1人の青年が浜辺を裸足で歩いていました。
制服姿でリュックを背負って。
高校生?
あ、あとサッカーボールも持っていました。
とぼとぼと海を眺めながら歩いていく。
周りには人が少ない。
彼の歩いた道が
足跡を残して築かれていきます。
どうしたのでしょうか。
とても暗い顔をして。
話しかけに………って 私にはできないんでした。
おや、何かを見つけたようですよ。
カポッ
瓶の中には
あの時、女の子が流した小瓶?
こんなところに流れ着いたのですね。
男子高校生は笑みを浮かべながら
リュックから筆箱を取り出しました。
どっかの誰かさんへ
貝殻ね、俺も好き。
あ、漢字読めねぇ?
まあいっか。他のやつが拾う確率の方が高いしな
俺ね、悔しいの。
試合、出れねぇの。
下手下手って先輩に馬鹿にされてばっかり。
辞めよーか迷ってんの。
んでもね、この手紙のおかげでちょっと笑えた。
だからさ
次誰が拾うか知んないけど
悩んでんならこれ見て元気出せ。
んでなんか書け。
俺だけ書き込んでんの恥ずいだろ?
分かったな?頼むよ?
通りすがりの男子高校生より
カチャン
青年は自分のリュックサックから
小さなサッカーボール型の キーホルダーを外して
瓶の中に入れました。
返事を書いた手紙と一緒に。
そっと海に浮かべました。
青年はさっきより晴れた表情で
ボールを蹴りながら姿を消した。
続く、続く。
1番大切な人に届くまで。
流れ、流れて。
2人の思いを乗せて。
小瓶は、進んでいきます。
次は誰に届くかなと
ちょっとした楽しみを込めて。
海に染まった小瓶【second】
NEXT➦【third】
コメント
2件
高校生...! 確かに手紙が入った小瓶を見つけたら元気になれそうですよね! 私、吹奏楽部に入っているんですけどこの話読んだらあの男の子みたいに頑張ろうって思えました!素敵な話でした✨次も待ってます✨✨