和室には必ずと言っていいほど、押し入れがあるわよね。 押し入れにしまうものといえば、まず思いつくのは、布団。だけど人によっては、洋服を入れたケースや旅行カバン、なかには金庫なんかをしまっていることもあるかもね・・・・・・。
こないだ家に帰ったら、玄関のドアにカギがかかってなくてさ、
泥棒かな・・・と思って、 おそるおそる部屋に入ったら
かなり荒らされてて、やっばーと思った。
で、すぐに押し入れの中を確認してさ
そしたらカラになってたからさ、
あ、これ犯人アイツだわ、ってすぐわかったんだ。
すぐに警察行かなきゃーと思って、 警察署に向かって、車飛ばしたんだ。
そしたら、途中の道で、 運良く、アイツが走ってるとこに追いついてさ。
俺
って、 クラクション鳴らしたら、凄く驚いた顔して、その場にへたりこんだんだ。
だから俺、車降りて、
俺
って言ったんだ。
そしたら、
???
って必死に謝るんだよ。
どうしてやろうかと思ったんだけど、その時にスマホにメールがきたんだよね。
だから、
俺
って言って、そのまま見逃してやったんだ。
俺って優しいからさ。
そこら辺はキッチリしてて、ちゃんと逃してやるんだよ。
身代金さえ払ってくれればね。
~解説~
語り手の男性が帰宅したら、家の中が荒らされていた。という話ね。
彼は当初、泥棒の仕業かと思ったみたいだけど、その後、空っぽになった押し入れを見て、すぐに犯人の見当が着いたみたい。 でも、空っぽの押し入れを見ただけで、犯人が分かったのはどうしてかしら・・・。
それは最後の1文を読むと分かるわ。
『身代金さえ払ってくれればね 』
つまり、押し入れには、語り手が誘拐した人質が閉じ込められていた。
語り手の方が犯罪者だったのよ。
人質にされていた子は、語り手の留守中に部屋から逃げ出し、かくまってもらうために警察に向かった。 しかし、その子が警察に行くことを予測した語り手は、車で追いかけて、つかまえた・・・・・・。
だから、彼は言ったのね。
「逃げられると思ったのかよ」と。
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