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彩葉
彩葉
彩葉
彩葉
高2に進級した。
新しい教室、新しい席、新しい友達。
進級することに不安がなかった訳ではない。
でも、今だって特に問題なくやってきた。
逢沢優亜。身長は160㎝。体重は17歳の平均ぐらい。
肩まであるミディアムボブ。毛先はまとまり感を出すために少し重めにして、アイロンで内側に軽く巻いている。
趣味はスイーツの食べ歩き。
女子校ということもあり、出会いもないし、恋愛経験もゼロ。
良くも悪くも、どこにでもいる平凡な女子高生だ。
そんな私の人生は、これから先もずっと平坦なまま続いていくと信じて疑わなかった。
ーーーーーーーーあの3人と同じクラスになってしまったのが運の尽きだった。
沢木綾香
沢木綾香の声がする。
私はそっと視線を声の方へ向けた。
椅子に座り俯く子の前に仁王立ちする女子3人組。
小山田マミ
渡部みやび
小山田マミ
暴言を吐く小山田マミを甲高い声でたしなめる渡辺みやび。
目の前で悪口を言われていた女子は俯いたままピクリとも動かない。
また始まってしまった。
新しいクラスになり、席が近い子とも話すようになり、数人の友達もできた。
すぐに連絡先を交換して、お互いを名前で呼び合うようになり、放課後は一緒に遊んだりもした。
私は特にこれと言った問題もなく学校生活を送っている。
でも、クラス内には不穏な空気が流れていた。
1人の大人しい女子を、あの3人が毛嫌いし始めたのだ。
彼女の名前は柴村静子。
腰まである長い髪。
前髪は切り揃えられているものの目をすっぽり覆ってしまうぐらい長い。
縁のある眼鏡。
膝下のスカート。
真っ白く細い手足。
自己紹介の時も何を言っているのか、声が小さくて全く聞き取れなかった。
小山田マミ
柴村さんの自己紹介に水を差すようにそう言った小山田マミ。
渡部みやび
沢木綾香と渡辺みやびがクスクスと悪意のある笑みを浮かべる。
柴村さんは動揺するでもなく、自己紹介を終えた。
その日からだと思う。
柴村さんがあの3人にいじめられ始めたのは。
柴村さんの事は1年の時からなんとなく知っていた。
目立つ存在ではなかったけれど、目を引く存在だった。
いつも下を向き、表情の読み取れない、何を考えているのかよく分からないタイプの子。
誰かと一緒にいる所を見た事もなく、いつも隅の方で1人、ポツンとしていた。
そんな柴村さんとは1度だけ言葉を交わしたことがある。
トイレですれ違いざま、タオルを落とした私に、柴村さんが声をかけてきた。
柴村静子
その声に振り返ると、柴村さんが私にタオルを差し出した。
逢沢優亜
タオルを受け取りながらお礼を言うと、柴村さんの口もとがほんの少し緩んだ気がした。
彼女は悪い人ではない。
きっと内気で不器用なだけ。
自分から声をかけることができないから友達ができないのかもしれない。
彼女の事をもっと知りたい。
私は確かにあの日そう思った。