夜中になって、僕は家に帰った。
こんなに遅くなるのは、同棲して以来初めてのことだった。
美月は起きていた。
森本美月
僕はそれに答えず、倒れるようにソファに座った。
森本美月
渡部瑛太
森本美月
渡部瑛太
美月は戸惑った表情になった。
渡部瑛太
森本美月
渡部瑛太
僕は美月を凝視した。
渡部瑛太
立ち上がって、彼女に詰め寄る。
渡部瑛太
すがるような目で見ると、彼女は視線をそらした。
渡部瑛太
僕は床に崩れ落ちて、頭を掻きむしった。
彩乃の姿が頭に浮かんだ。
写真の中で微笑む彼女に、僕は本気で恋をしていた。
けれど、一方的に拒絶されたのだ。
渡部瑛太
誰も信用できず、誰からも愛されていない、そんな気分だった。
渡部瑛太
僕は頭を抱えて、うなだれた。
静寂が流れた。
時計の針の音が聞こえる。
森本美月
おもむろに、美月は呟いた。
僕は顔を上げて、彼女を見た。
森本美月
美月は僕から目をそらさずに言った。
夜の街を、車は走った。
二人の間に会話はなかった。
美月についてくるよう言われ、僕は従った。
真実を知るには、どこかへ行かなければならないようだ。
車は、大きな公園の駐車場に止まった。
僕たちは車を降り、木々の生い茂る芝生を歩いた。
夜の公園は暗かった。
ベンチの前に来ると、美月は立ち止まった。
森本美月
僕は「ARフォトグラフ」を開くと、そこをかざして見た。
すると、写真が浮かび上がった。
そこに写っていたのは、僕と美月だった。
二人はベンチに座っていた。
日付は「2019年5月18日」となっている。
噴水の前で見つけた写真と、同時期だった。
周りをスマホで見ると、他にも僕と美月の写真を見つけた。
芝生で寝転ぶ写真や、抱き合っている写真もあった。
それは、どう見ても、恋人同士だった。
僕は彩乃と交際しながら、美月とも付き合っていたことになる。
渡部瑛太
森本美月
戸惑っている僕に、美月は言った。
僕と美月は、とある高校の前に来た。
プレートには「東京都立愛森高等学校」と書かれている。
門は閉まっていたが、鉄筋の校舎が見えた。
この時間に生徒がいるわけもなく、静まり返っていた。
森本美月
美月は正門を指差した。
森本美月
森本美月
スマホをかざすと、写真が浮かび上がった。
渡部瑛太
写真を見た僕は、自分の目を疑った。
コメント
2件
どんどん明かされていく真実…とても気になりますね…!