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薄く霞のかかる夜
蓮華は、静かに膝を折り、無惨のもとに跪いていた
鬼 舞 辻
鬼 舞 辻
冷たい声が響く
暗闇の中心
漆黒の空間にただ一人立つその男
鬼舞辻無惨
その姿は人間のようでありながら、底知れぬ異物の塊だった
蓮華は視線を上げず、淡々と口を開く
蓮 華
鬼 舞 辻
鬼 舞 辻
その言葉に、背筋が凍りそうになる
蓮華ではなく、上弦の零として呼ばれることの意味
蓮 華
蓮 華
無惨の足元に、音も無く花弁が一枚舞い落ちた
蓮 華
静かな沈黙
数秒の間が、まるで永遠のように長く感じられた
鬼 舞 辻
無惨の声は低く、氷のように鋭い
命を左右する一言が、喉に詰まる
蓮 華
蓮華は迷い、躊躇い、そして遂に言葉にする
蓮 華
蓮 華
蓮 華
一瞬、空気が裂けるような圧が蓮華の身体を貫いた
膝が砕けるかと思う程の重圧
喉を掴まれたように、息が出来ない
視界が歪み、意識が遠のきかける
鬼 舞 辻
冷たい、冷たい声
命を絶つには充分な圧
だが蓮華は、負けなかった
歯を食いしばり、掠れた声で答える
蓮 華
蓮 華
その声は震えていた
だが、揺らいではいなかった
一度でも背けば、殺されてしまう
そんな世界の中で、それでも誰かを想う心が、蓮華を立たせていた
鬼 舞 辻
やがて、無惨の気配がほんの僅かに緩む
鬼 舞 辻
鬼 舞 辻
鬼 舞 辻
その言葉が、どれほど危うい猶予か
蓮華は知っている
蓮 華
そう告げた蓮華の頬を、一筋の涙が伝った
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その帰り道
霞の中でふと現れたのは、猗窩座だった
猗 窩 座
蓮 華
蓮華は笑って見せた
その笑みは強がりだったが、それでも何処か温かさがあった
猗 窩 座
蓮 華
猗窩座は黙って蓮華の横に並ぶ
猗 窩 座
蓮華はそっと笑う
蓮 華
霞が少しだけ晴れ、星が一つ夜空に瞬いた
コメント
1件
もう最高ですぅ❤︎