「少しずつ潮が引いていくように、二人が遠くへ行ってしまう気がする。」
この風景を見たなら、陸は、絶対にそう思ってしまうだろう。
そんなことないよ。俺達は、陸のことが大好きだから。
でも、それでも、陸は、無意識にでも考えてしまう。
「二人は、私のことをどう思っているのだろう。」
「二人が、私を嫌いになってはいないだろうか。」
前に俺達が、「悲しくなるから、そんなこと言わないで。」って言ったら、陸はそのことを面に出さなくなった。
でも、思っているんだろ?
陸は、どこまでも家族思いで、優しくて、壊れやすい。
俺達を疑っているわけではないことはわかっている。でも、信じてくれていないのかな、と、時々悲しくなる。
俺達は、お互いのことを何よりも大切に思っている。
それを証明することができないのだけが、残念だけど。
桜の花弁に透かされた日の光が、柔らかに差し込んでくる。
どこまでも穏やかで、平穏な時間......
空
が、今終わったようだ。
海
空が全速力で走ってくる。もっとゆっくり来ても、別に逃げたりしないのに。
空
あぁ、真剣に選びながら集めていたのはそのためだったのか。
海
すると、空が突然目を輝かせて言った。
空
海
空
空は俺の腕を掴んで、強引に引っ張っていく。
海
空
騒がしくて、幸せな日々だな。
正直なところ、平和とか人生とか捨てて、お互いのことだけを見ていればいいと思っている。
だって、三人で一緒にいられたら、もう十分でしょ?
一人の目が見えなくなったら、二人も一緒に迷えばいい。
一人の耳が聞こえなくなったら、二人も耳を塞げばいい。
一人が言葉を話せなくなったら、二人も何も言わなければいい。
俺達のなかだけで、すべて解決してしまえばいいのに。
外なんか見ないで、俺達の居場所はここだ、って。
そんなこと、二人に言えるわけないけど。
コメント
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コメント失礼します!投稿お疲れ様でした…そして安定の小説の上手さ。