今日は何を読もうかな?

カナ

植物図鑑があったのでなんとなく読み進めた

カナ

下校時間になったので、私はホワイトボードに向かった

カナ

書かれた内容は明日の朝には消えているので、
何か書かれてないか確認にいく

カナ

朝と変わりないんだろうけど...

カナ

日課だから、1度だけ行かないのも変な感じがするし

カナ

...そうそれだけ

カナ

パッと見て帰ろうとしたら、私の目はホワイトボードに
釘付けになった

「おはよう」 あっ今はこんにちは だね

カナ

んっ?

カナ

他に文字はない。
明らかに私が書いた文字に向けて書かれている

「おはよう」

カナ

私の朝の日課

カナ

でも昨日、少しの変化があった

カナ

私の他にもう1つの文字が

カナ

誰に向けられたんだろうって、
書いてるの私だけか...この私に...だって

カナ

教室では、毎日一人隅っこにいるような感覚。
クラスメイトは私に好意も敵意もない

カナ

...無関心。

カナ

私の中で期待とは、いずれ裏切られるという意味だ

カナ

でも...

カナ

この挨拶を続けられたらって思う。
放課後がちょっと待ち遠しい

「こんにちは」

カナ

放課後見に行くと、
昨日と同じく書いてあった!

カナ

少しだけ興味がわいた

カナ

これを書いた人とホワイトボードを使って
会話してみたい

カナ

私は挨拶以外のことを書いてみた

カナ

「名前はなんて言うんですか?」

かな

「かなって言います」

カナ

私と同じ名前だ!

カナ

会ってくれないか聞いて見た

かな

「ごめん、でも今の感じがとても楽しいから、
続けてくれたらうれしいな」

カナ

その日からは色々なことを書いた
ほとんど私の現状や悩みを聞いてもらうだけだったけど

カナ

うれしかった!

カナ

毎日一問一答の日々だったけど、
しばらくして、かなさんはこんなことを言ってきた

かな

「誰か気になってる、友達になりたい人はいないの?」

カナ

「図書委員の人はちょっと気になってる」

かな

「声をかけてみたら?」

カナ

「何を話せばいいか分からないし、
知り合いからいつも怖い顔してるって
言われるし...」

かな

「笑顔でいればいいんじゃないかな
それに会話しなくっても挨拶だけしてれば
何かをきっかけに話すようになるかもよ」

カナ

その言葉で、なんか勇気がもてた気がした

おはようかなさん 今日挨拶してみるね

カナ

これでよし!

カナ

放課後、駆け足で図書室へ向かった

カナ

その子は図書室の受付に座り、貸出しや返却の整理をしているようだった

カナ

いざ話かけようとすると足がすくむ
気がつくと下校時間になっていた

カナ

こんなんじゃ駄目、変わらなきゃ!
私は何も考えず図書委員の女の子の前に立った

カナ

「あの、私...」
...どうしよう、次の言葉が出てこない

あおい

「1年2組のカナちゃんでしょ!
私、1組のあおい。あおいって言うのはね、親が男でも女でもいいようにってつけたんだって、テキトーだと思わない? カナちゃんっていつも金曜に本借りていくでしょ? 貸出しカードの名前見て覚えたの、よろしくね。そういえば今度の...」

カナ

凄い勢いでしゃべり出した。圧倒されながらも、
聞いているうちに可笑しくなって笑っちゃった

あおい

「もう下校時間だから図書室締めないと、下駄箱で待ってて、一緒に帰ろう。
職員室に鍵もって行かなきゃいけないから、それじゃ!」

カナ

あおいちゃんに返事をすると、
私はホワイトボードに向かった

カナ

何も無い私の日常に、ちょっとのきっかけで、
世界がガラッと変わった

カナ

今日のことをいち早くかなちゃんに知らせたい

カナ

今日はホワイトボードになんて書いてくれたのかな?

カナ

えっ!

カナ

ホワイトボードがない!

カナ

撤去したような跡もない!どういうこと?

カナ

用務員さんがいたので聞いて見たら、ホワイトボードは
元々掛けられていないそうだ...

カナ

...今までのことはなんだったの?
かなちゃんとのやりとりが一つ一つ思い出される

カナ

何がなんだか分からないけど、私を励まし、一歩踏み出す勇気をくれた

カナ

それだけは分かる!

あおい

「カナちゃんお待たせ〜」

カナ

私はホワイトボードがあった場所に向かって頭を下げた。

あおい

「どうしたの?」

カナ

「何でもない。行こう!」

ありがとう、かなちゃん!

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