テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
如月💜🎼
467
໒꒱ おもち。 ☆ペア画中.ᐟ
1,837
1
稀灯 夏成🩵🍸
63
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
廊下で、なつとすれ違った。
ひらりと手を振ってくれたけれど それに応える気力がなくて 俺はそれを無視してしまった。
一刻も早く部屋に戻りたくて。
俺は、弱くなった。
俺が豪語していたメンタルの強さは ただの強がりだったみたいだ。
自分を大きく、強く見せるためだけの ただの強がり。
あんなことがあってから、 俺は、メンバーと顔を合わせるのすら 怖い。
あれだけ信頼していて、 大好きだったはずなのに。
言葉を交わすのが、 誰かと顔を合わせるのが、 誰かに顔を見られるのが、 たまらなく怖くなってしまった。
illma
部屋でひとり、 鍵をしっかりかけたドアに もたれるようにして座りながら 俺は呟く。
あれだけ頻繁に使っていたパソコンも マイクも、スマホも、テレビも、 何もかも、
今では全く使わなくなっていた。
外の世界のことを知るのが、 どう頑張っても目に入ってくるSNSが 怖くて。
illma
illma
illma
自分に言い聞かせるように言いながら、 涙が溢れてきた。
意味もなく溢れる涙を拭いながら、 俺はある日のことを思い出していた。
mob.
ある日。
いつもみたいにマスクをして やや派手な服装で街中を歩いていたら 突然、そう声をかけられた。
illma
illma
咄嗟にそう答えて、 マスクをぐっと引っ張りあげる。
でも、喋ってしまったのが ダメだったのかもしれない。
その女は更に確信を持ったのか、 執拗に俺を疑ってくる。
mob.
illma
強めに言い返されて 呆然としているその女を置いて、 俺はそそくさと帰路についた。
もう、大丈夫だと思った。
後ろを振り返っても ついてきている様子はないし、 もう大丈夫だろうと。
でも、その考えが甘かった。
数日後、その女がまた 俺を訪ねてきたのだ。
街中でバッタリではない。
『その女が家に来た』。
尾行されていたのだということに そうなってから気がついた。
あの時は、動揺で 早く帰らなくてはという思いで チラリと振り返っただけだ。
ピンポーン♪と 郵便配達人が来た時のように いつものように鳴ったインターホンに 俺は無防備に出てしまった。
インターホンの画面も、 覗き穴から見える人も、 何も確認せずに。
mob.
illma
illma
思わず反応してしまってから、 俺はハッとして慌ててドアを閉めた。
でもそんなの、 俺がいるまだと 言っているようなものじゃないか。
しばらく怖くて その場から動けなかった。
メンバーにも連絡できなくて スマホやパソコン、テレビが怖くて。
それから2日後、 らんから慌てたようなLINEが来た。
LAN
LAN
LAN
LAN
らんからそんなLINEが来て初めて 俺は見ないようにしていたXを開いた。
ずっとおはツイをしていなかったからか 俺を心配するような声がたくさんある。
そして、たくさんの人が引用して 何これと騒いでいるのが、 俺の、驚いたような顔写真だった。
リアルの、実写の。
ドアを開けて、 ハッとした顔をしている、俺の。
あの女が、あの瞬間に 盗撮していたものなのだろう。
illma
俺は、YouTubeを辞めることを 余儀なくされた。
住所もバッチリわかるような画角で 撮られたそれは、 俺にとっては危ないもので。
もともと6人で同居しないかと そういう話が出ていたのを これを機に急いで進めることになった。
そうやってあの女や他のファンは 撒けたけれど、 俺は本格的に心を壊してしまって。
更に、他のメンバーも おかしくなってしまった。
まず壊れたのは、 らんだった。
LAN
LAN
LAN
俺の失態を自分の失態だと ずっと自責して、 ずっと俺に謝ってくれて。
それに反応するほど その時の俺は元気じゃなくて、 何も言ってあげられなかった。
そうしたら、らんはまず シクフォニの活動休止を宣言した。
他のメンバーは、 今が最盛期だからと反対したそうだし 俺も一応反対はしたのだが らんが譲らなかった。
もうこれ以上、 活動を続けて心を壊すメンバーを 見たくなかったのだろう。
らんなりの、 メンバーの守り方だったのだろう。
でも悪いのは俺だ。
ちゃんと自衛できなかった 俺がいちばん悪いのに。
illma
俺は、 自分の力でドアを開けることが できなくなってしまっていた。