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いるこside
いるま
莉紗
莉紗
いるま
いるま
莉紗
莉紗
莉紗
いるま
莉紗
ある日。
ある冬の、空が青い日。
俺はこのクソ無愛想で非常識なチビと、
出かけることになってしまった。
まずはデパートの服屋へ入っていった俺たちは、数十分程店内を回ってみることにした。
だけど俺は特に見ることがないので、一周だけして莉紗の所へ戻る。
莉紗
どこにいるかと一瞬本気で探したが、どうやら生地のコーナーでしゃがみこんでいたらしい。
何やら真剣に布を眺めているようだが...
いるま
莉紗
莉紗
理不尽すぎるだろこいつ。
つーか、服屋なんて久しぶりに来たな。
八回目の頃以来だっけか、
改めて見ると、結構洒落てんな...
俺が目を少し輝かせながら服を眺めていると、隣から冷たい声が聞こえた。
莉紗
桃色...らんか。
どういう系統って言われても......
いるま
いつの間にか、口をついて出たのはそんな言葉だった。
正直、あいつらの好みとか知らなかったし、聞いた事すらなかった。
その時、莉紗の不機嫌そうな声が聞こえてきた。
莉紗
莉紗
莉紗
莉紗
莉紗はそう言い終えた後、俺の服の裾をやや強引に引いて高身長コーナーへと足を運ぶ。
俺は莉紗に連れていかれながら話した。
いるま
いるま
いるま
莉紗
重い話だっただろうに、莉紗の返事はこれだけ。
大体、こんな話をすると皆気まずくするか謝ってくるのに、
そんなことを考えていると、深緑色の服を手に持っている莉紗が吐き捨てるように言う。
莉紗
莉紗
そう言うと、手に持っていた服を丁寧に籠に入れた。
いるま
その言葉を合図にするように、俺たちは二手に分かれて店内を回った。
あれから何十分回っただろう。
パーカーのコーナーで良さげだと思う服を眺めていると、少し奥から声がした。
莉紗
莉紗
いるま
この数十分、「来い」の一言すら発さなかったあいつの口から予想外の言葉が出てきて、一瞬だけ戸惑った。
莉紗
莉紗
むすっとした表情のあいつが、ほぼ空気シバいてんだろってくらいに手招きをする。
俺は理由も分からないまま、とりあえず莉紗の方へ行く。
いるま
莉紗
なんだろうと思い来てみると、気怠げな濃ゆい紫色のセーターを俺に重ねる。
莉紗
さっきまでむすっとしていた莉紗の表情が、少しだけ和らいだような気がした。
莉紗
莉紗
莉紗
莉紗
いるま
籠を見てみると、既に六人分服が揃えられてあった。
そのどれもが綺麗な色合いをしていて、
どこか寂しいような、そんな気がした。
あいつが会計をしてるところをじっと眺めていると、会計を終わらせたあいつが純粋な目でこっちを振り返った。
不意に、あの子と重なった。
八回目の時、妹になったはずのあの子に。
俺のせいで、出ていってしまった。
凄く優しくて、明るくて、思いやりを持っていたけど、
こいつは......
『莉紗、態度も愛想も悪いし怖く見えるけど、』
いるま
『不器用なだけで、根はすっごく良い子なんだから!』
ふと、あいつの言葉がフラッシュバックした。
胸にどうしようもないもやもやがあって、
締め付けられるように、苦しくなって、
莉紗
莉紗
莉紗はそう言うと、大量の荷物を持って俺の裾を引き始めた。
いるま
莉紗
莉紗
莉紗はそう言って、黄色い星型のパーツを手に取る。
いるま
莉紗
莉紗
莉紗
莉紗
若干顔を背けて、そういった。
いるま
呆れた俺は、懐かしいコーナーに目をやると、音符型のキーホルダーが目に映った。
まだ、売られてある、
無意識に足を進めると、何も知らない莉紗の声が聞こえてきた。
莉紗
いるま
今度で、いいか。
莉紗
莉紗
エスカレーター近くの広場で突然立ち止まって、突然振り向き、そう言ったかと思えば、荷物を押し付けられ一人どこかへ歩いて行った。
服が入っている袋の中を覗いてみる。
あいつの選んでくれた服が、大量に入っていた。
色合いが綺麗で、お洒落で、
いるま
そう呟くと、らんから着信が来た。
ほっとしつつも応答ボタンを押すと、らんと皆のはしゃいでる声がする。
らん
らん
電話の内容は、不安だからこのまま繋げてろ、との事だった。
潔く了承して他愛無い話を続けていると、遠くから莉紗の声が聞こえてくる。
莉紗
いるま
声がした方を振り向くと、小さな袋を持ったあいつがすたすたと歩いてきた。
いるま
聞くと、目を逸らしながら、
莉紗
はぐらかされた。
いるま
デパートに人が入っていく度、冷たい風が俺らの間を横切る。
風になびくあいつの姿は、
どこか切なげで、消えてしまいそうな程綺麗に見えた。