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最高です!!!
今夜限定の田中君
田中樹
冷たい風が窓から吹き抜ける
教室の中は騒がしくて、女子や男子が戯れている
今日はバレンタイン
女子から男子へとチョコを渡す日
義理チョコや友チョコ、そして本命チョコ
彼氏がいる人は、とても幸せな1日
そして、好きな人がいる人も
全員が幸せならそれで良かった
だけど、皆が皆勇気を出してチョコを渡せるわけなんかない
私は勇気を出せない一人。
私の好きな人は、あの人気者
人気者の田中君
今日も又、女子に囲まれている
田中君はこの学校で1番モテると言われている人
樹
そんな事を軽く言えることを凄いことだとは思っていないみたい
やっぱり田中君は凄いな
私もあの中に混ざりたい
田中君に渡したいよ
「本命チョコ」
でも、そんな勇気は一切ない
田中君とろくに話したこともない私が田中君の周りにいる女子とかと同類にはなれない
私はもうどうでも良くなり
机に伏せ、眠りについた
次に目が覚めたのは、風が強くなってきた頃だった
美澪
樹
美澪
私の思考は停止した
起きたら目の前に田中君がいて、
田中君は私に「おはよ」と呟いた
たったそれだけの事なのに、私は胸が張り裂けるほど嬉しかった
樹
美澪
「なに、」と少し低めの声で喋りかけられる
私は急な質問に戸惑いながら、又思考が停止する
樹
美澪
樹
樹
え、気づいてたの?
私顔に何か書いてあった?
こういう所なのかな、
田中君がモテるのは
そんな事を思考の停止した頭で考える
こんなチャンスは二度とない
そう思い、私は少し震える手と声で彼にチョコを渡した
美澪
美澪
樹
そして、ニコッと笑った
気づくと私は思ってもみないことを口にしていた
美澪
美澪
違う、そうじゃない
それを言いたかったんじゃない
好きってバレちゃう、
なんであんなこと、
樹
でも、帰ってきた言葉は予想外の物だった
美澪
樹
樹
私の前に現れたのは、ドラマのような展開だった
流石にノリに乗っただけだと思っていた
樹
美澪
樹
美澪
樹
美澪
田中君の部屋はとても綺麗で清楚な感じだった
樹
美澪
樹
美澪
田中君って案外チョロイのか?
そう思ったけど、田中君の事を好きな人は沢山いるし、
告白する人だって沢山いる
皆にみんなこんな事をしていたら、田中君がとても大変だ
樹
美澪
樹
美澪
こんなたわいもない話をすることでさえ、
幸せなのに、
今は私の彼氏、
そんな夢みたいに出来事が私にあっていいのだろうか
美澪
彼は、私にバックハグをしていた
私は一瞬夢じゃないかと思い、
頭の中をフル回転させたが、現実であるという結論に結びついた
樹
美澪
樹
そりゃそうだよ!とついツッコミたくなる
美澪
樹
樹
樹
でも何故か、この言葉だけは胸に響かなかった
きっと何人もの人にこの言葉を言って
好きにさせているのだろう
もしかしたらこれが、虜にさせる方法なのかもしれない
美澪
美澪
美澪
そう少し早口になりながら、お礼を伝えた
樹
樹
美澪
樹
樹
そうだ、
私の我儘じゃなくて、私の願いなんだ
私のして欲しかった事なんだ
我儘なんて、ひとつもなくて、
私の、
夢なんだ
美澪
でも、本音を言えるわけなんてなくて、
ここまで来たら、本人に言っても良かった
だけど、無理なんだ
所詮私は、ただの臆病者で勇気なんてひとつも無かった
だけど、もう、チャンスはないと思って、
勝手に言葉を発していた
樹
美澪
美澪
美澪
美澪
本当は、忘れてなんて欲しくない
ずっと、ずっと、覚えていて欲しい
これから先ずっと、
樹
美澪
樹
美澪
美澪
美澪
美澪
美澪
美澪
美澪
美澪
こんなにも感情を無機にして言ったのはこれが初めてだった
樹
樹
田中君の口調は優しくなった
樹
樹
樹
樹
樹
樹
あんなに失礼なことを言った私に対して、
彼は丁寧に説明してくれる
樹
樹
美澪
樹
樹
美澪
樹
彼の言った言葉はどれだけ私を虜にされたのだろうか
今夜限りの彼氏だったはずなのに
やっぱり彼はずるい人だ
私をどんどん沼に引きづりこんでゆく
樹
樹
樹
樹
初めて、下の名前で呼んで貰えた
初めて好きって言って貰えた
私の初めての体験を彼は沢山奪っていった
私の心を満たしていくように
美澪
そんな綺麗事のような言葉を沢山並べて
私と彼は結ばれてゆく。
END
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