この作品はいかがでしたか?
551
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どんなに一階を探しても、どんなに声を掛けても二人は見つからなかった
僕
これは夢だから消えたという可能性も考えてみたが夢にしてやけには生々しく感じる
夢という一言で片付けられそうには無い
僕
その場に崩れる込むように座る
頭が白くなり働かない。カタカタ震える身体は止められそうになかった
僕
目に涙が滲む。どうやらこの状況はなかり自分を追い詰めているらしい
必死に涙を堪えていると、───ガチャリ という音が聞こえてきた
僕
僕
もしかしたら、カナトや苺子かも知れない。そう思った僕は部屋に向かって一目散に走った
三人で見た時は鍵が掛かってた筈の扉に手を掛ける
僕
どうやら本当にこの部屋の鍵が開いたらしい
僕は警戒しながら慎重に扉を開けた
扉を開けた先には人影があった
僕
僕
カナトをそのまま女性にしたような少女が、部屋の真ん中で佇みこちらを見ている
僕
カナネ
僕
カナネ
僕
色々と質問したい事ができて頭がこんがらがる
僕
カナネ
カナネ
僕
カナネ
カナネ
僕
カナネ
カナトの間違い…一体どんなことなのだろうか?
僕
カナネ
カナネ
カナネ
僕
カナネ
カナネ
僕
カナネ
カナネ
カナネ
僕
カナネ
カナネ
僕
カナネ
カナネ
僕
カナネ
どうやら僕の親友はとんでもない危機的状況に陥ってしまったらしい
僕
カナネ
僕
カナネ
カナネ
僕
カナネ
カナネ
僕
カナネ
カナネ
僕
カナネ
カナネ
カナネ
どうやらこの部屋達は双子の為に用意された一種の檻のようなものであると僕は知った
隠しているあたり、双子として普通に会う事は叶わない環境だったのだろうか
僕
カナネ
僕
カナネ
できなかった…一体どういう事だろうか
カナネ
カナネ
カナネ
僕
自分の姉を犠牲にしてまでカナトは、苺子の事を引き釣りこもうとすることに驚愕する
カナトは何故、並々ならぬ執着を苺子に向けているのだろうか
カナネ
カナネ
僕
カナネ
カナネ
僕
カナネの口からは、かつてこの館で起こった凄惨な出来事が語られた
それは、儀式の数日前の話だった
いつものように私と奏斗は深夜に通路を使って密会を行なっていた時
私
奏斗
私
私
奏斗
私
奏斗
儀式の生贄になる事は死ぬ事だ。父は名誉だというけれど嘘に決まっている
私も奏斗も声は震えて身を寄せ合った
奏斗
私
私
奏斗
奏斗
私
奏斗
奏斗
もう奏斗と目には光が無かった
この部屋には、きっと歴代双子の想いが…いや呪いが詰まっている
私
私
奏斗
奏斗
私
奏斗
私
奏斗
私
奏斗
私
奏斗
私
奏斗
この時の私は奏斗が計画した事が、あんな事だなんて微塵も想像していなかった
遂に前日となってしまった日、私は奏斗に会おうとタンスを退かしていた
私
私
嫌な予感の一言で片付けられないような、自分の直感が脳を支配していた
いつもの通路に奏斗は居なかった
私
私
私はどうしようもなく焦りながら奏斗の部屋を目指して走り始めた
そこにあったものを残酷以外に表す言葉はあるのだろうか。希望などそこには無かった
私
上手く発音出来ない。奏斗だったものを見てから何もかもが真っ白であった
私
私
奏斗は首を掻っ切って死んでいた
直前に躊躇ったのだろう。切れた部分の周りには薄い切り傷が見えた
私
私
私
次第に脳に色が戻ると、死という事実が心を揺さぶり涙と嗚咽が溢れた
私
まさか奏斗に置いていかれるなど思ってもいなかった。置いていくのだと思っていた
私
気づけば乾いた笑いが出ていた。私は勘違いしていた
世界はただそこにあるだけだと。世界は何一つ思い通りにならない非道なものなのに
私
お楽しみが楽しいものでは無いと初めから分かっていたのに見て見ぬふりをした
そのツケが回ってきたのだ
私
奏斗が最期に残した私宛の手紙を読み始めた
