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その日は急いで陽くんちに向かった

インターホンを鳴らしても応答しないその部屋に怖くなった

陽くん!!開けて!!

叫ぶように、乞うように…ただ、そこに

陽くんはまだいると、信じて。

行かないでよ…っもう、どこも

そのとき肩に、ある感触を感じた

陽く───

影くん

えっと…月、センパイ?

影くん

お兄はあっちの部屋にいると思うので…

うん…

影くん

影くん

…月、ちゃ

ん?どうしたの?

影くん

お兄を……救けに来て、くれたんだよね

(そっか、影くんはこの前陽くんを…)

ねえ、影くん

陽くんに…遊馬家に、何があったの?

影くん

…っ

影くんはオロオロとして、俯く

(…陽くんにも、聞こえたはず)

(出てくるか、そして止めるか、でも陽くんなら───)

影くん

…うん、月ちゃんなら

(ムシ、する)

影くん

おれは…お兄に何があったかまで、詳しくは知らないけど…

影くん

お兄が今もこうなってるのは、お母さんが死んだせい…だと思う

お母さん…

影くん

(お兄、どうして出てきてくれないの)

影くん

(おれのことも嫌いになったのかな)

影くん

(どうしよう、頭がくらくらする)

影くん

(…ねえ、お兄───。)

影くん

優しい声が、耳に響く

影くん

…っうぅ

ああ、そうだった

月センパイは泣き虫なおれにも、ずっと優しかったんだ

影くん

もうやだよぉ…

影くん

お母さんは暴力ばっかりしてたのに

影くん

なんで、お兄はそんなお母さんばっかり気にするんだよぉ…!

…暴力?

影くん

…っうん、ぅう、お母さんは…いつも、怒ってた

影くん

なんでか分かんないけどぉお…!

影くん

だから…っオレもお兄に嫌がらせしたら、お兄構ってくれるかなって…っ

それからいくつか母親について、それから父親について話した

オレは泣きじゃくってて、月ちゃんは相槌を打ちながら話を聞いてくれたけど

…ちゃんと、伝わったかなぁ

そのうちガチャリと戸が開く音がした

陽くん

陽くん

(…やっぱり)

ごめんね

知ってたよ

こうなれば陽くんは出てきてくれるってこと

陽くん

…周りのやつら、傷つけてばっかじゃダメだよね

陽くん

そんなに大した話ではないんだけど…俺にとっては、ちゃんと約束だったんだ

陽くん

……話すよ、もう、ぜんぶ

(ごめんね陽くん)

(追い詰めてしまって、話さざるを得ない状況にしてしまって)

(でも、無理にでもいいから)

…うん

(聞かせて)

まだ前の家にいたとき

月ちゃんと離れるときまでは、母親は生きていた

はるくん

おかーさん

結子さん

…なぁに、陽

小さい頃は、優しかった

はるくん

あのね、今日るなちゃんと────

かげくん

ままー!!

結子さん

あら影、どうしたの?

結子さん

ちょっと待ちなさいね、今お兄ちゃんのお話聞いてるの

かげくん

うん!

かげくん

おにい、後で公園行こうよぉ

はるくん

あとでね!

…平和だったんだ

 

3人とも、ただいま

はるくん

おとーさん!

かげくん

ぱぱぁ

 

…あれ、結子はどうしたんだ?

その日は母の帰りが遅かった

買い物に出かけると言ったきり、帰ってこなかった

 

…少し電話してくるな

その電話があまりに長かったので俺は扉から覗いて見ていた

 

はあ!?お前散々焦らしたと思ったら言うことはそれかよ!!

 

お前…ただで許されると思っていないだろうな……?

 

自分のしたことを反省しろ、今から行くから

確かそんなことを言っていたと思う

俺はよく分からなかったけど、その父の様子が切羽詰まっていてすごく怖かった

父は母を連れて帰ってきた

ただその日から家の空気は格段に悪くなった

かげくん

ご、ごめんなさい!!!

結子さん

あんたは!!!!!もう!!!!!!

バチン、と影の頭を叩く音が聞こえる

はるくん

おかあさん!!やめて!

結子さん

なによ!陽はいい子よね!?陽がちゃんとしたら影だって──!

はるくん

落ち着いて、大丈夫…おれが、なんでもするよ

暴力もざらにあるし、ヒステリックなのは言うまでもない

父親はその全貌は知らなかったけど、仕事に行く前にいつも心配そうにしていた

 

…叩かれたりしたら、言うんだぞ

そう言って、ヒステリックな母を宥める

陽くん

うん、大丈夫だよ

小悪魔な月ちゃんは陽センパイにだけ勝てない

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