テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
第十六話 「一輪、赤く滲む」
重苦しい空気の中、七人の都市が集う。
東京が切り出す。
東京
東京
宮城が静かに視線を走らせる。
宮城
宮城
福岡が問う。
福岡
沈黙。
その中で、愛知が静かに言う。
愛知
愛知
愛知
北海道は窓を見ながら、誰かに語りかけている。
北海道
声がない。だが、彼は語り続ける。
北海道
北海道
北海道
一瞬、画面に映る“誰か”の笑顔。
――愛知の若き日の後ろ姿。
だが、それだけではない。
その肩越しに、もうひとつの影が重なる。
輪郭が、少しだけ“宮城”にも似ている。
北海道は目を伏せる。
北海道
大阪は、旧山梨派の潜伏アジト跡を調査していた。
部下
大阪が目を細める。
大阪
大阪
大阪
東京からの通信が届く。
宮城
東京の声は硬かった。
東京
東京
宮城は静かに答える。
宮城
宮城
宮城
沈黙。
宮城
宮城
広島は古い名簿の一行に目を留めた。
『山梨→名義貸与先:A』
広島
幹部が小さく言う。
幹部
広島は目を閉じた。
広島
愛知は静かに庭の風鈴を見上げていた。
そこに、東京が訪れる。
東京
愛知は答えない。
代わりに、懐から半分焦げた書状を取り出す。
『“八の座は、汝に与えられしとき、我らは咲けず”』
『“されど共に咲こうと誓ったこと、忘れたりせぬ”』
東京の瞳が細められる。
東京
愛知
愛知
ついに、“第九との繋がり”を持っていた都市が複数明らかになった。
だが、明確に「裏切った」とは限らない。
友情か、過去の傷か、負債か、あるいは……今も繋がっているのか。
誰かが揺らぐ。誰かが抗う。
だが、歯車はもう戻らない。
次回
第十七話 「黒花、咲ク。」
next→♡400
コメント
3件
愛知さんと山梨がなんかあったと… 東京さんかっちょいi(((