親愛なる双子の奏音へ こんな形で奏音より先に旅立ってしまう事を許してほしい。 この十数年は決して幸せとは言い切れない人生だと俺は思ってるし、きっと奏音もそうだと思う。母さんが死んじまってからは更に環境が酷くなって双子として会う事すらままならない日々だったしな。でも明日で全部終わる。終わらせるんだ。「馬酔木ノ儀」は双子を同じ空間にいさせてはならないらしいから、死んででも俺は奏音の側にいる。あの忌々しい儀式が失敗したら先に母さんに会いにいく。そして待ってる。 出来れば儀式の失敗に紛れて、この館を逃げて長生きして幸せになってくれ。 また双子になりたい奏斗より
お母さんが死んでしまってからは双子らしく会えなくて、こうやってコッソリ会うのが日課だった
この日課はもう二度と出来ない
私
私
「長生きして幸せになってくれ」この一文がずっと脳に残り続けている
私
私
片割れを置いて幸せになどなれそうに無かった
嗚呼、当日が来てしまった
私
私
私という存在は負の感情で満ち、恨み言ばかりが心を埋め尽くしていた
私
私
私
私
私
私
"当主”が古くて意味がよく分からない長い長い文章を読み上げているのが目に入る
これが読み終わったら私は殺される
私
そんな決意がみなぎっていた
私
遂にその時がやってきた
終わりを告げる鈴の音が鳴り響いて木霊する
私
私
声にならない声が溢れる
"当主”はもう眼下に迫っている
私
そう思った瞬間────
当主
大きな地震がその場を揺さぶった
私
私
きっと奏斗は私の側にいてくれたから失敗したんだ。阿鼻絶叫が広がる状況も全く気にならなかった
当主
当主
私
私
当主
今まで見たことない"当主”の顔を拝めながら自分でも驚く程私は冷たく言い放った
そうしている瞬間にも建物はミシミシと音が鳴り終焉の足跡が直ぐ側まで迫ってくる
私
私
当主
結末に絶望する人、子に覆いかぶさる親。自分だけでも生きようとする老人
様々な人が目に入る。でも全部どうでも良かった
私
そう言ったその時、とうとう建物は限界を迎えて崩れ落ちた
目の前にいる"当主”が押し潰される。次に老人達が、親子が、人が全部全部
私
そして二階が落ち始めた。抵抗することなく私も底へ落ちていく
床に落ちた私は伸し掛かってきた木材のせいで動けそうに無かった
そして崩落した影響で、いつの間にか館は炎の魔の手が周り烈火の如く燃え上がっている
私
私
煙で喉が焼けてしまったのか声が上手く出せない
私
私
視界が白み始め、私は意識を溶けるように失った
彼女達双子の結末は想像より、ずっとずっと過酷で残酷なものであった
僕
僕
カナネ
僕
カナネ
カナネ
僕
カナネ
僕
僕
カナトの過去を知ったからこそ。僕の中には許せないものが生まれた
カナネ
僕
僕
カナネ
カナネ
僕
カナト
カナトを止めると僕らは二人、誓いをたてた
カナネ
カナネ
僕
カナネ
カナネの部屋にあるタンスを動かして、薄暗い通路を僕達は通っていく
僕
私
どうやらこの通路、二階にも繋がっていて大分自由が効くらしい
僕
カナネ
カナネ
カナネ
僕
カナネ
僕
でも一理ある。本気なら可能性は軒並み潰す筈だしカナネの事も動けないようにするだろう
しないという事はカナト自身間違っている事を心の何処かで自覚しているのかもしれない
カナネ
僕
カナネ
石造りの古びた階段が目の前に現れる
僕
カナネ
僕達は階段を出せる限りの力で駆け上る
お互いに大事な人を助けるために
僕
入ってすぐ僕は苺子の名を呼んだ
カナト
カナネ
カナネがカナトに向かって訴えていた。あまりにも悲痛な声を
僕
カナト
僕
僕
カナネ
カナトが苺子を欲しがった理由は一体何だろうか
カナト
カナト
その感情はありふりれた少年の心であった
コメント
4件
続き待ってました!!!✨ こんなにボリューミーで、この投稿速度は早すぎますよ!!? そして中編だから後編もある!? 3話も全力で作ってくれてありがとう!!✨幸せすぎる、、、 カナトとカナネの過去悲惨すぎる、、、それでもカナネを放っておいて苺子を捕らえた理由はなんなんだ?! いつも良い所で切られてて、続き見たい欲が凄いですw 中編も最高でした!!最後、後編も楽しみにしてます!✨ 投稿お疲れ様です!🍵
投稿遅くなって済みません〜! やっと中編できました!恐らく後編で完結するはず…です あと、カナトの双子のアイコンはこちらで製作させていただきました!