ケンヤ
ケンヤは目の前にあるマジックミラーに手を振れて微笑む。
ケンヤ
ブツブツとしゃべっても、向こう側にいる『アイカ』には届かない。
ここは、マジックミラー越しにアイドルの生活を覗き見られる店だ。
スペシャル会員になり、金を払えば個室が与えられて、いつでも『アイカ』を観察できる。
それ以外の連中はウェブカメラでしか彼女を見ることしかできない。
ケンヤ
ケンヤ
アイカ
アイカ
アイカ
アイカは微笑みながら服を脱ぎ、下着姿を露わにした。
しかし、そのままバスタオルを持って風呂へと入っていく。
ケンヤ
風呂、トイレ、外出に関してはアイカの生活を見られないようになっていた。
肌も、下着姿以外に見ることはできない。
しかしそれがまた、彼女の清純さを守っていた。
30分後
アイカ
アイカはパジャマに着替えて鼻歌を歌いながらドライヤーをかける。
ケンヤ
ケンヤ
ケンヤ
どもりながら、マジックミラー越しに彼女の声に反応するケンヤ。
しかし、その声が届くことはない。
ここは、彼女を一方的に見るだけの場なのだ。
コミュニケーションをとることはできない。
だからだろうか。
どこの個室からも、独り言が絶えることはない。
アイカ
アイカはスマホを固定して自分の方に向けると、動画サイトにログインした。
ケンヤはすかさず自分のスマホを出し、そのサイトへとログインする。
『ルームアイドル☆アイカの部屋』と書かれた場所に入る。
スマホには、風呂上がりの彼女が映っており、こちらに向かって微笑んでいる。
アイカ
アイカ
アイカ
アイカ
「いい!」「最高!」という賞賛の言葉が文字として右から流れて来る。
アイカ
アイカ
アイカ
アイカ
アイカ
アイカ
アイカ
アイカ
アイカ
アイカ
アイカ
アイカ
アイカ
ケンヤ
ケンヤ
ケンヤ
その時、ケンヤの中でムクムクと性欲が出て来るのを感じた。
この部屋で迷惑をかけなければ1人で処理をするのも違反ではない。
だけど、ケンヤは唇を噛んで、まだ我慢をしていた。
アイカの配信の序盤でそれをするには、まだ早いのだ。
アイカ
アイカ
アイカ
アイカ
アイカ
アイカ
アイカ
アイカ
アイカは頬を膨らませて、少し怒った仕草をする。
しかし、すぐに笑い始めてシャツを上げる。
アイカ
画面が「うおおおおお!」という文字が高速で駆け抜けて行く。
『お布施』というシステムの金額もどんどん上がっていき
ケンヤもお布施ボタンを連打していた。
アイカ
ズボンを下げ、パンツの柄を見せるようにしてカメラに迫ると
お布施の金額はさらに上がり続け、どんどん金額が溜まっていく。
アイカ
アイカがパジャマを着直したその時だった。
ガンッ
ガンガンッ
ケンヤ
アイカ
アイカを覗いている個室の誰かがマジックミラーを叩いていた。
男
男
男
男
男
黒服
アイカの配信は急に停止になり、目の前のルームも急に真っ暗になった。
男
真っ暗闇の中で、男の気持ち悪い声だけが響く。
男
黒服
ゴスッ
男
黒服
黒服
しばらくすると、個室に黒服が来て今日のサービスの終わりを告げられた。
いつもの半額でいいと言われて、少しラッキーだと思うケンヤだったが
暴れだしたあの男を思い出すと、気分が悪かった。
ケンヤ
ケンヤ
ケンヤ
ケンヤ
そんな風に思っていると、肩を叩かれた。
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