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フョードル・ドストエフスキー

あなたは気絶するのが好きなようですね

目が覚めて、これが夢でなかったことを再確認する。

中島敦

……ここは、どこだ

フョードル・ドストエフスキー

おや。忘れてしまったのですか?

中島敦

忘れてしまった……?

フョードル・ドストエフスキー

ここは僕の家です。そこまでは覚えてます?

中島敦

……いいや。

フョードル・ドストエフスキー

そんなに警戒しないでください。僕たちは夫婦なのですから。

フョードル・ドストエフスキー

忘れてしまったのなら、もう一度教えればいいだけですからね。

ドストエフスキーは敦が横になっていたベッドに腰をかける。

そしてまた顎をくいとつかみ、

フョードル・ドストエフスキー

あなたは僕のところへ嫁ぎに来たくて嫁ぎに来たでしょう?

フョードル・ドストエフスキー

僕はこの耳で聞きましたよ。

フョードル・ドストエフスキー

でも、驚きましたよ。お金欲しさで僕と結婚するなんて。

中島敦

え……

フョードル・ドストエフスキー

あなた、ご両親に売られたんですよ。

フョードル・ドストエフスキー

でも、嫌じゃありませんでしたよ。

フョードル・ドストエフスキー

……あなたのことは、前々から気になっていたのです。

だんだんと思い出してきた。

敦……中島敦は金目当てで親に売られた。

売られた先は富豪であったドストエフスキーの元で、

五億という大金と引き換えに嫁がされた。

フョードル・ドストエフスキー

それに、息子のことは死んだことにしたいから、

フョードル・ドストエフスキー

結婚式をあげるなら、内密にとまで言われたんですよ?

ドストエフスキーは怪しく笑う。

シグマ

入るぞ

シグマが部屋に入る。

ドストエフスキーは不機嫌そうな顔をした。

フョードル・ドストエフスキー

あなた、部屋に入る時はノックをしなさいと前に教えたでしょう?

フョードル・ドストエフスキー

本当に三歳児の世話は手が焼けます

シグマ

入ると言ったからいいだろう!

シグマ

……それで、敦くん。調子はどうだ

シグマ

ニコライがご飯を作ったのだが……

フョードル・ドストエフスキー

シグマさん、今僕たちは夫婦ならではの会話をしているんです。

フョードル・ドストエフスキー

邪魔しないでください。

シグマ

そんな雰囲気じゃないけどな

中島敦

あ、あの……

フョードル・ドストエフスキー

なにかな、アツシ

ドストエフスキーがすごい勢いでこちらを見る。

中島敦

本当に、僕はど、ドストエフスキーさんと、結婚したんですか……?

フョードル・ドストエフスキー

うん。アツシが気絶する前に行ったのが式ですよ。

フョードル・ドストエフスキー

簡易的で、おかげで手間が省けました。

敦はどん底に突き落とされた気分だった。

まったく知らない人の元へ売られ、

自分の否応なしに夫婦となってしまった。

両親を憎むどころか、悲しみばかりが敦の胸を包んだ。

フョードル・ドストエフスキー

あ、そうそう。

フョードル・ドストエフスキー

これから僕のことはフェージャと呼んでください

フョードル・ドストエフスキー

あなたはもう、アツシ・ドストエフスキーなんですから。

その言葉を聞いた時、敦はもう自由そのものを失った。

ドストエフスキーの熱の帯びた瞳が恐ろしくてたまらなかった。

これから自分はどうなってしまうのだろう。

そう思うだけで震えが止まらなかった。

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