辛くなっちゃった無能さんの話

tn side

いつもの事だった

グルさんが仕事をサボって

俺が注意して

いつもの事… だったのに…

最初はただのふざけ合いだった

なんや…「トントンだから」って

今日はなぜだか腹が立った

ロボロとシャオロンが俺たちを止めようとした

グルッペンは頭が固いから俺が辞めなきゃ

そう思うのだがどうしても苛立ちを抑えられない

不意に

と声をかけられた

いつもなら喧嘩そっちのけで抱擁するのだが今日は鬱の声でさえもイライラした

それはグルさんも同じなようだ

鬱はグルさんの言葉にぽかんと口を開けていた

いつものように早口でまくし立てる

と言う言葉に時計を見ると 12時を回っていた

こんな時間まで？何故？何かあったのか???まさか昨日遅くまで起きてたんじゃ

心配しているはずなのに 口から出た言葉は

グルッペンに対する同意

違うそんなこと言いたいわけじゃない

ごめん…ごめん笑わないで

今、なんて？

いらない？

グルさんが鬱に向かって「いらない」って言ったのか？

バシッ

必死に考えている俺の目に飛び込んだのは

グルッペンをかばってゾムに殴られた鬱の姿

体がうごいた

フラフラとしている鬱が階段から滑り落ちる

必死に手を伸ばした

届いたはずだった

手に触れたはずだった

なんで…

なんでだよ鬱

あいつは手をとらなかった

俺を見て笑った

今までで一番幸せそうな笑顔だった

階段下で眠る彼を見て

後悔した

涙が出ない俺が憎かった