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みんなと顔を合わせたあの夜。
笑ったし、話したし、「ありがとう」も言った
けど、心の奥はずっと、 ギュッと固まったままだった。 それは、翌朝になっても変わらなかった。
朝。
リビングから聞こえる小さな笑い声と、 食器の音。
それを聞きながら、私はベッドの中で、 ただ天井を見ていた。
昼。
コンコン(扉をノックする)
「ごはん、食べる?」
声をかけてくれた。
でも私は、返事をしなかった。 喉が痛くて、声が出なかった。
夜。
シェアハウスの灯りが、 静かに夜を照らし始めたころ。 ドアの外から、またノックの音がした。
武藤潤
潤のやわらかい声だった。
武藤潤
〇〇
声が、出ない。 でも心臓の音だけが、ひどく響く。
武藤潤
上村謙信
今度は謙信の声。
今度は謙信の声。
上村謙信
その言葉に、私の胸が締め付けられた。
最後に、颯斗の落ち着いた声が届いた。
高尾颯斗
ビクッ、と心が反応した。 まるで、見透かされたみたいで。
ドアに背中をくっつけたまま、小さく息を吸う。
そして、震える声で、ようやく言葉を出した。
〇〇
〇〇
返事はなかった。 けれど、誰も去らなかった。
しばらくして、潤の声が、 ドア越しにそっと続く。
武藤潤
私は、うん、とも言えなかった。 でも、3人はドアの向こうにいてくれた。 何も責めず、問い詰めず。
それが―― 何よりも優しくて、だからこそ、苦しくて、 あたたかかった。
私はまだ、何も言えない。 けれど、涙はこらえきれずに流れていた。
この夜、はじめて“ひとりじゃない かもしれない”と思った。 まだ信じきれないけど、ほんの少しだけ、 扉の隙間が開いた気がした。