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１ヶ月後
ひまり
やあやあ
少年
あ…こんばんは
ひまり
遅くなってごめんね
少年
…はい
少年
今日はもう、来ないかと思ってました
ひまり
ごめんごめん
ひまり
本格的に寒くなってきたね
ひまり
毛布使ってる？
少年
…それが……
ひまり
なに、どうしたの
少年
あの
少年
お姉ちゃんに毛布、取られちゃったんです
少年
ごめんなさい
ひまり
え、マジで？
少年
すみません
ひまり
いや全然、もともとあげるつもりだったしいいんだけど
ひまり
なんでお姉ちゃんそんなことするの？
少年
…分かりません
少年
僕が嫌がってるのを見るのが、好きなんだと思います
ひまり
マジか、ひどいね
ひまり
今度新しいのあげるね
少年
ありがとうございます
ひまり
…っていうかもしかして
ひまり
いつもお姉ちゃんに追い出されてるの？
ひまり
だから毎晩ベランダにいるんだ？
少年
いえ、あの、それは違うんです
少年
お母さんがこの時間、家で人に会うので
少年
僕は外に出るように言われてて…
ひまり
そうなんだ
ひまり
じゃあお姉ちゃんは？
ひまり
お姉ちゃんも外に出ろって言われたりしないの？
少年
いえ
少年
お姉ちゃんは静かにしてられるからいいって
少年
お母さんはいつも言ってます
ひまり
なんで？
ひまり
きみだってだいぶ静かじゃん
ひまり
私と話さなければなにか言ったりしないでしょ
少年
…まあ
少年
でも、お母さんは
少年
僕がまだ小さい時にその人と会い始めて
少年
その時からずっと、僕の存在を隠してるんです
ひまり
え？
ひまり
なんで？
少年
…分かりません
少年
僕がいることがばれると、もう会ってもらえなくなるみたいなことを、言ってました
ひまり
ふーん
ひまり
じゃあさ、その会いに来る人って
ひまり
この時間に来て、何時に帰るの？
少年
夜中です
少年
たぶん今日はもう遅いから、もうすぐだと思います
ひまり
夜中に帰るんだ
ひまり
なんでだろうね
ひまり
夜に来て、夜に帰るの？
少年
はい
ひまり
なんかそれって不便じゃない？
ひまり
きみの存在を隠したいんなら
ひまり
きみが家の中にいない昼に誘えばいいのに
少年
…昼は、あちらの人も仕事があるみたいです
ひまり
あー、そっか
ひまり
男の人？
少年
…そこまでは、はっきりとは分かりません
ひまり
へー
ひまり
じゃあ、分かるのは夜に来て夜中に帰ることと
ひまり
きみのお母さんがその人にきみの存在を隠してることだけ？
少年
はい
ひまり
なんか妙だね
ひまり
ほんとにその人のこと見たことないの？
少年
…実は、ちょっとだけあります
ひまり
え、嘘、どんな感じだった？
少年
あの人が帰っていくところを見たんですけど
少年
お母さんが、下までその人を送っていってて
少年
…僕はあの人は男で、お母さんの恋人だと思ってます
ひまり
そうなの？
ひまり
あれ、きみお父さんいないんだっけ？
少年
…いえ
少年
単身赴任中だけど、いるんです…
少年
僕が思うに
少年
お母さんは自分の不倫を僕には隠したいんだと思います
ひまり
わーお
ひまり
でもお姉ちゃんには隠してないし
ひまり
実際にはきみも知ってるんだ？
少年
…はい
ひまり
なんか複雑だね
少年
そうですね
と、その時少年の部屋のベランダの窓が開いた。
とっさに私は洗濯物の陰に身を隠す。
？？？
海人、本田さん帰ったから
？？？
中入っていいよ
少年
あ、お姉ちゃん
少年
分かった
そう言って少年は部屋の中に入っていく。
ひまり
(あれ？)
ひまり
(なんか今のお姉ちゃんの声)
ひまり
(すごく聞いたことがあるような……)
ひまり
(どこで聞いたんだっけ)
ひまり
(……)
ひまり
(まあいいや)
ひまり
(私も早く中入ろう)
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