コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
虎杖悠仁
釘崎野薔薇
おどろおどろしい雰囲気を醸し出す廃病院は"いかにも"といった感じで、呪霊がわんさか湧いていた。
伏黒恵
伏黒恵
伏黒恵
釘崎野薔薇
虎杖悠仁
廃病院に3人足を揃えて踏み入れると、生きた人間に気がついた呪霊達が襲いかかってくる。
それを3人は軽くいなしながら祓っていくと、あまりの弱さに暖簾に腕押し、いや、豆腐に鎹?なんとも手応えもなく消え去っていく。
虎杖悠仁
ざふ、と呪霊が消えていく音を聞きながら、虎杖は腕を軽く振って言った。
伏黒恵
釘崎野薔薇
そう言いつつも、伏黒と釘崎は赤子の手を捻るように呪霊を祓っていく。
虎杖悠仁
虎杖悠仁
伏黒恵
虎杖悠仁
その後も軽口を叩きながら順調に呪霊を祓っていく。結局、体力を大幅に消耗しただけで、特に手こずるような相手はいなかった。
ふと割れた窓の外を見ると、綺麗な夕日が沈もうとしている。入った時はまだ日が高かったのにな、と虎杖は思考の隅で考えた。
虎杖悠仁
釘崎野薔薇
釘崎野薔薇
伏黒恵
虎杖悠仁
ビシリと、何かに亀裂が入るような音が空間に響いた。
伏黒恵
伏黒が少し警戒するように声を出す。 一応、というように玉犬を呼び出す準備をし始めた。
釘崎野薔薇
みしみし、ぴしぴし。
釘崎が五寸釘を取り出す間も、まだ空間に響く音は続いていた。 ぞわりぞわりと、足元から膨らむように嫌な予感が3人を包む。
虎杖悠仁
虎杖が気が付いたかのようにハッとすると、少し離れていた2人に向かって走り出す。
虎杖悠仁
伏黒恵
虎杖悠仁
虎杖は走ったそのままの勢いで、2人の体を力一杯押し出す。
伏黒恵
そのまま伏黒と釘崎は、"窓の外に"投げ出された。
伏黒恵
虎杖悠仁
空中に放り出された伏黒と釘崎を鵺が受け止める。
伏黒恵
釘崎野薔薇
ビキ、と一段と大きな音があたりに響いた。 3人のいた廊下が崩れ、そのまま下へ下へと落ちていく。それを皮切りに、一瞬にして 廃病院は崩壊した。 廊下に残っていた、虎杖を吸い込むように。
伏黒恵
釘崎野薔薇
鵺が2人を地面に下ろすと、弾かれたように走り出す。もうもうと舞う土埃をかき分けて、伏黒と釘崎は瓦礫の山に足を踏み出した。
伏黒恵
伏黒恵
吸い込まれたあたりの瓦礫を手当たり次第退けていくと、ぽっかりと大きく空いた瓦礫と瓦礫の遥か底、見覚えのあるピンクベージュの髪がのぞいた。
虎杖悠仁
思ったよりも軽い口調に2人は安堵の息を吐くが、腰から下が瓦礫に埋まっているのを見て緊張が走る。
幸いにも瓦礫が積み重なって頭と上半身に怪我は無さそうだが、頭を打っていては危険だ。パラパラと、まだ崩れていない建物から土埃が立つ。
伏黒恵
虎杖悠仁
虎杖悠仁
伏黒恵
虎杖悠仁
大声を出して怪我に触ったのか、虎杖は苦痛の声をあげる。
伏黒恵
伏黒が慌てて虎杖の元に駆け寄ろうとするが、足を踏み出した瞬間バランスを崩した瓦礫が鈍い音を立てて虎杖の頭の近くに落ちた。
流石に伏黒は顔をさっと青くし、釘崎も小さく悲鳴を上げた。 近づくに近づけず、助けたいのに助けられない。
───クソ、虎杖に無駄な怪我を負わせずに救助できるのはやっぱりあの人達だけか。
虎杖悠仁
静かな空間に、虎杖の声が響く。
釘崎野薔薇
虎杖悠仁
虎杖悠仁
虎杖悠仁
釘崎野薔薇
一瞬怯んだ釘崎が、吐き捨てるように言う。
虎杖悠仁
釘崎野薔薇
そう言うと、釘崎はまだ納得していない伏黒の首根っこを掴んで引っ張っていく。 そのまま伏黒を蹴り上げると、呼び戻した鵺に捕まり高専に帰還するよう告げる。
ばさりと翼を広げ、強い浮遊感と共に伏黒と釘崎の体が浮いた。
虎杖悠仁
ぽそりと、虎杖は空気に溶け込むような小ささで呟いた。 高専からそこまで離れていない。きっとすぐに五条先生達をを連れてきてくれる。 問題は、今日の夕方に出張から戻る予定だった家入と蝶野だった。
もう高専には戻っているだろうか?もしまだ出張先にいたら、俺はどうなるのだろうか。 じわじわと赤黒いもので制服が濡れていくような感覚に、ネガティブな思考がぐるぐるとまわってしまう。
ああ痛い、全身が痛い。いつになったら戻ってくる?いつになったら助けてもらえる? 虎杖の思考に、先程別れたばかりの級友たちの姿がチラついた。
いつもは痛みなんて気にせず動けるのに。 1人だからだろうか。普段誰かが隣にいるのが当たり前で、それに慣れてしまったのだろうか。今この場に独りなのが、ひどく心細い。
いつだったか、「恵にも言ったけど」と前置きして五条が放った言葉が脳に響く。 ────死ぬときは、独りだよ。 今俺は、独りだ。