青春ドロボーにご用心っ！！

Ktyと付き合うことになった週末も明けて、 今週も月曜日がやってきた

好きになった子と付き合えたのが嬉しくて 鼻歌まじりに大学に向かっていたおれに、Akが声をかけてきた

全力でおれをお祝いしてくれるAkに感謝の気持ちを 伝えつつも、まだ心に残るひとかけらの不安が心にもやを広げる

大好きな幼馴染とそれなりに大事な友人であるライバルの 恋を応援した週末が明けた月曜日、俺はちょっとブルーな気分で 大学への通学路を歩いていた

彼に悪気がないのはわかっているが、流石に堪えるので 惚気話はほどほどにしてほしい

とはいえ、 Mzにああ言った手前逃げることは不可能であるし、 逃げようという気はさらさらない

今日Ktyにあったら、この気持ちと決着をつけるために 彼と約束を取り付けて告白しようと決めている

俺の告白に対する分かりきった返事を想像しながら お断りに対する耐性をつけようとしていると、背後からKtyが声をかけてきた

俺は何度も決めた自分の覚悟を再確認して、 大好きな初恋の人に告げた

ほんの少し勇気を出した週末が明けた月曜日、 オレは自分の住むマンションのエントランスを出て大学に向かって歩き出した

Atが振られるつもりで告白することもKtyがそれを断ることも 分かりきってはいるが、それでも嫉妬の情が心を埋め尽くすのは許してほしい

もちろん例外もいないわけではないが（どこぞのトマト星人とか）、 基本的に初恋というのは叶わないのが世の常というやつだ

先日“最高の友達”という言葉をフル活用してなんとか自分を 頼ってもらうことに成功した彼の綺麗な顔を思い浮かべながらオレが感傷的な 気分になっていると、例のトマト星人が声をかけてきた

オレの初恋をずっと見守ってくれている気の置けない幼馴染は、 オレの説明を聞いて素早くその意味するところを理解したようだ

Ktyに告白した後のAtを、そばで支える準備だけだ。

想定より早く講義が終わった俺は、大学の中でも人気の少ない中庭で Ktyがやってくるのを待っていた

もう何度目かわからない覚悟を決めながら、 俺は荒ぶる心を落ち着けながら約束の相手がくるのを待つ

一分一秒が永遠のように感じるような感覚を覚えている 俺の前にKtyが現れたのは、約束の5分前だった

今から何を言われるのか絶対にわかっていないであろう初恋の人は、 可愛らしくこてんと首をかしげて俺にそう尋ねる

緊張しているのがバレたら少し恥ずかしいので、Ktyにはバレないように 深呼吸して俺は目の前の男の空色の瞳を見つめる

俺、Ktyのこと好きだよ。

キラキラと輝かんばかりのKtyの笑顔に、 胸が甘く切なく締め付けられる

ズキズキと痛む心が苦しいけど、Ktyに罪悪感を抱かせたくないから できるだけいつも通りを装った

笑顔で手を振って大好きな恋人の元へかけていくKtyを眺めながら、 俺はふぅーっ、と息を吐く

この結果はわかりきっていたものであるし何回も 脳内でシミュレーションして耐性をつけたつもりではあった

苦しいなぁ、、、

1人で抑えきれない苦しみと涙と格闘していると、 唯一無二の“最高の友達”に声をかけられた

Mzの言葉に少し笑った俺を見て嬉しそうに笑っているMzは、 おそらく傷ついている俺を少しでも元気にしようとしてくれているのだろう

この週末に彼には頼っていいと言われているしその提案は ありがたい限りなのだが、やはり頼りきってしまうのが怖くて 俺は最終確認を取る

Mzは俺の確認をしっかり聞いたあと、ふっと笑って続けた

Mzのこと、頼らせて？

目の前の“最高の友達”に弱さをさらすことを決めた俺を見て、 Mzはそれはそれは嬉しそうに笑う

まぁ、いっか。

「初恋は叶わない」

この言葉はおそらく誰でも一回は聞いたことがあって、 俺も今回の件でその身をもって痛いほど理解した

でも、この言葉だって誰でも一回は聞いたことがあるはずだ

「何かの終わりは、何かの始まり」

俺はそれを、今後の数ヶ月でこれもまた身をもって思い知ることになる

まあそんなこと、今の俺が知る由もないけど。