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狂気に歪んだ優しさ

狂気に歪んだ優しさ

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4.狂気で歪んだ優しさ

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2018年07月25日

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人は、

暗闇の中にずっといると精神が崩壊すると言われている…

突き付けられた非現実

恐怖と怒りと戸惑いと迫るような闇の中

…いッ

…めん…いッ

ごめん…なさいッ

彼のすすり泣く声が聞こえた気がした。

夜が明けたんだうか。

窓のない小さな物置のような部屋に閉じ込められた私には、

かすかに外の世界の音が聞こえた。

彼は誰かに電話をしているようだった。

…しもし。

…のお母様…ですか?

お母さん?

僕、娘さんとお付き合い…ま…

はい。

なかなか聞き取れない

ええ。事故に遭ってしまって…

…時にそちらでお待ちしてます。

…はい。

どうやら彼は私を事故に見せかけて母と会う約束をしたようだ。

ガチャ

…ちょっと出掛けてくるから。

背中越しに気配が伝わる

いい子でいるんだよ。

ガチャ

そう言い残すと彼はどこかへ出掛けて行った。

…チャンスかもしれない。

何か音を出せば、近所の人や同じアパートに住む住人に気付いてもらえるかもしれない…!!

私はガタガタと椅子を横に揺らす。

っす、け、

たす、、て!!

叫ぼうにもタオルがじゃまで声が出ない。

強く腕を広げようと、足を広げようと

強く頑丈に結ばれたロープは解けない。

私はもっと強くガタガタ!!

ガタガタガタガタ!!!と椅子を強く揺らした。

ガタッッ

ドンッッッッ

ちょっとバランスを崩した瞬間

椅子ごと崩れ落ちた。

…っ…っ…

自分の無力さに涙が止まらなくなった…

っかあ…さん

…あさん…

助けに行かなきゃ…

お母さん、あいつに騙されちゃだめ…

あいつは、あいつは殺人鬼なの…

頭を大きく床に打ち付け

ドンドンと音を出し続けた…

この時間…近所の人はみんな仕事に出掛けてる…

そんなの知ってる…

ドン、ドン、ドンドンドンドンドン!

っ…あ…っ…

涙で床を濡らしながら

途方もなく無力な音を出し続けていた…。

…つづく

狂気に歪んだ優しさ

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